静かな家
色々な騒動があったものの、僕はそのまま退院することとなった。
家に帰ると、両親は仕事で姉さんは学校のため、僕1人だった。
だけど今日退院だってことは伝えているから、早めに帰ると、両親も姉さんも言っていた。
僕は自室へ向かい、ベッドに寝転がった。
前にこうして寝転んでいるとき、姉さんにシャーペンの芯を買いに行くよう言われて、夜の街へ出掛けたら、殺人事件に遭遇したんだよな。
誰なんだろう…犯人は。
どうして僕の周りで、こうも殺人事件が起きるのだろうか?
たまたま…なのだろうか?
そこまで考えていると、眠気を感じた。
昨日の夜は、騒動があって騒がしく、寝ることが出来なかったんだ。
僕は深く溜息をつくと、眠りにつくため瞼を閉じた。
ふっと目が覚めて、部屋に掛けてある時計を見ると、夜7時を過ぎていた。
その時刻に、僕は飛び起きた。
朝の9時頃家に帰って来たはずなのに、もう夜7時。
随分寝たんだな…僕は。
苦笑交じりに、僕はベッドからおりて、階下のリビングを目指す。
時刻を確認した途端、空腹に襲われた。
朝ご飯は病院で食べたけど、お昼ご飯と夜ご飯は食べないで寝てしまったからな。
きっと両親も姉さんも帰宅している時間だ。
階段を下りる途中、僕は違和感を感じた。
…静かすぎるんだ、家の中が。
早く帰るね、と病院を出てすぐ電話した時、そう言っていたはずなのに。
何か急用でもあって、まだ帰宅していないのか?
僕は首を傾げながら、いつもは閉まっていないリビングへ続く扉を、押し開けた。
「……ッ!?」
煌々と明かりの点くリビング内に倒れている、母さん。
その背中に刺さり、ぬらりと光る真っ赤に染まったナイフ。
母さんの横で倒れている、父さん。
普段は腰に巻かれているベルトが首に巻かれ、息の根を止めている。
父さんの隣で倒れている、姉さん。
四肢を切られ、そこら中から血を流していた。
「…あ…あ…あああああッ!!」
僕は近所迷惑なほど、叫んだ。
ドウシテ…ドウシテ……。
どうして、家族が皆…死ンデイルンダ?
状況が読めなくて、でも何故か涙が出た。
僕は後ろ手で閉めていた扉に背を預け、そのままペタリと座りこんだ。




