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11.影魔法(シャドーマジック)の新たな使い方

現在俺たちはギルドに来ている。

勿論依頼を受ける為だ。今回受ける依頼は調査系の依頼。最近急に1つの村に住んでいた住人がいなくなったらしい。


戦闘の痕跡こんせきがある為盗賊か魔物にやられたようだが、何故か血も遺体もなにも残ってないという。


今回の依頼はその村が何にやられたのかの調査と、もし出来るのならその原因を潰してくれと言う依頼だ。

勿論原因を潰せたのなら追加依頼が出る。結構いい報酬なので受けることにした。


その後準備を終えた俺たちはすぐに村へ向かい出発した。

リーバルから西に歩いて大凡おおよそ3日の所に今回の目的地、シンド村がある。


リーバルを出て2日経った今俺たちは野営の準備をしている。準備と言ってもテント張って焚き火の用意をすればいいだけだ。


「火よ。フレイム」


「ありがとスズ」


スズに炎属性初級のフレイムを使ってもらい薪に火をつけていた。

頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めている。


「ふふっ」


「仲良いなお前ら」


「本当ねぇ。スズちゃん羨ましいなぁ」


ミーシャがチラチラとジンの方を伺っている。


「はぁぁ…。はいはいなでりゃぁいいんだろなでりゃ」


「うふふ〜。そーよ撫でればいいのよぉ」


「お前らも十分仲良いじゃねぇか」


「うるせ。そんな優しい目で見るな」


ミーシャは幸せそうだがジンはすごく恥ずかしそうだ。だが内心は撫でて喜ばれてる事が嬉しいようだ。


「んじゃ昨日と同じように朝までの警戒は俺の方でやっとくからゆっくり休め」


普通ならここで夜の見張りを決めるとこだが俺たちには必要ない。俺の魔法で召喚した動物の影に見張らせ俺たちは寝とけばいい。もしかが近ずいてきたなら動物と感覚を共有している俺にもわかる。


「本当便利だなお前の魔法。普通の無属性ならここまで出来ねぇし下手したら自然魔法ナチュラルマジック(火、水、土、風、雷の5大属性の事)と特別魔法スペシャルマジック(闇、光属性の事)より強いかもな」


