15.事後報告
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暫くスズを抱きしめなが泣いて落ち着いた俺はスズから離れ現状の説明をした。
「そうなの。クロ、私達を助けてくれた。ありがと」
「もぉその事はいい。それよりも何処か痛いとこはないか?腕が痺れるとか脚が痛いとか?」
「大丈夫。すこし痛いだけ」
「そっか。よかった。んじゃまだ朝まで時間があるからゆっくり寝ときな」
そう言って立ち上がろうとすると服の裾を引っ張られ立ち上がることができなかった。
「スズ。どうしたんだ?」
「少しでいいから……いっしょにいたい。私が寝るまででいい。だめ?」
スズは座っていて俺は中腰だから必然的にスズが上目遣いになる。さらに裾を引っ張られ首を少し傾けながら聞いてくる体勢になる。
(グフォッ。なんだこの姿勢、くそ可愛いぞ!)
「ま、まぁそれぐらいいいけど」
そう言ってスズのそばに座る。スズは少し微笑んで布団に潜る。布団から顔の半分だけのぞかせ手を出してくる。
「手。握って、もらっても…いい?」
頬を少しだけ染めながらそんなことを聞いてくる。
(なんだこいつ!いつの間にこんな仕草覚えたんだよ!)
「あ、あぁ。いいぞ」
スズに答え手を握る。小さくて柔らかく冷んやりしながらもほんの少し温もりを感じる。
「ふふっ。クロの手、おっきいね」
俺の手で口元を隠しながら微笑む。
(だからさっきからなんでこんな可愛いことばっかすんだよ!)
自分の顔が少し暑くなるのを感じながらバレないようにと隠す。
すると眠くなってきたのか段々瞼が降りてくる。
「おやすみ、クロ」
「あぁ、おやすみ」
そしてスズは眠りに落ちた。
翌朝、家の中から物音が聞こえる。すると入口からジンが出てきた。
「おはよ。よく眠れたか?」
「あぁ。ばっちし疲れも取れた」
「スズとミーシャは?」
「まだ寝てる」
「そうか」
そこで話を切り鍋をかき混ぜる。
「なんかいい匂いがする」
そんな事を言いながらミーシャが起きてくる。
「美味しそうな匂い。ごはん?」
ミーシャに続いてスズも起きてくる。
「あぁ、飯だ。あれからなんも食ってないから腹減ってると思ってな」
「いいね。私丁度お腹ペコペコだったんだ」
「私も、お腹減った」
「んじゃ早速朝飯にするか。井戸にジンが顔を洗いに行ったから呼んでくるついでに顔洗ってこい」
「はーい」
「ん」
お椀に作ったスープをよそって待っているとジンが戻ってくる。
「飯か、腹が減ってたから丁度いいや。それにしてもうまそうにできてるな。クロ料理出来たんだな」
「まぁね。何時もは面倒くさくてミーシャ達に任せてるけどな」
スズとミーシャが戻ってきて朝食を済ませた俺たちはサイクロプスの死体を見に行った。
そして、何故かサイクロプスの首には首輪がついており、その首輪には何かがはめてあったような跡があった。
「こんなもんついてたのか。戦うのに必死で気づかなかったな」
「なんなんだろうね、これ。もしかして誰かのペットだったとか?」
「いや、サイクロプスを飼ってるやつなんていねぇだろ」
ジンとミーシャが変な事を言っている。
「あぁ、なんかサイクロプス殺したとき何か割れるような音したかも」
「ほんと?」
「あ〜、どうだったか。したようなしてないような」
「どっちなんだよクロ」
「ん〜、やっぱ覚えてねぇわ」
「はぁ、まぁいい。とにかくこの事をギルドに報告だな」
「だよねぇ。早くお風呂入りたい」
「私も」
「んじゃさっさと帰るか」
そう言って帰るために準備をしようとすると、
「おいおい待てよ。このサイクロプスの死骸どうすんだ?」
「どうするって?」
「だからサイクロプスの素材とらねぇのかってこと」
「俺解体できん」
「私もできないよ」
「同じく」
「まじかよ。俺は出来るっちゃできるがサイクロプスのいるとこなんて知らんしな」
「んじゃ持って帰ってギルドに頼めばいいじゃねぇか」
「馬鹿か。こんなデケェもん運べるか!」
「あ、そっか。お前ら知らなかったな」
「あ?何がだ」
「何の事?」
「俺アイテムボックス持ってるから大丈夫だ」
「アイテムボックス?」
「無限に物を収納出来るんだ」
「お前異空間収納袋持ってんのか⁉︎あんな高価なもんいつ手に入れたんだよ!それにそんなもんお前持ってなかったじゃねぇか」
「何言ってんだ?俺のアイテムボックスはスキルだぞ?」
「スキル?」
「そ。例えばこんな風に仕舞いたいものに触れて収納って念じれば」
俺はサイクロプスに触れアイテムボックスにサイクロプスの死骸を仕舞う。
「「……。」」
するとジンとミーシャは信じられないものを見たかのように呆然としていた。
「どうした?」
「クロ」
「ん?何だスズ」
「クロノしたこと、普通だったらあり得ない。4mもあるサイクロプスを普通異次元収納袋でも仕舞えない。それにそんなスキル聞いたことない」
そう言ってスズはジンとミーシャの方に駆け寄って、
「クロは普通じゃないから」
何て言っている。
「はっ。そうだった。クロは普通じゃねぇんだよな。だったらこんなこともできるか」
「そ、そうよね。クロ君は普通じゃないもんね」
何だかすごい言われようだ。
「よ、よし。サイクロプスも片付いたし帰るか!」
その日のうちに帰り支度を終わらせすぐに村を出た。
それから2日間、3、4回ほどの魔物の襲撃を受けながらも無事リーバルに帰ってこれた。
そのまま俺たちはギルドへ向かい今まであったことを報告した。
サイクロプスの死骸だが、ジンとミーシャが「アイテムボックスのことを知られたら面倒になる」と言うので、死骸は焼いたと言うことになっている。
「サイクロプスですか。そんな物が居たんですか。それに変な首輪をしてたってのも気になりますね。魔物がおしゃれするとか思えませんしね」
それから正式に依頼達成の書類を作り報酬を貰った。
「今回のことは一応ギルドマスターに報告します」
「あぁ、頼んだ」
その後俺たちは宿屋に戻った。
「お帰りなさい。無事でよかったです」
リアに迎えられその日俺たちは風呂に入り夕食を食った後沈むように眠りに落ちていった。