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13.怒り

グロ注意

棍棒が降ってくる。

其れを大袈裟に避ける。いや、これぐらいしないとかすっただけで骨が折れてしまう。かすらなくても棍棒が地面に触れた時の衝撃でぶっ飛んできた石などに滅多打ちにされる。


1発1発が命を脅かす化け物。


「スズ!ジン!絶対に攻撃は受けるな!骨折じゃ済まないぞ!」


「んっ!」


「おう!」


「ミーシャは遠距離から奴の弱点、出来たら膝の裏に打撃を加えて体制を崩して隙を作ってくれ!」


「わかったわ!」


仲間に指示をし終えた瞬間棍棒が降ってくる。それを左に避け棍棒が地面に埋まってる間にサイクロプスの腕に飛び乗る。腕を伝ってサイクロプスの方から飛び降りる直前に頸動脈あたりを斬りつける。


そのまま飛び降り確認するが、駄目だ。血は垂れてるがまだ浅い。


「グワァアアァアアァ!」


「かなり深く斬るつもりだったのにやっぱ硬いな」


奴サイクロプスが自分に傷を付けた俺を殺そうとこちらを向く。

その時サイクロプスの背後にジンが走る。その勢いを殺さないように持っている大剣をサイクロプスのアキレス腱に打ち込む。だがやはりLv.20の差は高く弾かれてしまう。


サイクロプスはジンの事など無視し俺に棍棒を振り落とそうとする。


(やべ、避けられん)


骨の1本や2本と覚悟した時、


「ギヤャアアァアァ!」


サイクロプスの悲鳴が響き、棍棒は降ってこなかった。

サイクロプスの目から煙が上がっている。


「クロ、離れて!」


スズだ。スズが火属性の魔法で目を攻撃したのだろう。


「サンキュスズ!」


サイクロプスが目を押さえ苦しんでる間に更に攻撃を仕掛ける。


「ジン!雷纏(サンダーウェア)を使ってみろ、ダメージを与えられるかもしれん!」


「わかった!」


ジンの大剣から雷が迸る。


「うりゃぁ!」


ジンが脚を斬りつけるとさっきとは違い薄だが傷をつけことが出来た。


「うしっ」


その事にサイクロプスがジンの事も攻撃対象とみなし攻撃をしかけ始める。

ジンは死に物狂いで逃げ回る。


「くっ、はっ、やっ、やべっ、しぬ!」


その時サイクロプスの体制が大きく崩れた。それをしたのはミーシャだ。俺がさっき言ったように膝裏に打撃系の魔法を放ったのだろう。


「ナイスミーシャ!」


手を地についたサイクロプスの肩へと思いっきり跳躍する。


「これで終わりだ」


方に着地し目へと剣を突き刺そうとする。突き刺し、かき混ぜ、脳をぐちゃぐちゃにしてこれで終わりだと、そう思った。


甘かった(・・・・)


今まで簡単に魔物を狩れていた事に浮かれていた。


サイクロプスの雰囲気が変わった気がした。いや、変わったのだ(・・・・・・)


「っつ!逃げろぉ!」


サイクロプスの口へと魔力が集まっていく。次の瞬間、


「グアァァァァア"アァアッァァァアア"アア"ァァァ!」


崩咆哮(ウォークライ)