そんなことを言いながら「ははっ」っと笑っている。

よく考えりゃ火や水などにも影はあるし、もしかしたら使えるかもな。


「今の言葉で思ったんだがもしかしたら火の影を取れるんじゃないか?」


「ちょ、それは流石に……出来ねぇんじゃねぇの?」


「物は試しだな」


俺は火の影に触れて影を補足する手(シャドーハント)を使用する。

そこに布があるようなイメージで掴むと簡単に影を捉える事が出来た。そのまま引き剝がし影の収集者(シャドーコレクター)で異空間に収納する。


「出来たな…」


「そん…なぁ…」


「ど、どうしたスズ⁉︎」


スズが絶望したような表情にビクッとなる。


「クロ…火使えるようになる。私の仕事が…クロに必要とされなくなるぅ…」


「だ、大丈夫だから!もし使えてもスズに頼むしこんな事でスズの事いらなくなるわけねぇよ!大丈夫だから泣き止んでくれ!」


「うぅ、ひっく、グスッ…、ほんとう?」


「本当だ!」


「うぅ、よかっだぁ…」


「ちょ!なんで?なんでまた泣いてるの⁉︎」


「う、嬉しくて。捨てられるかもって不安になって…、でもクロが本当って言ってくれて…、安心したらまた涙が出てきて…うぅ」


「あぁ〜はいはい。大丈夫だからな、よしよし」


頭を撫でてやるとすぐに笑顔になる。


「見せつけてくれるなぁ」


「スズちゃん可愛いねぇ」


ジンとミーシャがこっちを見ながらニヨニヨしている。


「そんなニヨニヨした顔で見んじゃねぇよ」


「あはは、焦ったクロ君珍しいねぇ」


「はぁ、もういいや。続きするか、一応試しとかなきゃいざって時困るかもだからな」


影の収集者(シャドーコレクター)で収納した火の影を影召喚(サモンシャドー)で召喚する。

俺の右手に黒い(もや)が集まってきて黒い炎になる。だが熱は感じない。見た目が炎なだけでそれ以外には何も無いのかもしれない。


「どうだクロ、熱いか?」


「いや、熱は感じねぇな。でも熱が感じないだけで火の役割はするのかもしれない。口と鼻に近づけると息苦しくなる」


「へぇ。んじゃそいつを密室にこっそり入れときゃ誰もきづかない間に窒息させれるな」


「怖いなそれ。知らぬ間に死んでたなんて」


「クロ君の魔法以外と黒いね」


「だな。おい、その火で物を燃やすことは出来るのか?」


「さぁ、試してみるか」


手の上に乗っている火を操作し近くの枯れ草に付ける。するとどんどん黒い火が増えていく。


「一応燃えるんだな。熱いくは無いが」


「だな。使い道が限られているがある場面だとかなり有効に使えそうな気がするけどな」


ジンがそんなことを言いながら黒い火をツンツンと木の枝で突いている。すると木の枝に移った火が勢いよくジンの方へと燃え移る。


「な!」


「ちょわっ!っつあぶね!」


驚いたジンはもっていた枝を放り投げる。


「なんだ今の?急にジンに向かって行ったが…」


「なんだ⁉︎今のクロか⁉︎」


「いや、俺は何もしてないんだが…。何故だ?なんでジンの方に?もしかして心の奥で俺がジンのことを嫌っていたのか?それが今殺るには丁度良かったから出てきたのか?」


「おい、クロ俺の事嫌いなのかよ⁉︎」


「いや、別にジンの事は嫌ってないはず。だったら火が勝手に動いたのか?もしかしてそういう性質なのか?」


「ジンに向かっていく性質?」


「もしかして、ジンだけなんじゃなくて生物に向かっていく性質なんじゃない?それか生物を燃やそうとする性質」


「ん〜、スズの案が一番可能性があるな。試すか。頼む」


鷹の影を召喚し何か生き物を探してもらう。

1分ぐらい経つと鷹が戻ってきて口にネズミを捕まえている。


鷹に礼を言って異空間に戻しネズミを縛っておく。

そして例の火を出してネズミの近くに放つ。


火は暫く(しばらく)同じ場所で揺れていると、急にネズミへと飛び出しネズミを覆う。ネズミは火に覆われても鳴き声を上げなかったが少し焦げ臭い匂いがし出した。


その時点で火を異空間に戻すと残ったのは火傷を負ったネズミがいた。


「ん〜、あれか。熱を感じないから火傷していることに気づかないのか」


「マジかよ。んじゃあのネズミは急に黒いのが飛びかかってきたが何も感じなかった。そしてその黒いのが消えたらいつの間にか傷を負っていたって感じか?」


「こわっ」


「だな。ちょっとこの火は出さないようにしよう」


「あぁ、それがいいかもな」


「まぁ今ので火の事以外にわかったこともあったしな。収穫はあった」


「何がわかったんだ?」


「生物とかの有機物は弄れなかったが、火などの無機物なら自由に形を変えられそうだった」


そう。今までは有機物の影ぐらいしか集めたことが無かったが、今回無機物の火を使ってみて色々形を変えることが出来た。


これが本当に有機物と無機物による差なら、鉄などの影から色んなものが作れるのでは無いか?その場にあった武器の加工ができるかもしれない。


「それができたらけっこう凄いかもな」


「あぁ。ま、今日はもう疲れたから寝る。この実験は街に戻って金属が手に入ったらするよ」



この金属などの影を自由に変えることが出来るという魔法。

この魔法のおかげでこの後に起こる事で命拾いをするが、その事をクロたちが知るよしも無い。

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