51.迷宮第120層
すいません遅れました
それと短いです
壁をぶん殴ると殴った点から蜘蛛の巣状にひびが入っていく。まだ壊れないか。結構頑丈。
「もう一回っ」
偽物が止めに入るが無視。
「ふんっ」
「ちょっ、ちょっと待って!」
「なんだよ。今俺壁壊してるんだよ。邪魔すんな。おーけー?」
「お、おーけー……ってちゃうわ!」
お、関西弁か。
「ちゃうくないです。俺、壁壊す。お前、静かにする」
「ダメだって!壁壊しちゃダメ!お願いだから壁壊さないでぇぇぇぇ」
何なんだこいつ。俺の腕に引っ付き意地でも壁を殴らせないと意思が伝わってくる。こいつ俺の偽物だが力は結構あるな。現に結構力を入れて振りほどこうとしてるが全然振りほどけない。
「お前、俺の偽物なんだよな?」
俺がそう偽物に問うと偽物は興味を持ってくれたことが嬉しいのか俺の顔で二パァッと笑う。
やめてくれ。俺の顔でそんな笑い方するな。
「そ、そうなんだよね。俺偽物なんだ!」
「お、おう。お前、偽物だけど力は俺と同じなのか?」
「多分同じかな。僕達はこの階に侵入した侵入者に変化するんだ。能力値もコピーできるから。でも君凄いね。とてつもない力を感じるよ!」
「ヒヒっ」
「え?」
つい口から零れ落ちた笑いに偽物が反応しこちらに振り向く。てかもうキャラ崩れてるな。
「ヒィィッ!」
「あはっ。どうしたんだ急に怯えて。まるで恐ろしいものでもみたような顔して」
「こ、来ないでくださいぃぃっ」
なんだよ。心配して近づくと尻餅をついて後ずさる。
「あはぁ。なんだよぉ。近づいただけだろぉ。逃げるなよぉ。ヒヒヒッ」
全く、失礼だなぁ。俺が親切心で起こしてやろうとしてるってのに。
「あ、そうだっ。今さぁ、俺暇なんだよね!」
「え?さっき仲間を助けようとしてたよね。続けないの?」
「あぁ、いーのいーの。今は遊びたい気分なんだよね!なんか体動かしたいなぁ。あっ、いいこと考えた。戦おうぜ?」
「!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
偽物は何考えてんだ?みたいな表情を浮かべる。が、俺は華麗にスルー!偽物に殴り掛かる。
「っ!」
俺の渾身の、心を込めた右ストレート。パンっと音の壁を越えて偽物に一直線。
「うほぉっ」
しかし偽物はそれを避けてしまう。
「おいおい避けんなよぉ。俺の心のこもった右ストレート!受け止めてくれよ」
「い、いや!あれ避けなきゃ死んじゃうよ!?」
全く。わかってない。
「死にそうなのがいいんだろうが!さぁお前もかかってこい!」
「なんなの君ぃ!こわいぃ」
ちっ、ちょこまかと避けやがって。
「おらおら、さっさと攻撃してこいやっ。死合しようぜ!」
「死合ってなに!?試合じゃないの!?もう嫌だこのひとぉ」
偽物が俺のパンチ避けるからすべて壁にめり込んでしまう。折角守った壁がボロボロになる。
「おいおい、守った壁壊れかけてるぞ?いいのか?」
「か、壁なんかより僕の命だよっ」
「んじゃ死なないように戦うんだな?」
「あっ……」
「よっしゃいっくぞぉ!」
「いやぁぁぁぁl」
全くしぶといやつだ。
右ストレート、半身引いて避けられる。右フック、一歩下がって下げられる。右廻し蹴り、しゃがんで避けられる。そこに踵落とし。後ろに飛んで避けられる。が、無理な体制で動いたせいか尻餅をついている。その顔面に向けて膝蹴りをくらわせる。しかしぎりぎり手でふさがれてしまった。
「ひひっ、なかなかやるじゃん。あぁ、楽しくなってきた!どんどん行くぞっ」
「くっ、仕方ない。怖いけど、死ぬのは嫌だから、僕も本気で行きますっ」
ゾクゾクゾクっ。
「ふ、ふひっ。これが殺し合い……、ゾクゾクするっ」
「あ、これダメな奴だ…」
さぁ、殺しあおうかぁ。




