43.迷宮一階層
久しぶりに長く書いたけどこれで2000。
前の感じに戻すの大変そう
今、俺たちの前に巨大な十字架が斜めに突き刺さっていた。てっぺんまで100m程あり地面と接触している部分に扉が存在していた。扉の表面には骸骨や人の顔、しかもおじいちゃんおばあちゃんから赤ちゃんの顔まで様々な顔が恐怖にまみれた表情で固まっていた。
「悪趣味すぎるな」
「…気持ち悪い」
「この趣味…どこかで見た覚えが」
「表情が無駄にリアルだよぅ」
「昔からこの迷宮はこのままなのだ」
魔人族がこの迷宮を見つけてすでに1000年ぐらい経っているのだがこの巨大な十字は欠けることもせずに不動の姿勢を貫いていた。
「まぁここを目指してわざわざきたんだ。今更帰る気は無い」
「行きたく無い、けど、仕方ない」
クロたちは渋々扉を潜って行ったのだった。ついでだがこの扉、開くと老若男女の悲鳴のような音を立てるのだからものすごい罪悪感に蝕まれる。開始早々やる気を削ぎにきてやがる。
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扉をくぐるとそこは一面真緑のジャングルのような場所だった。
「暑いな」
環境もジャングルに似ているようでかなりも猛暑だ。
先ほどの扉とこのジャングルの暑さに項垂れているとガサッと音がする。
「何か来たみたいだね」
スズと美咲が音のする方向を注視する。すると、
ピュッ。
「「きゃっ!」」
スズ達めがけて黄色い液体がかなりのスピードで飛んで来た。
なんとか避け飛んで行った液体を見るとジューと音を立てながら地面を溶かしていた。
「酸性…」
「危なかった。危うく顔が溶けちゃうとこだったよ」
飛んで来た液体はかなり強い酸性で触れたものを即時に溶かしてしまう。
名前は…アッシドエイプか。口から酸をはき隠密が得意。常に集団で行動をしている。
スズと美咲はここに来るまでにかなりレベルを上げたのに危うかったな。ちなみステータスはこうなっている。
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名前{}スズラン Lv.68
種族{}獣人狐族
年齢{}14
称号{}魔物殺し 異端の者 嫌われ者 人斬り 精神強者 魔物の敵
職業{}冒険者
体力{}212/212
魔力{}246/246
敏捷{}241
筋力{}203
スキル{}白狐の恩恵
属性{}火 水 光
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名前{}山城美咲 Lv.67
種族{}人
年齢{}17
称号{}勇者 魔の天敵 魔物殺し 魔物の敵
職業{}勇者
体力{}204/204
魔力{}231/231
敏捷{}224
筋力{}227
スキル{}言語翻訳
属性{}光、水、火、風
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魔大陸にやって来てまだ1週間ほどしか立っていないのだがこの成長力。
スズはスキルの白狐の恩恵。美咲は称号勇者のおかげで成長が早いのだ。
そんな感じでここまで強くなっている2人でも1回層目の魔物で危ない場面になっている。もう少し上に行けばゼロも苦戦して来そうだ。
「ここの魔物がこれほど強かったとは。もう少し早く来ておけばよかった」
「いいじゃねぇかゼロ。もう少し上に行きゃ全力で戦える奴が待っているはずだぞ」
「おぉ。それは楽しみだ!」
相変わらずの戦闘狂だな。
「ここじゃ苦戦しないって、ゼロ殿もかなり強いのだな」
「本気で体を動かせばあたりの地形を変えてしまうからな」
「地形を変えるほど……。でもここは自己修復機能が備わっているそうだ。一度英雄と言われるほどの力の持ち主が山を1つ消してしまったことがある。が、直ぐに地面から山が生えて来たそうだ。だから地形を変えたとしても大丈夫だと思う」
「そうか!だったら心置きなく本気でいかせてもらおうかな!」
ゼロは目を輝かせながら次の回想に続く階段を探し出した。
「自己修復機能か…。だったら俺の力がどれほどなのか試してみてもいいな」
「主も存分に楽しもうぞ!」
「だな!なんだかワクワクして来たぞ。俺がどれだけ出来るのか試すにはもってこいじゃ無いか!」
クロとゼロは子供のように目を輝かせながら辺りを探す。本気を出せないのは戦闘狂にとってストレス以外の何にでも無いのだ。
「くそっ。めんどくさい。探して来てくれ」
そう言うとクロの足元にある影が波打つ。そして中から何十匹と言う小動物が出て来る。鼠、猫、犬、兎、栗鼠、蛇、鼯、雀、燕、烏、青鵐、鶯などが一斉に森に解き放たれた。
「数分もすれば見つかるだろう」
「本気で探しているんじゃな」
そんなことをしていると美咲達がアッシドエイプを倒したようだ。
「私たちが、戦っている間に、何してるの」
「はぁ、疲れた。1回層目からこれって結構きついかも」
「おいおい、ここでそんなんで120回層まで持つのか?」
「うっ。そうだった」
「ここって最低でも120回層あるんだったね……。先は遠いいよ」
先人達で120回層まで行ける奴がいたことに驚きだ。
「お、次の階層への階段を見つけたみたいだ。スズ達はここでレベル上げをしといてくれ。俺とゼロは少し下の階層に行って来る。ここで危なげなく戦えるようになったら下に降りて来てくれ。鼠を一匹ここに置いておくから」
「わかった」
「んじゃ、行くぞゼロ!俺たちの力を試しに!」
「心がワクワクする!」
そう言ってクロ達は森の中に消えて行った。




