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5.依頼とゴブリンと記憶

 今日は1人ギルドの依頼を受けるためギルドに来ている。

 今日受けるのはアハドさんに倒し方を教えてもらったゴブリンを試しに受けてみる。


 ゴブリンの討伐適性レベルは5だから今の俺には余裕だ。だがそこで慢心するのは初心者と教わった。

 ゴブリンは雑魚でも集団で来ればベテランでも命を落とす事がある。それに時々突然変異で生まれてくるゴブリンは見た目普通のゴブリンだが、適性レベル20のオーク並みの力で生まれてくることがある。ゴブリンキングで適性レベル18、ゴブリンキングより強いゴブリンってどーよ。


 ゴブリン討伐15匹、適性レベル6、報酬4000ミル(ミルというのはこの世界の通貨の単位の事)日数制限2日で初心者から見ればまぁまぁの依頼だ。


 場所はメルドから東に3時間ほど歩いたとこにある森だ。最近その森でゴブリンが活性化していて旅人や商人の馬車に被害が出ているらしい。


 その依頼を受けた後俺は必要になりそうなポーションなどを買い込んだ後すぐに街を出た。


 森についてからはかなり順調に行っていたが、ゴブリンを14匹討伐した時にそいつが現れた。


 見た目は普通のゴブリン。だが、ラスト1匹を見つけ初めての依頼がスラスラ行くのでかなり浮かれていて、そのゴブリンの異常性に気がついていなかった。


 そのゴブリンは肉を食っていた。火を使いちゃんと焼いている。それだけなら時々いる智能が高いゴブリンでもしている事だ。


 本当に異常なのは、そいつの側に置いてある今奴が食っているものの死骸だ。


 《オーガ》


 城で見た魔物図鑑では見た目が、身長約2m、全身に毛が生えていて額から先が2本に別れたツノが生えている。ゴブリンのそばに置いてある死骸と姿が似ている。2mぐらいで毛が生えていてツノもある。完全にオーガだろう。


 この時少しでも違和感を覚えていたらよかった。この世界じゃゴブリンがオーガに勝てるわけもない。ゴブリンの討伐レベル5、それに比べオーガの討伐レベルは30だ。


 強すぎるよ。なんで気づかなかったかな俺。どぉ考えてもおかしいじゃん。初めての依頼で浮かれていたからってさぁ、ゴブリンキングでも18、突然変異でも20、


 ゴブリンが勝てる相手じゃねぇ。


 だがその時の俺は気づかなかった。


「よしっ、ラスト1匹!さっさと倒して早く戻ろっ!」


 未だ肉を食べ続けているゴブリンの後ろに回り1撃で終わらせようと首を切り落とすため剣を頭上に構える。


 剣に力を込め思いっきり振り落とすため少し上体を下げる。そして首をはねるため剣を落とそうとすると、


 ビュンッ!


「は?」


 目の前を鋭く風を切りながら何かが通った。


 そして今まで飯を食っていたゴブリンがこちらを向いて剣を振り終わった状態で立っている。


「チッ」


 ゴブリンが舌打ちしているが何が起きたのか俺には理解できず、ぼけぇっと剣を振りかぶった状態で突っ立っている。


 まぁ俺が理解するまでゴブリンが待ってくれる訳もなく、持っている短剣を振りかぶり俺を殺しにかかる。


 すぐにやばいと感じ後ろに倒れこむように下がる。

 またしても目の前を鉄の刃が走る。


「なんだよこいつっ!さっきまでのゴブリンと全く違う!」


 ゴブリンは2度も避けられた事に不機嫌になりつつ、こっちに近づく。俺と言う獲物を狩るために。


 咄嗟に倒れ込みとった距離だが、ゴブリンが1歩踏み込み一瞬でゼロになる。


「ちょ、まっ!」


 待ってくれる筈もなく、銀色の線が俺に迫る。


 シャッ!


