血塗られた道
僕は、ハッと目を見開いた。
目の前に見知らぬ男性がいて、いきなり目を見開いた僕を見て、その人は驚いていた。
夜に溶け込む紺色のスーツを着たその男性は、僕を見て咳払いすると、話しかけてきた。
「大丈夫ですか?」
僕は数秒男性の顔を見て、頷いた。
…誰だろう、この人。
僕は辺りを見渡した。
そして、息を飲んだ。
辺りが、真っ赤に染まっていた。
真っ赤な液体の中に、3人、倒れていた。
3人の周りには人がいて、写真を撮ったり、何かメモを取っていた。
「…殺人事件ですよ、悲惨…ですよね」
溜息交じりに、男性は呟いた。
その慣れたような口振りからして、男性は警察関係者なのだろうか?
そして倒れている3人の周りにいる人たちも、鑑識などの警察関係者だろう。
「は、犯人は…」
「…恐らく、例の殺人鬼でしょうね」
「…例の?」
「はい。
最近この辺りで、頻繁に殺人事件が起きているんです。
目撃情報が少なく、犯人はまだ捕まっていません」
「そ、そうなんですか…」
知らなかった。
自分の周りで、そんな事件が起こっているだなんて。
しかも犯人が捕まっていないなんて、物騒にも程がある。
…これからはこまめに、新聞を読んだ方が良いかもしれないな。
僕は密かにそう誓った。
「見たところ怪我していないようだな。
だが、一応病院に行きなさい」
「わ、わかりました」
僕は人生初の、救急車に乗りこんだ。