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1.異世界召喚

すいません

主人公の名前を祐希から悠二に変更します。

 朝何時もの様に遅刻ギリギリで教室に入った途端、視線が突き刺さり自然と足が止まる。するとそこへ、


「よぉ〜井鷹ぁ。また寝坊かよ?」


「どぉせキモオタでも見てたんだろ?ギャハハ」


「本当本当。マジ井鷹オタクキメェ。ひひひ」


 と、よく漫画とかであるような事を言いながら倉山進藤くらやましんどう池本達也いけもとたつや西山浩介にしやまこうすけがやって来る。こいつらはクラスの中で俺へのイジメの実行役みたいな感じだ。


「アハハハ」

 

 俺は乾いた笑みを浮かべながら自分の席に着こうとする。だがやっぱりそうはさせてくれないようだ。


「おいおいおい。せっかく挨拶してやってんのに返事もできねぇのかよ?」


 倉山がそんな事を言ってくるが、俺は(挨拶したって、お前一言も挨拶してねぇだろうが!)と言いたいのを必死に我慢している。


「あ、あぁ。ごめんね倉山君。おはよ」


 一応ちゃんと挨拶はしておく。じゃないと後から面倒くさい。

 そうやって入り口で話していると後ろから走ってくる足音が聞こえる。


「ユゥウくぅん!」


 そんな声が聞こえると同時に背中に衝撃が走る。後ろを振り向くと美咲が俺に抱きついていて、背中に柔らかい2つの感触が伝わる。


「ゴフッ!み、美咲!き、急に抱きつかないでくれ!」


 俺は背中への衝撃にむせながら更に背中に伝わる感触に声を裏返しながら美咲へ抗議する。

 

 倉山とか他のクラスメイトが敵意丸出しの視線がを向けてくるが、いまはそれどころではない。更に美咲の後ろから三人の男女がやって来る。


 そのうちの1人でクラスの中心どころか学校一の人気者、五十嵐汰一いがらしたいち。身長176㎝、イケメンで成績優秀運動神経抜群の完璧超人。

 あと2人のうちの1人、神崎宗二かんざきそうじ。身長185㎝で五十嵐の親友。

 そして三人の中で唯一の女子、北上薫きたがみかおる。身長160㎝、クールで成績が良く人気者だ。


 この三人はスクールカースト最上位組でよく美咲と行動している。

 そいつらは美咲が抱きついている俺に目線を向けキッ!と目を鋭くさせ睨んでくる。


「美咲。女の子が簡単に男に抱きついちゃいけないよ」


 と、五十嵐が言う。俺もそろそろ離れてもらいたかったからホッとする。だが、


「?。別に私ユウくんだから大丈夫だよ?」


 とか美咲が言い出す。やばいよ、すっごく視線が痛い。てかなんで皆俺を睨むんだよ!俺なんもしてないのに…。ちょっと泣きそう。


「美咲!すまんが離れてくれるか?そろそろHRの時間だから席につかないと」


「むぅ。しょうがないな」


 美咲はしょうがなさそうに、ほんっとにしょうがなさそうに離れてくれる。


 そして担任の菅原小梅すがわらこうめ先生がやってくる。身長164㎝と女性にしては少し高めで、性格も良く俺にも優しく接してくれるから、俺の学校内で心を休められる少ない人物だ。


 俺たちが席に着き何時ものように小梅先生がHRを始めようと何時もの挨拶を…、


「では今からホームルーッ⁉︎」


 できなかった。教室の床いっぱいに広がる輪と幾何学模様きかがくもようの光により遮られる。そして視界を光が埋め尽くす。


 光がおさまった教室には誰もいなかった。倒された椅子や乱れた机、机の中から落ちた教科書などが散乱していた。


 そしてその現状に誰かが気づいたのはHRが終わった後のことだった。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 光がおさまっていく。まだ目がチカチカしてよく見えないが白い壁に囲まれた場所にいることがわかる。


 大分視界も元に戻り辺りのことがよく見えるようになってきた。


 そこはさっき言った通りに白い大理石の様な壁に囲まれていて、更に地面には何重にも重なった円に見たこともない字が刻まれておりさっき一瞬だったが見えた光る模様に似ている。