 首が斬られたかと思ったが身の前で交差した腕が少し斬られただけのようだ。


「つッ!」


 痛みには慣れたが痛いものは痛い。

 本当ならあの1撃で俺の首が飛んでいただろうに何故か無事だ。

 その事を不思議に思いながらゴブリンの方を向くと、


 ニタァ


 口を裂き嘲笑う。

 その笑みで奴の考えている事を知り恐怖で一杯になる。


 自分を殺そうとしたやつを痛めつけ、苦しませ、命尽きる最後まで玩具にして遊ぶ。


 それに気がついてしまったらもうまともに、真正面から戦う事なんてできない。

 剣を鞘に収め背を見せて逃げる。逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる。


 後ろから俺を追って走る足音が聞こえる。背を、腕を、脚を徐々に斬っていく。全身を斬られ身体中切り傷で一杯になり全身血で染まる。


 ゴブリンが付かず離れず追いかけて来る。

 俺は恐怖で森の中を走り回る。


 だが、逃げるため地面を踏み込もうとするが、足は空を切る。

 突然足元の地面がなくなっていたのだ。


 そこは地面にできた裂け目の底は真っ暗でよく見えない。

 生えていた草のせいでその裂け目に気づかず俺はそのまま裂け目に落ちる。俺を追っていたゴブリンも俺で遊ぶ事に夢中で気付かなかったようでそのまま俺と落ちる。


 咄嗟にナイフを取り出し壁に突き立てようとするが、裂け目の幅が広く壁に届かない。


 何もできないまま俺とゴブリンは落ちていく。


(あぁ、馬鹿だな。俺)


 このゴブリンの異常性に気づかなかった事を悔やみながら裂け目の底へと消えていく。



 目がさめる。

 暗くて寒い所で何故か俺は倒れていた。

 右手にはなんだか冷たくヌメッとする液体塗れの何かがある。

 動こうとすると全身に激しい痛みが走る。

 その痛みを我慢しながら立ち上がる。


 周りを見渡すと近くに川があり隣にゴブリンの死骸がある。

 喉にナイフが突き刺さり全身血で真っ赤に染めている。


「なんでこんなのの隣で俺は寝てたんだ?」


 ゴブリンの死骸を見た後自分の体を確認する。

 隣のゴブリンほどではないが俺も血だらけだ。身体中を斬られていてヒリヒリする。


 俺がこんなとこにゴブリンの死骸と一緒に寝ていた事の訳を考える。


「まぁ俺のこの体の惨状と隣の死骸を見りゃ大体わかるけどな。俺はこいつと戦っていて全身傷だらけになりながらも最後は倒した。が、力尽きて俺も倒れたってとこか?」


 理由が分からないから考えてみた。

 そう、分からないのだ。俺がここにいる理由も、ここがどこかも、何故こいつと一緒に寝ていたのかも、そして、俺が誰なのかも。


「分からん。だが、記憶もなくなっていて、こんな薄暗い所で死骸と寝ていると言う状態を見ても全然動揺もしないって事は、前の俺はそれなりに図太い奴だったのかもな」


 そんなどうでも良い事を考えながらこれからの事を考える。


「上の方は少し明かりが見えるからこの壁にを登りゃ出れるかな」


 ゴブリンから、一応ナイフを取り崖を登っていく。

 時々ナイフを壁に突き立てどんどん登る。


 段々と光が強くなり外が見え始める。

 そしてついに崖を登りきる。


 そこは草原だった。この崖は地面にできた裂け目でかなり長さがある。

 起きた時濡れていたし近くに川があったから遠くの方から流されたのかもしれん。


「まぁここがどこかもわかんねぇんだ。適当にふらついて道でも探すとしよう」


 俺は1人、この広い草原を散策しに歩き始めた。

まさかの主人公記憶喪失w

なんかベタかもしれませんが次話も見てくれると嬉しいです!

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