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87.懐かしいあいつ等

 アハドの後ろをついていき辿り着いたのは木製の長椅子が沢山並べられた大きな部屋だった。その一番奥には神々しい女神像が鎮座している。講堂の中には数十人の男女がいて、老人から子供まで暗い顔で椅子に座っていた。


「おーい。ルミナ!カームル!リリー!」


 アハドが大きな声で三人の名前を呼ぶ。その三人はアハドのパーティーメンバーで俺が昔お世話になったやつらの名前だった。


「どうしたのよアハド?」


「何かあったのか?」


「嬉しいこと?悪いこと?」


 アハドが呼んで数秒もしないうちに奥にある扉から三人の男女が顔を覗かせる。初めからルミナ、カームル、リリースだ。

 三人ともあの頃から全然変わっていなくて懐かしさがこみあげてくる。


「あっ、そこにいるのもしかしてユウ!?」


「リリーわかるのか!?」


「え?なんとなくユウじゃないかって思っただけだけど。やっぱりユウなの?」


 おぉ、結構変わったと思うがリリーは気付いてくれたな。てかリリーの喋り方が女の子っぽくなってる。前はもっと男みたいな荒い喋り方だったがこれもいいな。


「久しぶりだなリリー。前より女の子っぽくなってるがどうした?」


「なっ、ボクは前から女の子だよっ」


「ガハハッ、まさか本当にユウだとわな!それとリリーだがお前さんがいなくなってから段々とあんな感じになっていったんだぞ?ユウがいなくなったのはボクが男っぽかったからだ……って落ち込んでやがったからな!ガハハハハっ」


 相変わらずの豪快な笑いに笑みを浮かべリリーを見ると顔を赤く染めカームルに噛みついている。


「本当久しぶりねユウ。どこに行ってたのか聞かせてもらってもいい?」


「あぁ、別に構わんが一つ訂正してくれ。俺はユウじゃない。今はクロと名乗っている。だからクロって呼んでくれ」


「偽名を名乗るって、いったいどんな旅をしたらそんなことになるの……」


「別にこれは偽名じゃねぇぞ?こちらの世界での俺の本名だ」


 この世界で名前を失っていた時に、スズがつけてくれた名前だ。これを偽名だなんて思っていない。


「わかったわクロ」


「挨拶も終わっただろ。んじゃここに来た理由を教えてくれ。それと外を闊歩しているあの死人のことも。知っているんだろ?」


「あぁ。まぁお前ならいいだろう」


 アハドたち三人に今まであったこと。腐人の正体などを話した。


「それで今は仲間がここに蔓延る腐人を殲滅している。もう1時間もしないで殲滅は完了するだろう」


「あの死人、腐人だったな。あれだけの数の腐人を1時間で殲滅って……。クロの仲間ってやつらはどんな化け物だよ…………」


「そっかぁ。クロも仲間ができたんだ」


「おいおいリリー。今の話を聞いて気になるのそこなのか」


「だって、ユ、クロが帰ってきたからきっと仲間になるんだって思ってたから……」


 こいつらとメルドに向かう途中から結構懐かれてはいたが、ここまでとはなぁ。


「ん、来たな」


「来た?何がだ?」


「俺の仲間だ」


 予想より早かったな。もうちょっと時間がかかると思ったが、スズのステータスが上がったおかげか?


「ちょっと呼んでくる」


「あぁ、わかった」


 案内された道を戻り扉を開け外に出ると結界の外にスズの姿があった。他の三人の姿がないがどうにかしたのか?



「スズ、もう終わったのか?」


「まだ終わってない。でもクロの気配、したから。この半球、入っても大丈夫?」


「あぁ、俺も大丈夫だったからスズも大丈夫だろう。ほかの三人はまだ殲滅中か?」


「ん、もう少しで、終わる」


「そうか…………」


 丁度いいからスズも紹介しておくか。


「ここの中に生き残りがいる。そこにスズと出会う前に数日だけ一緒に旅をした奴らがいるんだ。紹介する」


「わかった」

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