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98.創造主戦

遅くなって申し訳ありません。


それと総合評価がついに3000pt超えました

本当にありがとうございます


 広く限りなく続く白い世界で神話を再現するかのような激しい戦いが繰り広げられていた。

 小さな子供の一振りで世界を震わすような爆発が起き、それを防ごうと青年が黒い壁を生み出す。


 何百という黒い生き物が青年の影から這い出て子供へと襲い掛かるが、子供の放つ衝撃波によって吹き飛ばされる。


 激しい。

 まさに神々の戦い。

 天地を震わす神撃の応酬。


 白と黒が混じり合うかのように世界を染めていく。


「いいっ、いいよ!とても楽しいよぉっ!」


「くはははははははっ!!」


 二人は戦っているとは思えないような笑顔を浮かべ自身の力をぶつけあっている。


 創造主の力は俺の力を容易く往なし、創造主の力を俺は必死で躱す。


 久しぶりだ。格上の相手と戦う事が。

 力を得る前に戦った格上と言えば記憶を失う原因となった突然変異のゴブリンとサイクロプスぐらいだけど。


 楽しい。培ってきた力を全力で揮えることが。


 当たれば即死の攻撃を俺は笑みを浮かべながら紙一重で躱し続ける。

 命を脅かす攻撃に、簡単に死んでしまうかもしれないスリルに。


 心が浮かれてならない。


「疾っ!」


 影で作った刀での全力の一撃は創造主に軽く躱されてしまう。

 しかも一瞬でカウンターを放たれる。


 下界では俺の全力に耐えられる生き物がいなかったたし、俺の力に世界が耐えられるかもわからなかった。

 だから下界では本気を出したことがない。


 しかしこの世界なら問題ないだろう。

 創造主が俺と戦うために用意した場所だ。

 遠慮なく全力を振るわせてもらおう。


「結構耐えるねぇ。だったらこれはどうかな?」


 っ、創造主が力を溜め始めた。

 先ほどまでノーモーションで放ってきた攻撃でも俺のとってはかなり強力なものだったんだが……。


 溜めるってことはそれ以上のものが来るってことだろ?


 ははっ……死ぬ気で躱さねば。

 こんな楽しい時間をあっさり終わらせるなんて面白くねぇからなぁ!


「ボクの今のところの全力。当たれば塵も残らないよ?でも、君なら避けてくれるよね?」


 創造手の右手には凝縮された力が十字架状の剣を模っている。

 純白に輝くそれは先ほどまで放たれていた攻撃の何十倍も威力があるだろう。


 頬を伝う汗を拭いながら俺も影を練り防御に備える。


「いつぶりだろう、ここまで力を出したのは。君には、クロ君には感謝してるんだよ。この世界でボクの孤独を埋められるのはクロ君しかいない」


 創造主は悲し気な表情を浮かべながら剣を頭上に構える。


「もう少しすればクロ君はボクの力と並ぶことができるだろう。それよか超えることだって十分あり得る。なんたって君はまだ成長途中なんだから」


 創造主の言う通り、未だに俺の力は増え続けている。


「いつしか、君に並び立てる者はいなくなるだろう。君はボクと同じ孤独を味わうことになる」


「構わないさ。俺にはスズが隣にいてくれるしミサキもついてきてくれるし、ロベリアも傍で笑ってくれるし、ゼロだって俺に付き従ってくれる」


「……」


「それに、戦いたくなったら創造主もいるしな。この一戦だけで終わるなんてもったいないじゃないか」


「ふふっ、そうだね。確かにもったいないや。でも、そんなことを言う前にこれに耐えなくちゃだよ?既にこの力は発動を待っている状態。今更戻すのはできないし、ましてやわざと外すなんてつまらないこと出来ないよ?」


「大丈夫さ。それくらいなんとでもしてやる。さぁ来いよ」


「あははっ、それじゃぁ行くよ?世界を創造した創造主の、世界を消し飛ばす破壊者の一撃」


 純白に輝いていた剣が、柄の根元から黒く染まりだす。

 先ほどまで神々しさを醸し出していたものが禍々しさへと変貌する。


「一撃必滅」


 ポツリと呟かれたその言葉と共に振り下ろされる破滅の一撃。

 世界を黒く染め上げ塗りつぶす創造主の剣。

 それは確かに世界を消し飛ばすことができるだけの一撃だ。


 このままその攻撃が着弾すれば創造主が作ったこの世界もただじゃすまないだろう。


 そうなれば俺も死は免れない。現状、俺がこの世界から脱することもできないしな。

 だったら死ぬ気であの攻撃を防ぐしかない。

 世界を消し飛ばす一撃を。


 だから。


「影之世界」


 世界を消す一撃には、世界そのものを。

 俺の影から這い出てきたのは生き物を模った影ではない。巨大という言葉では物足りないと言えるほど、大きな球体。


 星の影だ。


 白い世界を創造主の剣が黒く染め、その上から影の世界が漆黒に染め上げる。


 拮抗するかのように二つの黒が激しくせめぎ合い、遂には霧散した。


 後に残ったのは余波でボロボロになった白い世界と息も絶え絶えな俺と驚き笑みを浮かべる創造主。


「驚いた。本当に驚いたよクロ君には」


「は、ははッ。興味本位で取ってた星の影があってよかったわ」


 あれはいつだったか。夜、焚火を眺めているとふと頭にあることが思いついたのだ。


 夜というのは太陽が星に隠れ陽が当たらないとき。

 つまり星に影ができている状態を指す。

 星の影、取れるんじゃね?と馬鹿な事を思いつき、実践したときがあったのだ。


 その結果が先ほどの星の影。


「あはははっ。本当にクロ君はボクの予想の斜め上を行くよ。これだから見てて飽きないんだよクロ君は」


「さて、本当ならまだまだ戦いたいところなんだけど。流石にもう終わりにしてもいいか?」


「うん。大丈夫。ボクも全力を出すことができてすっきりしたからさ。また遊んでね?」


「あぁ、もちろん」


「ふふっ。あ、そうだ。ボクの名前を教えてなかったね」


「名前なんてあるのか」


「む、そりゃあるよ。ボクの名前は――――――ガフッ……」


「へ?」


 創造主が自身の名前を言おうとしたその時、突如創造主の胸から血に染まった腕が生え、創造主を宙に浮かべる。


「アハァ……」


 その後ろから現れたのはおぞましい笑みを浮かべ夥しい負のオーラを纏う人型のナニかだった。


残りあと数話。頑張っていきます。

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