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57.迷宮完全攻略

「アビス……アビスってどっかで聞いたことがあるような……」


「あれ、じゃないかな?前に、ジンとミーシャが言ってた、白狐の九尾、のお話」


 あぁ、確かにそんな話をしてたな。


「アビスと妾はこの世界のオブサーバー(観測者)として創造神様に作られた存在じゃ。アビスは生と死を司り死を吸収することで力を増す。そのアビスは何時か創造主を超えてやろうと企んでおったようでな。この世界で幾多もの死を吸収しようと魔族を洗脳し昔戦争を起こしおったのじゃ。きっとこの迷宮もそのために作ったのじゃろう。まったく、そんなことで創造神様を越えられるわけがないというのに」


「創造神とやらを超えてアビスは何がしたかったんだ?」


「どうせ世界の頂点という地位が欲しかったんじゃないか?アビスは小物じゃったからな」


 何だそれは。


「創造神を超えるため、ね。それ、超えることは無理なのか?」


「え?いや……それはどうだろうか?そんなこと考えたことないからのぅ……。できるといえばできるのか?現にアビスには死を吸収することで強化することができておるし……、妾も邪を取り込めば強化できる……これは強化しろという暗示か?いやしかし、それでは謀反を考えるやもしれぬというのに。いや、もしかして……」


「創造神は謀反を待っている、とかか?」


「ありえる……創造神様ならありえそうじゃ。あのお方は孤独じゃからな。自分と対等に生きることができるものを欲しておるのやもしれんな」


 てことはすこし目的が違うがアビスは創造神の趣向に沿っていたといえるな。

 俺とロベリアがそんな話をしているそばでは話の内容がわからないスズたちは必死に話を理解しようと頑張っているが……。


「お前たちには理解できないと思うぞ。話のスケールが大きすぎる」


 俺も当事者だから理解できているだけだからな。


「こやつはもう喋られぬだろうし、楽にしてやらぬか?」


「いいのか?お前はこいつに何千年も苦しめられたんじゃないのか?そんな奴をこれだけで許すのか?」


「いいんじゃよ。こやつに封印されたからクロに出会えたんじゃ。いわばこやつのおかげというものじゃ」


「む……」


 そうストレートに言われるとな。


「ま、まぁロベリアがいいのなら、いいか」


 ちゃっちゃと婆の抜け殻を処分するか。


「シロ」


 俺は久しぶりに自分の影を呼び出す。俺の影がにゅっと起き上がり真っ黒な人型が現れる。


「これ、喰っていいぞ」


 そう俺が言うとシロはゆったりとした動きで婆に近づき婆の影を拾い上げ、それを喰らう。

 これを見たことのないロベリアや美咲、ゼロにエマは驚いた様子でそれを眺める。


「そういえばこれ見たことあるのこの中じゃスズだけか」


「ん、初めて、これを、見たとき。私も驚いた」


 懐かしいな。あれからまだ数か月しかたってないのにな。


「く、クロ?これは何なのじゃ?」


「これは俺の力の一つだな。影喰いっていって、喰らったもののステータスをそのまま吸収できるんだ」


「なに、そのチートは。流石クロ君だね」


 俺もこれは反則だと思うは。ま、使えるもんは使うけど。


「さ、これで迷宮完全攻略だろ?この迷宮の主もいなくなったことだし、帰るか」


「世界最凶と恐れられた迷宮を、たった数日で攻略……か。流石、クロ殿」


 何だかエマが遠い目をしている、そろそろ慣れろよ。


「ところで、どうやって帰るんだ?」


「さぁ、地道に、降りるとか?」


「あのアビスのことじゃからな、どうせ帰りのことなんて考えてないのじゃろう。それよかここまでたどり着けるとも思っていなかったのではないか?ここに来た時のアビスの演技、張りぼて感すごかったしのう」


「面倒くさい。全員ちょっと俺のそばに来て」


 スズ以外の何をするんだ?という視線を無視して前のステータスに存在した魔法を発動する。


「影渡り」


 それをつぶやくと全員の足元にある影が広がりだす。そしてだんだんと足が影に飲み込まれだす。


「ちょ、クロ殿!?なんだこれは!」


「ちょっと転移するだけだ。落ち着け」


 エマは見たことも体験したこともない現象に騒いでいたが影からは逃れられずついにはその体のすべてを飲み込まれる。

 エマ以外の皆はもう慣れたような呆れたような表情をしながら影に飲み込まれていった。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 一瞬の闇の後、肌に感じるさわやかな風、と耳に届く驚きの声。


「な、なんだぁぁ!?」


 目を開けるとこの迷宮に入る前の景色が広がっていた。それと見たことのない魔人族。


「なぁ!魔王様ぁ!」


 その魔人族がエマを見つけると大きな声を出してエマに走り寄る。


「お?確かバーラだったか?伝令役の」


「は、はいっ。そのバーラであります!」


「それでどうしたんだ?何かあったのか?」


「はいっ。に、人間族が攻めてまいりましたっ」


「は?」


 急に現れた魔人族の口からは人間が攻めてきたと聞こえたが……。


「なぁ、エマ?」


 その魔人族の言葉を聞いたエマが顔を真っ青にして震えている。何か知っているのだろう。


「わ、忘れていた……」


「何をだ?」


「いま、人間族と戦争になりかけていたことだ……」


 この魔王様はバカなのだろうか?

迷宮編終わりました

最後のあたりいろいろ懐かしい設定入れましたが覚えていますか?

作者も少しうろ覚えでしたw


次は人魔戦争編に入ります

これからも楽しんでいただけたら幸いです

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