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84.新しい予定

「ありゃ一体、どういうことなんだろうな」


「チュウ、の強さ、の、事?」


「あぁ、ミーシャたちの話からして元のチュウにあんな戦闘力はなかったらしい」


 だというのにジンとミーシャ二人と互角に渡り合える力を持っていた。確かに腐人化することでステータスは跳ね上がる。しかしそれでも基本的に元の能力の倍以上になることはない。しかしチュウは少なくとも3倍は上がっていた。


 今まで戦ってきた腐人たちとの違い。それは何なのか。


「アレではないか?司祭とかの地位じゃ。今まで妾らが戦ってきたのは全て戦場に立たされるような下っ端どもじゃ。しかし今回はそこそこ位階が高かった。その違いじゃないかの?」


「あぁ、確かにミーシャたちが言ってたな。ふむ、信仰力で腐人化した際の能力の上昇幅が変わる、か」


 あり得るな。しかしまだ確証に至るにはサンプルが少なすぎる。

 もし、この仮定が本当だった場合教皇が腐人化したとしたらどれほどの力を得るのか。司祭で3倍以上。司祭よりさらに上の、しかも教会のトップだ。元のステータスが低かろうが何十倍と上昇すればこの世界で相手をできる奴なんて俺たちぐらいだろう。


 腐人化が起こる前に魔人族での教皇の立場にいたクルドを殺すことができていたが、人族側ではいまだ教皇は健在だろう。その他に枢機卿や総大司教などの立場の高い奴らが蔓延ってるはずだ。しかもそいつらは王国の中心である王都の内側にいる。これでは外を警戒している兵士たちでは対処が遅れてしまうだろう。突如王都内に現れた腐った人間。さらにそのほとんどがとても強い。


 王都はすぐに落とされるだろう。

 てかもう落とされてるかもな。腐人化が始まってすでにかなりの時間が経っている。更に王国の戦力のほとんどが魔大陸にいる。今王都に向かっているだろうが、間に合わないだろう。あいつらがたどり着いた時には王都は腐人が彷徨う廃墟だ。


「今の薫たちで勝てるかな?」


「ん~、ムリだろう。今の勇者一行のなかで一番強い奴でもステータス200を超えたところだ。もし本当に教皇が何十倍にも伸びているのなら、最低でも300はないと斃せないだろう」


「それじゃ薫たちは……」


「まぁ、美咲が助けたいっていうならちょっとした寄り道もありだな」


「本当に、良いの?」


「あぁ。俺としちゃ別にあいつらが死のうが生きようがどうだっていい。が、美咲が望むのならそれぐらいお安い御用だ」


「じゃ、助けに行ってもいい、かな?」


「よし、行くか王都」


 目的地からは遠のくが、神創国に行くのに期限なんてないからな。少し寄り道してちょっとしたハエを追っ払うぐらいしても俺の予定に支障はない。


「王都に向かうけど、良いよな?」


「ん、大丈夫」


「妾もじゃ」


「主が決めたのなら文句はない」


「てことだ美咲」


「うん、ありがとみんな」


 さて、新たな予定ができたが今度は期限付きだ。王都の民は助けられないかもしれないが、勇者一行はまだ助けられるだろう。そのためには少し急がないとな。


「影飛竜」


 いつものように俺の足元の影から想像し創造する。今回のイメージは飛竜、ワイバーンだ。背には乗りやすいように鞍までつけている。それを俺たちの人数分用意した。


「これに乗ってくぞ」


「ん。やっぱり、クロの能力は便利」


 全員背に乗り終えたのを確認し、飛竜を飛ばす。一回羽ばたけば空に舞い、二回羽ばたけば驚異的な加速を見せる。正直言えば羽ばたかせる必要もなければ飛竜の形にする必要もない。


 いわば趣味だな。最近は凝っていて傷を負えば血を模した影を吹き出すんだぜ?声帯も作ったので泣くことも可能。


 そんな地味で無駄に高性能な飛竜に乗って王都に向かう。

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