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終わりのない殺人

NOside



「ふぅ……」



 花井は溜息をついて、シュレッダーの電源を切った。

 中には山のように盛り上がる、ちぎれた紙の山。

 …良いんだ、これがオレのやり方だ。



「花井さん?どうしたんスか?」



 緩い話し方が特徴の部下がやってきた。

 花井は立ち上がり、紙の山をごみ箱へ捨てた。



「そういえば花井さん、知っているっスか?

例の2人組殺人鬼、また事件起こしたみたいっスよ?

その上署内でこの間、その殺人鬼によって殺された遺族の書類、まだ行方不明みたいっスね」


「…早く見つかると良いな」



 見つかるはずはない。

 だってその書類は花井が盗み、たった今シュレッダーによってちぎれて粉々になり、ごみ箱へ処分されたのだから。



「…あ、おばちゃーん。

悪いんだけど、このごみ箱の中身も捨てても良いかなー?」


「あいよー」



 署内を掃除する清掃員のおばちゃんに、粉々になってしまった行方不明の書類がはいった紙を捨てたごみ箱を渡す。

 いずれあのごみは、燃やされる。


 花井はわかっていた。

 新野仁と、その友人・切間涼が、連続殺人鬼の正体だと。


 そして新野仁が、かつて花井が新米刑事の頃扱った、幼児虐待事件の被害者・田中仁だと言うことも。

 切間涼は、実の両親を殺して、専門の業者に死体を処分させたことも。


 その後2人が多重人格を患い、その救済人格が現在世間を騒がす連続殺人鬼だと言うことも。


 花井は全部、知っていた。




「捜査に行くぞ」


「ぅいっす!」



 だって花井自身も、

 かつて両親から虐待され、

 多重人格者となったのだから―――



 誰よりも、わかっている。


 兄が弟を、

 全力で守る気持ちは――――――。






END

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