37.アブート騒動2
今回は前話の女の子目線です
「んぅ〜……ふぁぁ」
目がさめる。体が何か柔らかいものに包まれて気持ちが良い目覚めだった。
「ん?知らない天井……なにこのもふもふ」
私が寝ていたのはすごくもふもふするたかそうなベットだった。
「ん、起きたか」
「っ、だれ!」
声のした方を向くとそこには黒尽くめの男がいた。
「安心しろ。お前に危害は与えない」
こちらをまっすぐ見る目は鋭く冷たい印象を受けるがその奥には何か温かいものがある。そんな目を私は何処かで見たことがあったような……。
「あっ、思い出した!私がぶつかった人…」
「覚えていたか」
男のことを思い出すのと同時に母のことも思い出す。
「あ。お、お母さんが!お母さんを助けて!」
私は男に縋り付きながら助けをこう。
「任せろといっただろ」
男の声はやはり聞くだけでこの人ならやってくれると確信できた。
「まずは腹ごしらえだ。下にみんなが待っている」
男はそういうと立ち上がった。
「早くしろ。飯が冷めてしまうぞ?」
「う、うん」
私は素直に男の後を追った。
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「クロ。その子起きたんだ」
「あぁ。飯を食おうと思っておりてきた。そのついでに話も聞こう」
男についておりた先は広い部屋。机と椅子が等間隔で並び部屋を飾る装飾はかなりいいものだとおもう。
「まずは自己紹介だ。お前の名前を教えてくれ」
男に問われる。
「わ、私の名前はフィリス。お母さんはフィーって呼んでる」
「そうか、俺たちもフィーって呼んでもいいか?」
「う、うん」
「次は俺たちの番だ。俺の名前はクロ。そして俺の右側からスズ、ロベリア、美咲、エマ、ゼロだ」
男、クロの言う順で白髪で狐の獣人の女の子、金髪に両目の色が違う人の女の子、クロと同じ黒髮の人の女の子、赤と黒が混じったような色の髪に黒い角を生やした魔人族の女の子、最後は全身黒い鎧の大柄の男。
「クロさんにスズさん、ロベリアさん、ミサキさん、エマさん、ゼロさん、ですね」
「さんなどつけなくていい。クロでいい」
「で、でも……じ、じゃあクロお兄さん?」
私がそう言うとクロお兄さんは胸を押さえて悶える。
「ぐっ、そ、それで構わない。……いいな…」
「?」
何か言っていたようだけどよく聞こえなかった。
「それで、お母さんを助けて、って、どう言うこと?」
私が首を傾げているとスズさんが本題を切り出す。
「そ、そうでした!お母さんが悪い奴らに捕まって……このままじゃお母さん奴隷にされちゃう!」
私が話しだすとクロお兄さんは表情をキリッとさせる。
「それはどう言う事だ?」
「お母さんが借金を負っちゃって…でもそれはあの悪い人がお母さんを騙したの!
……前までは私たちはお父さんとお母さんと私の3人で暮らしていたんです。お父さんはパン屋さんを開いていたんですけど……事故で死んじゃって。
それからお母さんがどうにかお店を切り盛りしていたんですけど、急にお父さんにお金を貸していたって言う人たちが現れたんです。そのあとは難しくてよくわからななったんですけどお父さんがお金を借りましたって書いてある紙にサインしているって。
でも私見てたんです!その悪い人たちがお父さんに無理やり書かせている所!最初は私も言おうとしたんですけど……その人たちが怖くて言えなくて。
うぅ、そのせいで、グスッ、お母さんがっ……うぅえぇぇぇぇ」
私はクロお兄さんたちに説明していたが耐えきれずに泣いてしまった。
「そうか………こんな子を泣かすそのゴミどもは早々に処分しないとな」
クロお兄さんは泣く私の頭を撫でながらそう言いました。
まるで悪魔のように冷徹な瞳、悪い人たちをゴミと言い人扱いしないお兄さん。
こんな状況なのに私はかっこいいと思ってしまいました。




