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仮面の少女

 セラテシムンの大街ロンド。そのロンドを代表する場所の一つが、ロンド司令部である。この国のトップである元帥が居るとあって、毎日大勢の人が訪れる。とはいえ、許可なく勝手に入ることは出来ない。軍人か、軍認という資格を持つ者か、特別入場許可を得ないと入れない。


「やれやれ。今日も外が騒がしい」


 元帥室に向かって歩く男性。元帥に認印を貰うために向かっているのだが、その足取りは重い。


「マッサージをさせられるのが目に見える。紅茶を淹れてあげないといけないし、部屋の掃除もしなければならないだろう。元帥補佐というのは疲れて仕方ない」


 元帥室の扉を塞ぐ警備を退かせノックする。いつもなら返事が返ってくるのだが、一向に返事はこない。


「元帥はどこかに?」


「いえ。部屋を出てはいませんが」


「寝ているのかもしれない。国のトップが呑気なことだ」


 ドアノブを握って扉を開ける。『寝るなら寝るでキチンと横に……』と言葉を言いかけて立ち止まる。部屋の中はもぬけの殻であった。


「いない? なんだか嫌な予感がする」


 元帥の座る机を見る。すると、一枚のメモを見つける。筆跡からして元帥本人なのは明らか。普通なら慌てふためくものなのだが、書いてある内容から察することが出来た為、呆れて溜め息が出てしまう。


『ちょっと空気を吸ってくるにょん。捜さないでにょん!』


「また彼に頼んだのですか……はあ」


※ ※ ※


 エクスとリームは、ロイズへと戻っていた。次の行き先をどこにしようか考えている。


「リイムに行くか」


「リイムね……何かあったっけ?」


「噂なんだけど、リイムのホテルにウルさんが泊まったことがあるらしいんだよ」


「へえ! それは泊まってみたいね!」


 リイムに行くことを決め、駅に向かおうとする二人。そんな二人に『ちょっといい?』と声を掛けてくる子供が現れた。仮面を被っている為警戒する二人を見て、慌てて仮面を取る。


「リイムに行くなら一緒にいいきゅう?」


「なんで僕達と?」


「楽しそうだからきゅう!」


「「はあ?」」


 突然の申し入れに呆然とする二人。そんなことなどお構い無しにニコニコと笑う少女であった。

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