当たり前の日常
夜ご飯を食べ終え、僕は自室で本を読んでいた。
夜ご飯が出来上がる数分前、父さんが帰宅して、家族揃ってテーブルを囲んでご飯を食べた。
共働きの両親を持つ大の家では、珍しい光景らしい。
だけど僕にとっては、当たり前の日常だった。
「仁?ちょっと良い?」
突然姉さんが、ノックもなしに入ってくる。
別に後ろめたいことなんてしていないけど、いきなり入ってこられると驚くな…。
「シャーペンの芯がなくなったの。
仁、近くのコンビニで買ってきてくれない?」
「僕が?
今、もう7時過ぎじゃないか。
姉さんが行けば良いじゃないか」
「お願いよ、仁。
それとも、あたしに敵うとでも?」
姉さんのニヤッと笑ったその笑顔に、僕は溜息をついて、姉さんからシャーペンの芯代を貰い、家を出た。
姉さんは喧嘩が強くて、よくおやつの取り合いとかで喧嘩になったりすると、必ず僕が負けていた。
最近は喧嘩なんてしていないけど、きっとやったら僕が負けるに決まっているから。
僕は大人しく、逆らわずに行くことにした。
母さんと父さんはリビングでの話に熱中しているのか、全く僕が出掛けて行く気配に気が付かない。
だけど僕は一応、「行ってきます」と声をかけた。