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56.迷宮第200層

 婆が踏み込んだと思った瞬間、俺の目の前に瞬時に移動している。その顔は自信に満ちて俺には捉えられていないとか思っているのだろう。実際には移動時に揺れる趣味の悪い紫やらピンクやら緑色の入り混じる毛先まで見えているんだがな。


「死ね、下等種がぁ!」


 俺を殺せると思っているのがそんなにうれしいのか顔を狂喜に歪めながら殴り掛かってくる。本当なら簡単に避けた後某タコのような殺せない先生以上に手入れができるのだが……まずは相手の心を折るためにわざとボコボコにされようか。


「ぐっ!」


「ひゃはっ!」


 ばれない様に苦しげな声を出しながら吹き飛ばされる。


「さっきまでの威勢はどうした下等種ぅ?」


「クロ殿っ!?」


『……』


 婆は俺の演技に気づいておらずニヨニヨと吹き飛ばされた俺を見ている。エマはまだ俺との付き合いが短いためか俺の考えを分かっていないようで心配そうに叫んでおりスズたちはみんな微妙な表情だ。


「ひひひっ、もっといたぶってあげるぅ!」


 気味悪い顔でそんなことを言いながら突っ込んでくる。


「ほらほらほらほらほらぁっ」


 吹っ飛ばされた俺を蹴り上げ、浮いたところで腹を殴られる。クの字に折れた俺の背中を廻し蹴る。蹴られ出た腹を蹴られまたクの字に折られる。そして下がった頭に踵落としを食らわせられる。


「うぐっ」


 地面に顔面を叩きつけられる。


「うひひっ、そろそろいたぶるのも飽きたし、殺しちゃいましょ!」


 なんだ、もうおしまいなのか。


「さぁ、しヴェへっ!」


 婆が俺の頭を持ち上げ自分の眼前に持ってきたときに顔面に一発入れてやった。すると面白いほどに吹き飛んでいく。


「がっ、ぶ、グハァッ!」


 何度も地面を跳ね汚い悲鳴を上げながら転がっていく。


「生ぬるいな婆。いたぶるならば相手が死にたがるほどしないとだめだろう?」


「な、なぜ貴様が、貴様のような下等種がこれだけの力をっ!」


「黙れや婆。俺がお前の質問に答える義理はない。これからは俺のターンだ」


 驚く婆の懐に一気に踏み込む。


「っ!?」


 婆には俺の姿が見えていなかったのだろう。目を見開いている。

 その婆の腹に蹴りを入れ、吹き飛びそうになる婆の体を趣味の悪い色の髪を掴み逃がさない。と思ってつかんだのだがどうやら蹴った力が強かったようだ。掴んだ髪の毛が抜け婆が空に吹き飛んで行ってしまった。


「あー、うおっ、汚いなぁ」


 ふと自分が握っている婆の髪を見てみるとどうやら頭皮ごと剥げてしまったようだ。毛の先に血だらけの皮膚が引っ付いている。気持ち悪いからそこら辺に捨てる。


「ぐあっ。あ、あだまぁ……、あだまがいだいっ!?」


 落ちてきた婆が血の流れ出る頭を押さえながらのたうち回っている。


「気持ち悪い。ちょっとはおとなしくしろ」


 のたうち回る婆の腹を足で踏みつける。


「うぼぁっ」


「ちょっ、汚いって言ってるだろうが!」


 踏みつけた婆が何か吐き出しやがった。それに触れるのが嫌でいったん距離をとる。

 婆は四肢をついて咽吐いている。


「汚いもん見せるなやっ」


 その婆の後頭部に蹴りを入れ、顔面を地面に叩きつける。もちろんそこには婆が吐いたものが広がっており。べチャッと顔面吐瀉物(としゃぶつ)まみれになっている。

 婆は顔を吐瀉物に浸したまま動かない。気絶したのか?だったら起こさないとな。


「おらっ」


 吐瀉物に触れるのは絶対嫌なので膝を踏み抜く。バキっと音をさせて膝が砕ける。


「イギャァァァアア!」


 その痛みで顔を振り上げ婆が起きた。その時振り回された髪についていた吐瀉物が俺の体に少しかかってしまった。よし。


「全身の骨粉々に砕いてやらぁ」


「ぎやぁぁぁぁぁ!イダイイダイイダイイダイぃぃぃぃイイ!」


 つま先からゆっくり踏みつけ骨を砕く。砕いた後もぐりぐりと踏めつけてやると婆は気持ち良いのか大声を上げて喜んでいる。気持ち悪。


「そんなに嬉しいのか。だったら骨砕き終わったらつま先から千切りにしていってやるよ」


 その後数分かけてじっくりと骨を砕き終えた。一応手足などの砕きやすい奴だけだ。頭蓋骨や背骨などの砕いたらそのまま死んでしまいそうな場所は折るだけにしている。


「さぁ次は千切りだな?」


 そう婆に問いかけるが返事がない。おかしいな、死なない様に手加減していたのに。婆の顔を覗き込むと白目をむいていた。気絶はしていない。息はしていた。精神的に死んだか?


「まぁいいや、千切り千切り」


 婆との約束だからな。ちゃんと千切りにしてやらないと。


「な、なぁクロや。もういいんじゃないのか?というかこいつに聞きたいことがあったんじゃが……、もう喋ることもないか」


「あ?用事があったのか、すまんなロベリア。もう精神的に死んでるわ。まったく、根性が足りん。これならまだエマに絡んでたク……何とかってやつのほうがまだもったのにな」


「クルド、だよ。クロ、本当に容赦、ないね」


「でもそんなところもいい!まぁエマちゃんには刺激が強かったみたいだけど」


 美咲がそう言いエマを見る。エマは俺たちから背を向け咽吐いていた。


「主がやりすぎるから……」


 ゼロの責めるような視線から目をそらす。


「ご、ゴホンッ。……さぁ、迷宮攻略の続きをするか」


「クロ、多分攻略は終わったと思うぞ。この迷宮作ったのそこのアビスだからな」


「は?」


 まじかよ……。

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