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106.エピローグ

半分以上書いたところでまさかのデータ消失w

泣きたくなったw

しかし!最終話ですので頑張って書きました

結構長くしてます


 滅びの領域。

 この世界でその名を知らないものはいないと言っても過言ではないほど、この世界ではその場所を知られている。

 名前を聞くだけで恐怖し体を震わせる。


 領域内には滅多に現れることのないSランク以上の魔物がうじゃうじゃと跳躍跋扈している。

 少し行けば容易くSランク以上の魔物と遭遇する。

 そんなことが日常のこの領域で、明らかにその場の雰囲気にふさわしくない一行がのんびりと歩いていた。


 青年が一人、少女が二人、鎧を纏った大柄な男が一人、そして白い狐が一匹。


 そんな一行がまるでピクニックにでも来ているかのような軽い雰囲気で歩んでいた。

 穏やかに談笑しながらこの世の地獄ともいわれるような場所を歩く。


 もしこの場に誰かがいて、そんな光景を見れば目を疑うだろう。

 この領域をそんな軽い雰囲気で歩くだけでなく、一行の半数以上、青年と少女たちは武器を携帯してもいないのだ。

 武器を持っているのは唯一大柄な男だけ。


 そんなシュールな場面に突如として絶望がやってきた。

 所々腐った肉を見せ、法衣のような襤褸衣を纏った魔物、SSランクの『堕聖人だせいじん』が現れた。


 SSランクの魔物と言えば一個体で一軍を相手にできるほど恐ろしくも強力な魔物だ。


 次に起こるのは悲惨な惨殺か。


 しかしそんな絶望を前にしても青年たちの雰囲気は変わらない。

 いや、変ってはいる。

 なぜか歓迎ムードだ。


 狂気じみている。

 堕聖人を前にしてそんな雰囲気で入れるなんて。


 一般人が見れば卒倒してしまいそうな光景だ。


 堕聖人もそんな一行を前にちょっと戸惑っている。今まで自信を見てこんな雰囲気を醸し出す相手に遭遇したことがなかったからだ。

 ちょっと困惑しながらも自身の持つ武器、唯一神々しく美しさを保っている錫杖を構える。


 さぁ戦うぞ。戦うんだぞ。


 堕聖人のやる気は満々だ。


 いざ。

 堕聖人が一歩踏み込もうとした瞬間。


「スズ、獲物だ」


 青年のそんな一声。

 次の瞬間には堕聖人の首は天高く飛んでいた。


 そんな堕聖人の背後にはいつの間に白い狐がお座りしている。


 堕聖人は何が起きたのかも理解できずにその生を閉じた。


「ふむ、もうSSランクではスズの相手にはならぬのぅ」


「だねぇ、でももうすぐで格も上がるんだよね?」


 あり得ない。一瞬にしてSSランクの魔物が死ぬなんて。

 そんな非常識な光景を前にしても一行の雰囲気は崩れない。当たり前なことであるかのように動揺しない。


 白い狐がとことこと青年に歩み寄り褒めて褒めてと頭を擦り付ける。


「お疲れ」


 青年、クロは白い狐、スズの頭をわしゃわしゃと撫でる。


 あれから一年。ようやくここまで来た。

 あと少しだ。


 待ち遠しいその時の事を考えながら、クロは一年前の事を思い出す。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 テウメから子ぎつねとなったスズを受け取った俺は、美咲とゼロが起きてから神界から現世へと降り立った。


 子狐となったスズの格を上げ、神格化させるために地上で魔物狩りをするためだ。


 テウメが去った後、俺とロベリア、シルス、創造主の四人でスズの状態を診てみた。

 すると現在のスズは格が小さすぎで弱い魔物と同程度の存在になってしまっているらしい。そのせいか記憶もなくただの一匹の狐の魔物となっている。 


 しかし存在の核を上げ、神格化させることができれば記憶が戻り人の姿にもなれるらしい。

 テウメが言っていたのはこの事だろう。


 創造主もこれについてきたがったが、俺に奪われた権限を取り戻さなければならないらしくまだ神界に残っている。

 どうやら五十嵐との戦いで世界のシステムやら創造主の持つ権限やらを俺が奪い取っていたらしい。


 最後のほう、突然強くなって五十嵐と戦えていたのはそれが理由らしい。

 戦闘中のことは集中しすぎていて全く記憶にないんだが。何をやっているんだ俺は。


 まぁそういう訳で創造主は神界でお留守番だ。


 神界から降りた俺たちを迎えたのは神界に来る前に少し話した教会の爺さんだ。

 この爺さん、実は教会で最も偉い人だったらしい。


 俺たちの事情をなんとなく理解している爺さんはいろいろと便宜を図ってくれた。

 何故そうまでしてくれるのかと聞くと、


「試練を受け戻ってこれたという事は創造主の使途として認められたという事です。つまり貴方様方は私たち教会からすれば地に伏せ頭を垂れなければならない高貴なお方なのです。なので私たちが貴方様方を手助けすることは当然のこと」