 俺達(小梅先生もいる)はその魔法陣の様なものの中心におり皆何が起きたのかわからない様な目をしている。


 だが俺はこれがなんなのか見当はついていた。そう、異世界召喚だ。俺もよくこう言う話のラノベとかを読んでるからびっくりしたけどすぐに冷静になれた。これから起こるのが良いことか悪いことかが不安だ。


 そんな事を考えていると今まで何が起きていたのかわからなくて呆然としている三年三組(俺は違うが)の近くにいる白装束の集団のリーダーっぽい奴が話しかけてきた。


「あぁ、勇者様方。よくぞいらっしゃった!これで我ら人間族は救われる!」


 そしてそれに反応したのが、


「ッ!だ、誰ですか貴方は!それにここは何処ですか⁉︎勇者ってなんですか⁉︎」


 五十嵐汰一だ。


「あぁ、申し訳ございません勇者様。では、ご説明いたしますのでこちらへどうぞ」


 そういって白装束のリーダー格は俺たちを広間へ移動させた。


「ではご説明します」


 俺たちは今広い食堂の様な場所にいる。そこで俺たちを椅子に座らせ説明しだした。


 その白装束のリーダー格の名前はイウランと言い、話の内容を要約するとこうだ。


 この世界は“リベア”と言い人間族、亜人族、魔人族でできていて科学が盛んにならずに魔法が盛んに使われてきたというファンタジー世界だ。


 人間族は俺らとあまり変わらず平均寿命80歳。大体の人は魔法が使え最低でも最下位魔法の“火種”(火種とは焚火とかで火を起こすための魔法だ。)が使える。


 亜人族の中には獣人、エルフ、ドワーフを合わせて亜人族と呼んでいる。亜人族の中の獣人は平均寿命120歳。魔力は持っているが魔法は使えない。だが身体強化が得意なのだそうだ。エルフは長寿で軽く300歳は生きる。魔法が得意。ほとんどの奴が高い魔力を持っている。ドワーフは平均寿命150歳。武器作りや家具作りなど手先が器用でドワーフの作るものはブランド品が多い。


 魔人族は見た目は人間とほとんど変わらないが、時々角や羽、尻尾が生えてたりして、平均寿命200歳程だ。頭も良くでエルフほどではないが高い魔力を持つ。


 この世界の人口の割合は人間族40%、亜人族30%、魔人族30%ぐらいで人間族が一番多い様だ。


 今まではお互いあまり干渉せず平和に過ごしていたのだが、急に魔人族が戦争をふっかけてきたそうだ。


 だけど俺はここで疑問を持つ。賢い魔人族が今まで平和にやってきたのにわざわざその平和を崩すのか、と。魔人は別に好戦的ではないと言うのになぜ戦争なんかをしだしたのか気になった。が、問いただしはしない。面倒いから。


 そして奴らは強く如何にか守ってはいるがだんだん押されてきている様だ。其処で思いついたのが古くから人間族に伝わる異世界から勇者を召喚する勇者召喚だったと言う。


 で、呼び出したのが俺らだったってわけ。


「勇者様方お願いします!我らをお救いください!」


「わかりました。俺は戦います!人間族の皆さんのためにも絶対魔人族を倒してみせます!」


 そうやって迷い無く即断したのは、やはり我らがヒーロー五十嵐汰一だ。

 俺はその宣言を聞いた時、こいつ頭いいくせに馬鹿じゃねぇの?と思った。その話が本当なのかもわからないし本当に魔人族が急に攻めてきたのかもわからない。なのに迷い無くやるとかちゃんと考えろや!


 そんな事を俺が考えていると他の迷っていたクラスメイト達が五十嵐の言葉に突き動かされ「俺も!」「私もやるわ!」「俺もやるぜ!」「異世界…勇者…この俺が…フフッ」「私たちもやる!」といいだし(てか1人変なのいなかったか⁉︎)最終的には全員やる事になり俺も強制的に混ぜられた。


「おぉ、引き受けてくださりますか!ありがとうございます!ありがとうございます!」


 と、喜んでいた。五十嵐が円陣を組もうとか言い出してクラスメイト全員と、俺らに戦争をさせる事に少し納得のいってない小梅先生もいれて「頑張るぞぉ!『おぅ』」てのをやらされた。


 だがその時イウランがニタァと笑ったことは俺以外誰も気づいてはいなかった。

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