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81.ジョーリとセキヤ

 ある森の中、金髪を逆立てた男が背丈ほどある大剣を振り回す。振り回されただけの大剣が突風を生み出しながらも軌道上の障害物、腐った死体の様なものを真っ二つに切り裂いた。

 その男、ジンは大剣を振り抜いた体制で残心をとる。


 次の瞬間、人の背後からまたも皮膚が爛れ神官服を着た死体の様なものが襲い掛かる。が、その動く死体、腐人は遠方から飛んできた炎の槍の様なもので貫かれる。ジンから少し離れたところに立つミーシャの魔法だ。美咲ほどではないが魔法の構築時間が早くかなりの使い手だということがわかる。


 二人は声を出すこともなく息にのあった連携をする、それはまるで二人で舞を踊っているかのようにさえ見えるほど華麗なものだった。


「やっぱりいつ見てもいいコンビだな、あの二人は」


「ん。凄く息があってる。でも、私とクロ、には劣る」


「ははっ。まぁこっちは人の域を超えた化け物だからな。人にそれを求めるのは無理な話だ」


「んっ」


 スズのことを自分と同じ存在だといったのが嬉しかったのかほおを緩めて頷くスズの頭を撫でる。気持ちよさそうに目を細めるスズから視線を外し、いまだ敵を屠り続ける二人を観察する。


 俺たちと別れてからも右腕の無い状態で頑張ったのか人の動きに違和感はない。むしろ以前より良くなっているほどだ。前までは腕の力だけを使った荒々しく力強い動きだったが。今は腕の力だけではなく大剣の重さを利用した振りになっているのだ。やはり片手で体験を振るうのは動き方を変えるほどに難しいことだったのだろう。


 しかしそれによってジンは強くなっているのだ。


「いやー、久しぶりに良く動けたわ。最近は守ってばっかりだったからな。やっぱり攻めるのは楽しいな」


「あんまり出ていかないでよ。フォロー大変なんだからね?」


「そこはミーシャを信頼してるからいけるんだよ」


「もうっ」


 ……なんだこのあまったるい雰囲気は。


「お疲れ」


「おう、どうだったよクロ?」


「そうだな。ジン、お前は腕がなくなったせいか戦闘時の動き方を変えたよな?」


「あぁ」


「それがいい方に働きかけてるな。前まで力押しの戦いだったが今はもっと精錬された動きになってるぞ」


「私はどうかしら?」


「ミーシャは魔法の腕を上げてるな。うちにいる美咲ってやつがとんでもない使い手だが、それを常に見ている俺からしても魔法の構築速度が速くなってる。それに威力やコントロールも上がっているみたいだ」


「それはよかったわ」


「俺らも大分強くなったって自覚はあるが、お前たちはあれだな。クロは元々だが、まさかスズまでクロのほうに行くとは」


 ジンたちが戦う前に俺たちの戦いを見せた時のことを言っているのだろう。まぁ今の俺やスズからしてそこら辺で彷徨っている腐人なんて相手にならない。数十人単位の腐人を一撃で消し飛ばせるからな。


「いっぱい、頑張った、結果。あの時は、正直辛かった」


「クロのためなら何でもしそうなスズが辛かったって。そんなにやばかったのか?大迷宮ってのは」


「迷宮の最終階層あたりの魔物たちのステータスは大半が1000超えてたからな」


「「なにその地獄…………」」


 呆れたような声を出すジンとミーシャ。まぁ一般人からすればそうなっても仕方ないか。今のジンたちでさえ200に届かないレベルだ。そんな二人からすれば1000超えの魔物が跋扈ばっこする最上階層辺りは地獄に見えてもおかしくない。


「ま、まぁその話は置いて村に戻ろう。周囲の腐人はあらかた狩り終えたからな」


「だな。腹も減ってきたし帰るか」


「ん」


 適当に現れる魔物を殺していきながら村へとたどり着く。


「おかえりなさいジンさん。ミーシャさん。それと旅の方」


「おう、ただいまジョーリ」


 村に入る前、門の場所で話しかけてきたのは俺たちが村に来て初めて声をかけてきた村人だった。名前をジョーリというらしい。その傍にはセキヤという男が立っている。ジョーリは細身でセキヤは小太り気味だ。


「どうでしたか?」


「あぁ、この村の周辺はあらかた狩り終えた。しばらくはやってこないと思うぞ」


 ジンの言葉を聞いてジョーリとセキヤは安心したのか笑みが浮かんでいる。


「よかった、ここ最近はずっと警戒しっぱなしでしたからね。セキヤなんてそのせいで少し痩せちゃったんですよ?」


「そういうお前は前にもましてガリガリじゃないか!」


 そんなことを言って笑う二人からは緊張の色が見えない。本当に安心したのだろう。

 少しは腐人を狩ったかいがあったというものだ。

何故か重要キャラでもない登場人物の名前のサブタイトル

サブタイトルが思いつかなかったんです。

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