 という事らしい。


 それにしては対応が早すぎると思い聞いてみると、ただ単にそれだけ落ち着いて対応ができるくらいの時間があっただけなのだと。

 俺たちというか、スズたちが世界樹に挑んだ日から戻ってくるまでに二年の時が過ぎていたのだ。

 俺の体感時間だと神界では二日くらいしか経ってないと思っていたが、神界と現世では随分と時間の差があるようだ。


「皆様、特にミサキ様とゼロ様は気配が随分と大きくなりましたな。人を超えた何かになられたという事でしょうか?」


 この爺さん、教会の頭というだけあってかなり鋭い。


 美咲とゼロ、まぁもともとゼロは人ではないのだが、二人共元の存在ではなくなっている。

 美咲は魔法神に、ゼロは守護神に神格化されているのだ。

 蘇生させるための処置だと創造主は言っていた。


 ちなみにもともと邪神であるロベリアは、さらに高位の権限を持つ神に昇格したという。

 スズは蘇生の過程が違うため今はただの魔物の一匹となっている。

 はやく格を上げてやらねば。

 そして俺だが、世界のシステムやらを吸収するという事をやらかしてしまったため俺という一種の概念になってしまったらしい。理解できない。創造主もよくわかっていないらしい。まぁかなり強くなっただけで前の俺とあまり違いはない。


 爺さんには俺たちの事情、スズを一刻も早く神格化させねばならないという話をして協力してもらうことにした。

 爺さんたちに強い魔物の情報を探してきてもらい、それを俺たちが手助けをしながらスズを強化していく。

 謂わばパワーレベリングという奴だ。

 そのお陰か僅か一年でスズの格は跳ね上がり、あと少しで神格化することもできるまでに来ていた。


 あと少し、あと少しでスズが返ってくる。


 そのためにはさらに強大な敵が必要だ。

 この世界でそれ程の敵がいる場所と言えば、大迷宮【地獄のゲヘナゲート】だな。


 すぐに準備を済ませ魔大陸目指す。

 今回は旅を楽しむとかより時間を優先するため初めから影で創った竜に乗る。

 俺たち4人と一匹が乗っても全然余裕があるほど大きな竜が、音速に迫る速度で空を駆ける。


 数時間もすれば魔大陸に着くだろう。


 俺の逸る気持ちが竜にも影響するのかいつも以上に早く飛ぶ。


 竜は元王国の領土の上をとび魔大陸へと向かう。


 俺たちを召喚した王国だが、腐人が蔓延り王都が壊滅した時点で国としての機能を失っていた。国王も国を運営するうえで重要な貴族も全員殺されていたのだ。それを殺したのは恐らく腐人化した教皇のイウラン。そのイウランが貴族街で暴れていたところをゼロにあっさりと殺されたらしい。


 そのご王国は崩壊し、王国の領土をどうするか周辺の国で話し合ったようだが誰も欲しがらなかったようで今は放置されている。腐人という呪われた化け物が暴れ回った土地として周辺国からは嫌がられている。

 そして元王国民はそのままその土地に留まるか、周辺国に引っ越したか。


 不法地帯と化した王国領には現在盗賊などの犯罪組織が蔓延っているようだ。

 まぁ俺たちにはどうでもいい話だな。いや、ジンたちが住んでる土地に何かあったならばただじゃ置かないが。


 朝に神創国を出たが、神創国から魔大陸まではかなり距離があり、魔大陸に着いたころには陽が傾きだしていた。


「そういえば、エマにもしばらく会ってなかったのぅ」


「あぁ、そういえばそうだったな。ちょっと忘れていた」


「クロ君、忘れるのだけはやめてあげようよ」


 エマに会うのも一年ぶりか?

 いや、エマからしたら3年か。結構長い間会ってなかったんだな。


「エマ元気にしてるかな?」


「エマならどうにかしてるだろう」


 見た目小さいけどしっかりしてるからなぁ。片方の人格が。


 海を越え魔大陸に入ってもそのまま魔国向けて竜を飛ばす。


 そして魔王城まで来るとテラスでエマがこちらに手を振っているのが見える。


「よう、エマ。元気にしてたか?」


「く、クロ殿!いったい今までどこに行っておったのだ!」


「ちょっと急用でな。これから迷宮行くけどエマも来るか?」


「い、一応私はこの国の王なのだがなぁ。ま、まぁ行ってもいいけど……」


「よし、んじゃ行くか」


「いや、ちょっと準備を―――」


 影で小動物を作りアナあての手紙を作り、影のの触手でエマを引き寄せる。


「ま、待ってくれ!じゅ、準備をさせてくれぇ!!」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「スズ、まだ大丈夫か?」


