79.昔の仲間
神創国に向かうと決めた翌日、早速魔大陸を超えた俺たち一行は少し寄り道をして神創国に向かうことにした。
神創国に向かう途中に丁度あいつらの村があるのだ。ジンとミーシャの村だ。そのために俺たちは王国へと戻ってきていた。
「懐かしい、ね」
「だな。あいつら元気にやってるかな?」
「ジンとミーシャってあのヒモトにいたときの人たちだよね?」
「あぁ、俺たちの初期のメンバーだ。ほんと一ヶ月とちょっとの付き合いだがなかなかいい奴らだった」
急な出会いだったが結構気が合ってたんだよな俺たち。戦闘時も息があっていて戦いやすかったしな。
「確かここら辺の村だって言っていたが、なんて言ったか。忘れてしまった」
「………クロ」
「いや、まぁさ。名前なんて別に知らなくても行けるだろ?」
見つからなかったら空から探せばいいだけだし。それに丁度今見つけたし。
ここから少し行ったところに100人程度の気配を感じた。その中の二つは見知った、というか感じ知った?気配だ。ジンとミーシャだな。
「あっちに村がある。それにジンとミーシャの気配を感じたからそこがあいつらの故郷だろう」
「ようやく、会える」
「ちゃんと私たちのこと紹介してよね?」
「妾らは一度会ったことがあるだけじゃからな」
「わかっている。ちゃんと紹介する」
「我のことも頼むぞ主」
「もちろんだ」
久しぶりにあいつらに逢うのでいろいろと土産を用意してあるのだ。ここに来るまでに遭遇した魔物の肉や素材だ。結構上位の魔物たちだから換金なりすればそれなりの金になるはずだ。
ゆったりとした時間の流れを感じながら馬車の轍が残る道を歩く。一時間もすれば森の奥に丸太で作られた頑丈そうな壁を視界に納めることができた。
「止まれ!旅人か?この村に何の用だ?」
「友人のところに遊びに来ただけだ。ジンとミーシャはいるか?」
「ジンさんとミーシャさんだと?おい、ジンさん達に連絡しろ。今、ジンさん達に報告している。少々待ってくれ」
「わかった」
待つのは面倒くさいがジンたちの村だ。あまり迷惑はかけたくない。
数分村の外で談笑しながら待っていると重そうな(一般人からして)扉が開き中から二人の男女が現れる。男は金髪を逆立てたハンサムで女は緑髪を緩く結っている美女だ。
別れたときから変わっていないジンとミーシャだ。
「おぉ!クロ!」
「クロ君にスズちゃんっ。久しぶり!」
「あぁ久しぶりだなジン、ミーシャ」
「ん、久しぶり!」
「急に来るからびっくりしたぞ。それでどうしたんだ?」
「ちょっとこっちの方向に来る用事があったからな。ついでに寄ってみたんだ」
「そうなの。でもタイミングが悪かったわね」
「?何かあったのか?」
「最近突然変な魔物が襲い掛かってくるようになったんだ。なんか神官っぽい格好をしたゾンビなんだが、二日に一度ぐらいの頻度でくるんだよ。明らかに異常事態だ。クロ、また何かやらかしたのか?」
「なんで俺なんだよ」
確かにいろいろやった覚えはあるがこいつらが俺を疑うようなこと知ってるはずがないのに。
「お前と一緒に旅をしていた時は異常なほどの頻度で厄介ごとが起こってただろうが。今回もまた何かに巻き込まれてるんじゃないのか?」
よくわかってらっしゃる。