表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/27

渦巻く黒き感情


「……仁?」



 僕が背を預ける扉の向こうから、あの人の声が聞こえた。

 僕は涙を拭わないまま、振り向き、扉を開けた。


 黒い服に身を包んだ切間先輩が、泣いている僕を見て目を見開いた。

 そしてポケットの中からハンカチを取り出し、僕に差し出した。

 お礼を言いたくても言えなくて、僕は無言でハンカチを受け取り、止めどなく溢れる涙を拭いた。


 何故切間先輩がいるのか、わからなかった。

 だけど、いてくれて良かったと、心から感じた。


 僕独りなら…きっと…壊れてしまっていただろうか…。




 切間先輩に言われ自室へ戻った僕は、独り切間先輩のハンカチを片手に泣いていた。

 その間に切間先輩が警察を呼んでくれたようで、あの花井刑事がやってきた。

 大やその家族、男女3人組を殺した殺人鬼の仕業として、捜査を進めると言ってくれた。


 切間先輩は自宅へ帰る途中、僕の叫び声を聞いて、悪いと思いながらも家の中に入り、泣いている僕と死んでいる家族を見つけたのだと言っていた。

 「勝手には言ってすまなかった」と謝る切間先輩に、僕は無言で首を振った。

 切間先輩がいてくれて、心強かったから。


 僕の身近な人間を、次々と殺していく殺人鬼。

 殺人鬼が犯人だと言う証拠はないけど、僕は確信していた。

 必死に捜査を続ける警察をあざ笑うかのように、どんどん殺人と言う重たい罪を重ねていく。


 どうして…。

 どうして僕の大事な人ばかり…。



 僕は決めた。

 殺人鬼の正体を掴み、捕まえ、復讐してやると。


 例えソレが間違った方法でも、僕の大事な人たちを殺した罪は、償ってもらわないとイケナイ―――。


 僕の心の中を、どす黒い感情が渦巻いていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