 敵の血に濡れ白い毛を赤く染めたスズに声をかけるとまだいけるという風にぴょんぴょん前足を跳ねさせる。


「美咲。スズの血を流してくれ」


「りょうかーい」


 血を落しびしょびしょに濡れた体をぶるぶる震わす。


「ちょっと待ってね。今乾かすから」


 炎と風の魔法でドライヤーを再現する美咲。

 魔法神になってから美咲の魔法の腕はかなり上がっている。

 美咲自体の意思がそのまま魔法として現象になるのだ。


「はい、出来上がり」


「すごいふわふわだな」


 尻尾が8本も生えてるから余計にふわふわなんだよな。

 スズの尻尾は格が上がっていることを表している。

 元は一本だったが次第に増えていき、最終的には九本になるのだ。


「ここの魔物はやっぱりいいな」


 迷宮の魔物はアビスが直接作った魔物のため、SSSランクの魔物とかと比べ物にならない程強い。この迷宮の下層の魔物だよこの世界で相手にできるのは俺たちだけだろう。


 そんな魔物がうじゃうじゃいるため普通の魔物が敵わなくなったスズの格上げには丁度良かった。


 そうして下層に潜ること数日。


 ついに最下層。

 牛頭馬頭を殺したことでスズの格が神格化に耐えうるものへと到達した。


『随分早かったね』


 頭に響く創造主の声。


「あぁ、ようやくだ。これで大丈夫なんだよな?」


『はい、大丈夫ですよ主様』


「シルス、創造主、頼む」


『任せて!』


『お任せください』


 スズがふわりと浮かび淡く発光しだす。

 そういえば神格化するところを見るのは初めてだな。美咲たちの時は見てなかったし。


 俺たちはその光景に総じて見惚れていた。


 次第に光が強くなりその輪郭があいまいになっていく。

 獣の姿から手足が長くなり、顔の輪郭が人間らしくなる。

 九本のモフモフ尻尾はそのままで少女のような体つきを形成していく。


 あ、そういえば狐状態だったから今服着てないんだったな。


 アイテムボックスから予備のローブを取り出し、その瞬間を待つ。


 数分もした頃か、光が弱まり始めた。


『成功だよ』


『獣神です』


 俺はサッとスズのもとに駆け寄り、ローブを被せる。

 弱まる光はついに消え、その奥の素顔が目に映る。


「ッ……」


 目の奥が熱くなり鼻がツンとする。


 そこには見慣れた可愛らしい顔が。


 一年ぶりだ。


「おかえり、スズ」


 そう声をかけるとゆっくりと瞼が開き、穏やかな笑みを浮かべる。


「ただいま、クロ」


 俺は小さなその体を優しく、されどもう手放すことが無いように強く抱きしめるのだった。

後書きかなり書いたのに途中で消えてしまってかなり萎えたw

今日はすごいデータ消える


気を取り直して、後書き行きます


「イジメられていた最強ですか何か?」をご覧いただきありがとうございます。

「0.エピローグ」を投稿したのが2016年1月21日で本日が2018年5月19日。約二年と4か月かな?お付き合いいただき本当にありがとうございました。

まさか飽き性で面倒くさがりの私が本編完結まで書けるとは思っていませんでいたw

私がここまで続けられたのも読者の皆様が呼んでくださったお陰です。

いや、本当に感慨深いね。

初めに考えていたストーリーとは違う方向に行ったり、その場その場の思い付きで描いてみたり、色々ありましたがすごく楽しかったです。

このお話は単に自分が楽しめる小説が読みたい!と思ったのが書き始めたきっかけで、実際に描いてみると全然うまくいかないんですよね。

それでも書くのが楽しくてここまで続いてきたんですけどね。

気付けば総合評価が3000pt超えてたりして本当に驚きました。

すごくうれしかったですね。

一昨年の6月頃から急に伸びだして、また下がったりして、それでも地道に伸びていって。

1ptでも上がると嬉しくて、感想来るとさらに嬉しくて。

初めての感想が来たときなんか小躍りしちゃいましたよw

はぁ、楽しかった。

まぁこれで本編完結なんですけど、ちょくちょくアフターストーリーみたいなのを不定期で更新出来たらなぁ、と思っています。

ですので設定としてはまだ続くようにしておきます。

それと「こんなお話が読みたい!」とか「このキャラに焦点をあてて書いてほしい!」などのリクエストがあれば喜んで書かせていただきます。

さて、後書きもこれくらいにしますか。

本当にありがとうございました。この作品が皆様の暇つぶしになっていれば幸いです。


最後に、次のメイン作品になるであろう「不屈で不滅で、何とか異世界で生きてます」のほうもよろしければ見てやってください。

きっと皆さまの暇をつぶせるでしょう!(多分


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