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イジメられていた最強ですが何か?  作者: 千弥 瀧
第5章 人魔戦争編
64/110

60.開戦前

先週投稿しなくてすみません

そして遅れてすみません

更に短くてすみません


楽しめていただけたらうれしいです

 王城玉座の間。その玉座に一人の中年の男性が座っている。この国の国王ラウルスだ。何気に初登場である。

 玉座のおかれる場から数段低い位置には23人の男女が跪いていた。その雰囲気は敬っているというより形式上跪いているように見える。


 その静かな場を引き裂く一つの男性の声。その声は普通の人には悲痛を思わせる声音だが、クロが聞けば気持ちの悪い狂喜を感じると顔を歪めるだろう。クロという異常者が顔を歪めるほどその声の裏に隠れる気持ちは気持ち悪いのだ。ドロドロとしたオイルのような狂喜がへばりついてくるようなのだ。


「我々人類は、今まで魔人族からの暴虐の数々にどうにか耐え忍んできた。しかし、魔人族に対抗できる戦力が集ったこの時で最後。我々は魔王を倒し人類に平和をもたらすのだ!」


 その声に23人の男女は顔を煌めかせる。


「勇者様方にはその戦力の一員として一般兵士を勝利へと導いてほしいのです」


 イウランの言葉に五十嵐が顔を引き締め答える。


「任せてください。俺たちはそのためにこの世界に呼ばれたんです。必ずや魔王を倒し、平和な世界を取り戻して見せます!」


必ずこの世界に平和を(必ず美咲を奪い返す)魔人族を倒して(美咲は俺のものだ)今まで犠牲に(殺して奪い)なった人たちの(返してやる)たちの仇をとってやる(この手で殺してやる!)


 こいつもまたイウランのように、裏に闇を隠し己を偽る。無自覚の偽善で無自覚の殺意を隠す。


 一人の異常者を起点に、一人の勇者の心が人知れず黒く染まる。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「それで?今はどういう状況なんだ?」


 場所は変わり魔大陸の大迷宮『ゲヘナゲート』の前。そこに一人の黒い男と四人の少女、それと真っ黒の全身鎧の長躯の男。それらと対面する形で魔人族の男がいた。


「え?だ、誰だ……?」


「いいから答えろ」


「ひっ!」


 いちいち説明する時間が面倒くさいため少し殺気を込めて再度問う。クロレベルで少々でも普通の人が感じれば意志が弱い人だと気絶するレベルだ。裏の仕事が多く、様々な拷問に耐えたことのあるこの魔人族でさえ、殺気だけで様々な死を幻視してしまうほどだ。


「っ、に、人間の国に、潜らせていたちょ、諜報部が、人間が兵を束ねこ、こちらに向かってきているという、報告が来たのだ……です」


「……おい、エマ?」


「わ、忘れていた……」


「こんな大事を、か?」


「仕方ないだろう!あの時はいろいろなことが起こりすぎて頭がいっぱいだったんだっ」


 ん~、まぁあの状況じゃ仕方ないといえるか。


「それで、どうするんだ?」


「ど、どうするとは?」


「お前魔王だろうが。これから魔人族と人族が戦争するんだろ?だったら魔人族の王としてどう対応するんだって聞いてるんだ」


「あ、あぁ。そういうことか」


 大丈夫かこの魔王は?


「まずは人族がどれぐらいこちらに近づいてきているかだ。どうなっている?」


「は、はっ。現在人族たちは人族の大陸の末端、ヒモト和国の港に集結していますそこで物資の補充をしている様子で、ここまで到達するのに一週間ほどかかると推測します」


「一週間か……」


「それならば早く城に戻って対応の準備しなければならないな」


「お前はこれから城に戻るのか?」


 まぁまぁ短い付き合いだがなかなか面白いやつだからな。


「何か手伝ってやろうか?」


「……いいのか?」


「お前のことはなかなか気に入っているからな。少しは手伝ってやらんこともない」


「おぉ!」


「昔から気に入った相手には甘いよねぇクロ君!」


「わかる。仲いい人には、すごく優しい」


「なんだかなぁ。お前らの言い方だと気に入った奴以外には酷い奴みたいじゃないか」


 俺はそんなにひどい奴じゃないだろう?


「クロは敵には残酷で無慈悲で容赦ないじゃろ」


「敵に躊躇っていたらだめだろう?」


「だからってあれはなぁ。主のやり方はなぁ……」


 四面楚歌か……。


「さ、さぁ行くぞ」


 このまま話してても一方的に責められそうだからな。逃げるが勝ちだ。


「逃げた」


「影渡り!」

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