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96.後を追う者

 あの方々が世界樹の中に入って行ってから一か月の時が経った。

 あの方々は大丈夫だろうか?


 中はどうなっているのだろうか。

 知りたいが、入ればただでは済まないだろう。


 現にあの方々を「どこの馬の骨とも知らぬものに任せられぬ」と言って硬派の連中が騎士を引き連れて入っていったが、それ以降連絡はない。


 恐らく、全滅だろう。

 それか出ることができなくなったかのどっちかだろう。


「全く、試練かもしれないというのにそれに分け入るなど、恐れ多いことを」


 試練とは、選ばれた者だけが受けることができるもの。

 それをなんという事を……。


「教皇様!」


「そんなに急いでどうしたのですか?」


「何やら不穏な気配が近づいてきております!」


「む………これはっ」


 今、私も感じた。

 とても大きな黒い気配。

 深く暗く、ドロドロとした負の感情を纏った何かがやってきている。


 まだかなりの距離はあるだろう。


 と、思っていたのだが一瞬にしてその距離は埋められた。


「来るぞッ!?」


 あ、あれは……なんだ。


『―――――――――――――――――ッッ!!!』


 負の感情を三日三晩煮詰めたような悍ましい奇声をあげながら現れたそれは、黒い何かが纏いつき姿を見ることができない。


 だめだ、逆らうことも許されない圧倒的強者。


 どこかその雰囲気はあの黒髪の青年と少女に似ている気がする。


『――――――――――――ッッ!!』


 聞き取れない奇声を上げるそれは私たちを見ていない。ただジッと世界樹の門を見つめている。


『―――――――――――ッ!』


 奇声をあげそれは一瞬にして姿をかき消す。


 移動する姿は見えなかったが、この現状なら狙いは一つ。

 振り向いた先には閉じかけている世界樹の大門がある。


「っく、はぁ……はぁ……」


 強大なプレッシャーが去ったためようやく一息つける。


「本当に、大丈夫なのだろうか」


 我々にできるのはただ祈るだけ。


 跪き両手を握り世界樹に祈りを捧げる。


「どうかご無事で……」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 大門をくぐってからかなりの時間が経った。


「結構、日、経ったよね?」


「うーん、どうなんだろ。ここじゃ夜とか昼とかないから今何日ぐらいたったのかわからないよね」


 世界樹の中はずっと真っ白な世界が広がっており、昼夜が存在しなかった。

 だから今どれくらい世界樹の中にいるのわからない。

 もしかしたらもう一か月以上だってるのかもしれないしまだ数日しか経っていないのかもしれない。


「いつまでも同じ光景というのは辛いのぅ」


 いつまでも変わらない光景というものは精神的にキツイ。

 私もこの光景に飽き飽きしているところだ。


「そうだねぇ。そろそろどこか違うところに出ないかな?」


「どうじゃろうなぁ。この先もずっとこの光景のままなのかもしれぬぞ」


「それは、いやだ」


 いつまでも変わらない景色に不定期に襲い掛かってくる白い人型()

 ステータス的に常人より飛びぬけている私達でも既に疲労が溜まってきていた。


 このままだといつか致命的なミスを犯してしまいそうだ。


「ゼロは平気なの?」


「ふむ、我はあまり周囲の景色というものに興味がないからかあまり感じないな」


「そうなんだ。ちょっとうらやましい」


 ミサキたちとつかの間の休憩をとっていると私の耳が妙な音を聞き取る。


「なにか、来た」


「ふむ、確かに何か感じるのじゃ。敵かのぅ」


「違う。と、思う」


 何かはわからない。でも、


「なにか、嫌な予感、がする」


 感じた気配からとても嫌なものを感じる。

 でもなぜかどこかで感じたことがあるようなもの。


「ふむ、妾もスズと同じことを考えていたのじゃ。とてつもない嫌なものじゃが、どこかで感じたことがあるような気がする」


 ロベリアも感じたならこれは間違いじゃない。

 過去に確実に遭遇していたもの。


「っ、だめ……」


「じゃな、この気配は不味い。先を急ぐぞミサキ、ゼロ!」


 急いで準備を整え、道を進む。


 後方から近づいてくる謎の気配。

 多くの不安が募るこの場所にクロがいてくれれば……。


 内心の弱気を押し込め先を行くロベリアの後を追う。


次、主人公入りまーす。と、思いまーす。

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