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42.アブート終結 後編

文考えるのが難しい。

フィーの母親は頭をアジトから引き離した時に救出して、今は兵士に面倒を見てもらっている。俺たちはその兵士のいる詰所にきている。


「こちらがアリアさんが休まれてる部屋です」


「わかった」


アリアとはフィーの母親の名前だ。そのアリアがいる部屋を兵士に案内してもらった。


「あの……アリアさんの事ですが」


「何かあったのか?」


兵士がフィーに聞こえないように声を小さくして話しかけていた。


「元がどうだったのかは知らないんですけど……相当変わってらっしゃって。もしかしたら今回の件で何か精神的変化があったのかと…」


「あぁ、そういうことか」


もしかしたら今回の件でフィーの母親がおかしくなったのではと。せっかく再び合えるというのにそれではフィーが可哀想だと言っているのだろう。


「フィー。お前の母さんってどういう人だったんだ?」


「えっとね。お母さんはすっごく優しくて綺麗で、でも私が悪いことをするとすごく怖くって」


それを聞くだけでもわかる。いい母親だったんだろう。


「でね。よくお父さんに叩かれてた」


「は?」


「そしたらお母さんはぁはぁって言いながら笑ってるの。お父さんも笑ってるの。すっごく仲がいいの」


なんだって?。聞き間違いだよな?


「よく夜遅くにパンパンって音がしてお母さんたちの部屋を覗いたら鞭持ったお父さんがお母さんを叩いてるの。悪い人が叩く感じじゃなくて楽しんでる感じ」


おい……どう言うことだ?


「あ、あのぅ。アリアさんの現状が……まさにその子が言っているような感じで。身体中傷だらけなのに頬を赤く染め息を荒げているのです…」


oh……、変態か。


少し覚悟を決め扉を開く。


「はぁ、あ、あら?どちら様かしら?」


そこには美人の女性がいた。フィーと似た茶髪におっとりとした表情。皮膚が見える場所は包帯などがまかれて痛々しいのだが……何故か頬が赤くなっており息も荒い。兵士が言っていた状況と同じだ。


「本物の変態だな……」


クロが病人でフィーの母親だと言うのに冷めた表情でそう罵るとアリアはビクンッと体を震わせ更に表情がトロンとなる。


「は、はぅっ。そ、その表情…いいわぁ。ゾクゾクするわぁ」


「あぁ……クロお兄さんかっこいい……」


やばい。親子揃って変態なのか。


「クロくんかっこいいなぁ」


まさか美咲もあっち側なのか?


「ち、違うよ⁉︎私は向けられるのがいいんじゃなくて向けてるのを見るのがいいの!」


違いがわからん。まぁいい。話を進める。


「アリア、だったか。体は大丈夫なのか?」


「あ、はい。痛いですが大丈夫です。もしろキモチ「そうかそれならいい」」


気持ちの悪いことを言いそうになったので遮る。


「は、はぁ」


「俺たちはそこのフィーに頼まれてあんた達を助けた者だ」


「あ、そうなんですか。この度は私たち親子を助けていただき本当にありがとうございます」


ここだけ見ればいい母親なんだけどな。


「何かお礼をしたいのですけど」


「お礼はいらない。これからもフィーを守ってくれるだけで十分だ」


「そ、それだけじゃ……」


「ならその性癖を直してフィーをちゃんとした一般人に育て「無理です」」


「私たち夫婦はフィーをそんな子に育てた覚えはありません。なのにそうなってしまったのは私たちの血が繋がっているからなのです!」


急に熱弁し出すアリア。確かに両親が変態だったら娘も変態だと言われても納得できるが……。いや、納得しちゃうダメじゃないのかな?


「ま、まぁいい。俺たちもここに長く止まるわけには行かないからもう行く。あとは兵士たちが色々としてくれるはずだ。じゃぁ俺たちは行く」


ここの兵士はエマがいる事を知っているから色々としてくれるだろう。


「まってお兄さん!」


詰所を出ようとするとフィーに呼び止められた。


「なんだ?」


「ありがとう!」


そう言うフィーの笑顔を見てクロは微笑む。後ろで息を荒げてる母親がいなければ最高のシチュエーションなのにな。と思いながら。


そしてクロ達一行はアブートを去った。


「美咲。ああはなるなよ?」


「ならないよ!」

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