魔力を音に波に乗せ振動させる。威嚇にも使えるし、レベルが上がれば岩を砕くこともできるようになるという目に見えない攻撃。


其れを直にくらい吹き飛ばされた。10何メートルか吹き飛ばされ5メートルほど転がる。何にもぶつかる事なく勢いに身を任せていたのでかすり傷程度ですんだ。


これがもし何か建物とかにぶつかっていたら骨の5、6本逝っていたかもしれない。


「クロっ」


「くっ、まずい。撤退だ、早く逃げろ!」


「っつ、わかった!」


ジンが俺の方を向き返事する。まずい


「馬鹿、まだ戦闘中だ!相手から目を離すな!」


ジンがサッとサイクロプスに目を向けるが遅い。

振り上げた棍棒をジンに叩きつける。


「ぐっはぁっ」


ぎりぎり大剣で防ごうとしたが、大剣は折れジンはそのまま吹き飛ばされてしまった。


「ジンっ、いやぁ!」


ミーシャは吹き飛ばされ動かなくなったジンに錯乱しその隙を突かれサイクロプスに蹴り飛ばされる。


「ジンっ、ミーシャ!くそっ。スズ、俺が奴を足止めする!お前はジンとミーシャを拾ってすぐにこの場から離れろ!」


崩咆哮(ウォークライ)の衝撃で少し体が麻痺しているからゆっくりと立つ。


「ダメっ、それじゃクロが死んじゃう!」


「俺は大丈夫だ!お前らよりレベルも高い。だから大丈夫だ!」


「やだっ」


「スズ!このままじゃ……っつぁ」


こんなとこで言い合いしている場合じゃなかった。間違った、初めっから逃しておけば良かった。


既にサイクロプスは俺たちのそばに来て攻撃態勢に入っている。

狙いは俺の目の前にいるスズだ。


あぁ。あぁ。


スズがゆっくり後ろを向く。そしてまたこちらに顔を向け、笑った。


「逃げて、クロ」


やけにはっきり聞こえたその直後、すぐ近くにいたスズはサイクロプスの持つ棍棒によって吹き飛ばされた。

小さな体が大きな棍棒によって打ち上げられる。


あ、あぁ、あぁああぁあぁあ"ぁぁぁぁあ"あ"ああぁぁあ"ぁああ"あ


「あぁあ"あ"ぁあぁあ"ぁぁぁぁああ"ああ"ぁぁあぁあ"あああ"ぁあ"ぁぁああ"あ"ぁあ"ぁぁああ」


喉から叫び声が上がる。魔力など乗せてないのに周りが震えたように感じた。


「貴様ぁぁ、よくもスズを、スズをぉ!許さん、絶対に貴様は許さんぞぉ!」


体の底から何か熱いものが湧いてくる。これが本当の怒りか。何かを超えたような感覚がした。

頭がぐわんぐわんする。骨が軋んでミシミシいっている。


「殺す!絶対に殺してやる!何をしてでも殺してやる!殺す殺す絶対殺す!」


「グアァアアァアアァ!」


サイクロプスが咆哮を上げる。

それを合図に俺は飛び出す。


サイクロプスが棍棒を振り落としてくる。それを避け相手の足下に入りアキレス腱を斬る。だがダメだ。こういう剣は叩き切るといって力任せに押し切ろうとするため、硬いものを切りにくい。俺の力とサイクロプスの硬さに負け剣が半ばからへし折れる。


武器がなくなった、がまだだ。ここに来るまでに考えついた俺の魔法を使った武器製作。折れた剣の影を捕まえ3次元に召喚し、形を作る。押し切るのではなく引き切る。それをイメージし作る。


なんとなく感覚で作ったそれは細く反っている黒い片刃の刀。何故か呼び方が剣じゃなくて刀だが今はどうでもいい。


その刀で再度サイクロプスのアキレス腱を引き切る。すると刃はするりと皮膚に入り込み簡単にアキレス腱を断つ。ブチっと音がしその傷から血が噴き出す。


「グギャァァァアァアァ!」


サイクロプスが悲鳴を上げる。

殺れる。これなら殺れる!このサイクロプスを殺せる!」


「ははっ。死ね」


もう片方のアキレス腱を切り、立てないようにする。

サイクロプスはさっきまで自分に遊ばれてた相手がさっきとはまるで違う動きをする的に驚き隙を作ってしまう。


その間に倒れたサイクロプスの両方の脇の下と肩を斬る。これでこいつは腕をあげられなくなる。その次は肘の筋肉と膝の裏の筋と腿の筋肉を絶つ。これで手足が動かせなくなった。


サイクロプスは自分がいつの間にか手足を動かせなくなった事への戸惑いと痛み、そして一瞬でこの事態に持ち込んだ(クロ)へと恐怖し自分が呼び起こしてはいけない何かを呼び起こしてしまったことに後悔する。


クロがサイクロプスを仰向けにする。そしてサイクロプスの顔に乗り刀の先をサイクロプスの目へと向ける。


サイクロプスはその先端へと釘付けになり目が離せない。自分がいまからされる事、つまり目に刀を刺されそのまま頭の中身をぐちゃぐちゃにされる。逃げたい、今すぐここから逃げたい。だが体が動かない。顔を背けたい。目を閉じたい、なのにその先端へと目が吸い込まれる。ここで終わりなのだとわかった。


そして刀を上げ目に向かって突き刺す。


「グギャァァァアァアァアアアァアァァァアァァアァァアアアアアァアアァアァァァ……」


森にサイクロプスの悲鳴が木霊する。刀を目に突き刺したままかき混ぜる。それに合わせサイクロプスも悲鳴を上げる。サイクロプスが事切れてもクロは止めなかった。気の済むままかき混ぜ続けた。

主人公のいきなり強くなるなり方が書きにくい

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