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50.迷宮第120層

 迷宮第120階層。


「あ、あっさり歴代の記録に追いついてしまった……」


 ん?


「あぁ、そういやそんな話もしていたな。この階層が今までの最高だったんだったか」


「あぁ、それをこうもあっさりたどり着いてしまうと感動も何もないな」


 まぁここまで困難という困難なんてなかったからな。せいぜいスズと美咲がロベリアに死ぬほど鍛えられたりエマが拒否するのを無視してロベリアに鍛えられたリ俺とゼロが暴れたり迷宮が壊れかけたりしたぐらいだ。


「この迷宮って何階層まであるんだろ」


「まだ誰も最下層にはたどり着いたなんて聞いてないからの」


「今回は、どんな階層、だろう」


「今までいろいろな場所があったからねぇ」


 この迷宮は一階層ごとに環境が全く違っていた。一階層はジャングル。37層は平原。その他山岳、森林、熱帯、寒帯、荒野、洞窟、寂れた町、崩れた城など多種多様な環境がそろっていた。

 120階層に続く階段を上る。階段の先に光が見えてくる。

 階段を上り終えた俺たちが最初に見たのは、反対側から上ってくる俺たちだった。


「え、なんで……」


「いや、これは鏡だな。なんで鏡が」


 俺たちが120階層に上がり終わると一面鏡の部屋に出る。道は俺たちが来た階段しかなかったのだが……、


「む、階段がなくなっておる」


 階段もなくなってしまったようだ。てことは、


「四方全てが鏡、どこにも道がなくなってしまったな」


 これではどこにも進むことができなくなってしまった。


「な、なんかこの鏡、というか映ってる私たちおかしくないか?なんか、全員こっち向いているような」


 確かに……。俺たちずっと同じ方向いてるってのに四方の俺たちはなぜかこちらを向いている。しかも微動だにせず。なんか怖いな。


「おかしい。もしやここが最下層?だけど今までそんな話は聞いていないし」


 そう俺たちが頭を悩ませてると、


「っつ、何!?」


 突如四方の俺たちの目が光り視界をつぶされる。


「スズっ、みんな大丈夫か?」


 罠だったのか。今までそういったものがなかったため油断していた。


「ひひっ」


「あ?」


 俺たちしかいないはずなのになぜか聞きなれない笑い声が聞こえる。いや、なんだか聞いたこともある気がするのだが、なんだっただろうか。


「誰かいるのか?」


「ひひひっ」


 また笑い声。マジで誰なんだ。それにこの声。聞いたことがあるような気がするのに、わからない。

 だんだん光につぶされた目が見えてくる。


「ひひっ。やっと目が見えてきたか?」


 どうやら俺の前に誰かが立っているようだ。ぼんやりと輪郭が見えてくる。身長は俺と同じほど。全身真っ黒なローブを着ているようだ。少し長めの黒髪に真っ黒な黒目。ん?なんだか見たことあるような……。


「ひひひひひひ。おいおい、気づいてねぇのかぁ?よぉく見てみろよぉ」


 やっぱりどこかで聞いたことのある声。それに外見も……。っ。


「もしかして、俺?」


「ひひひひひひっ」


 俺の目の前にいたのは気味の悪い笑い声をあげる俺自身だった。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「っ、クロ!?皆っ。……ここ、どこ」


 急に部屋が光ったかと思ったら周りからみんなの気配が消えて前に感じたことのない気配が現れる。


「だれっ?」


「ふふふっ。私だよぉ」


 私の前に現れたのは真っ白な髪に肩にかかるかかからないかぐらいの短髪。頭の上にはピンッと立った狐の耳。腰には短剣。これって…、


「私?」


「せいかいっ♡」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「っ、ま、まぶしっ」


 何なの!?急に光ったせいで視界が塞がれちゃって皆の状況がわからない。


「大丈夫大丈夫。みんなは無事だよぉ。くふふっ」


「だ、だれ?」


 なんだか変な笑い声が聞こえる。


「わからない?}


 肩に届くぐらいの茶髪にぱっちりな目。なんだか鏡に映った自分を見ているような……。


「あ、私か」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「むぅ、まぶしいのじゃ」


 何が起こったのじゃろうか。急に鏡が光ったかと思うと周りの空気がいっぺんに変わって行った。多分転移か何かじゃろう。


「きしししっ。私がだれか」


「む、妾じゃな」


 すごいそっくりじゃな。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「ど、どこだここはっ」


 光が収まり気が付くと周りからクロ殿たちが消えていた。


「な、何があったのだっ!?」


 とんとん。


 っ、急に肩をたたかれ驚いた。振り向くとそこには私の顔があった。


「えぇ……」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「ふぅむ。空気が変わった。転移系のトラップか」


 なんだ、急に面倒くさい罠が出てきた。


 ガシャ。


 金属がぶつかるような音が聞こえる。


「クククッ」


「お、おぅ……。我はこんな暑苦しそうな恰好をしておったのか」


 鏡見たことないから知らなかった。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 全員に忍ばせておいた虫の影からスズたちの情報をえる。


「なんかめんどくさいことに……。これはあれか?よくある定番の自分と勝負って感じか?」


「ひひひっ、そう「めんどくさ」」


「ちょっ、話を「壁ぶち抜くか」はぁ!?」


 なんか偽物がしゃべってるがどうでもいいか。


「よっと」


 軽い掛け声と共に拳で壁を殴る。

 ビシッと音がしてだんだん壁にひびが入る。


「なっ……」


 偽物が「声も出ない!」って感じで驚いているが無視無視。


「さて、最初に誰と出会うかな。」

自分との対決

定番ですよね

まぁぶち壊しますけど

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