3rd day
「朝だよー。朝ご飯食べて学校に行くんだよー」
いつもの声。俺が起こされるいつもの声。昨日の非日常を振り払うようないつも通りの。
朝飯の時に姉に心配されたが答えたくなかったので、やっぱりうやむやにしておいた。
家を出る。いつも学校に行く道とは違う道を通る。
遠回りをして、あのT字路を避けて学校へ向かう。
「この角を曲がれば学校・・・」
いるわけない。場所が場所だけにいるわけが無い。
他の生徒だってたくさんいるんだ。怖くない。怖くない。
その中で少女が一人俺を待ってるなんて、ありえない。
無理矢理、自分に言い聞かせる。
ふと、何かに気付き角を曲がる前に足を止める。
「ここも・・・T字路・・・」
不安にかられる。心の中でざわめきが起こる。
近くにあるカーブミラーに目が行った。
制服を着て、学校に入っていく生徒に紛れて・・・一人・・・。
居た。
高校生の中で小さく紛れているのに、大きな存在感。
俺は恐怖から逃げたい、という一心で走った。
あの少女とは関わらない方がいい。とにかく走った。
周りの事など気にしない。気にしている余裕など無い。
家に着き、鍵を開け、扉を開け、扉を閉め、鍵を閉める。
外との接触を拒むように。触れたくない。
どこに行ってもあの少女がいる。行きたくない。
家の中でも自分の部屋に逃げるように駆け込んだ。
ストックが尽きそう・・・。おお怖い怖い・・・。
ペースを少し落とそうかな?