終
救急車に運ばれて、検査と治療の日々。
私は親に持ってきてくれたパソコンでネット検索をしていた。
「やっほ」
先に退院していたけいちゃんがお見舞いにやってきた。
お互い、小説の中のヒロインと悪役令嬢に転生していた記憶はあるようだ。どういう仕組みかわからない。
「小説を書いているの? 読んでいい?」
私はくすっと笑った。
「違う違う。調べもの」
自分が書きたい小説のジャンル。その為にどんな進路を進もうかと調べていた。
「文学部かな」
「うーん、歴史ものを書きたくて……」
けいちゃんがちらっとパソコンをみると作家と学歴、代表作のジャンルという文字が。
「私がいけるわけないけど」
「わからないよ。いいじゃない。目標に合わせた進路を探すのも」
高校はとけいちゃんが候補をあげていく。それに果たして受かるのかも怪しいが。
「とりあえずまた何か書いてよ」
「とりあえず……って」
小説の中に転生してお互いたいへんだったというのに。
「私、みやちゃんの小説好きだよ。そうだ。今度は恰好いい女性の小説がいいなぁ」
さりげなく注文してくる。
果たして彼女の好みのものを書けるのだろうか。
でも、好きと言われて嬉しくもある。
「そのうち思いついたら書くよ」
病室で私とけいちゃんは笑いあった。
まずは退院して、中学校生活を一緒に楽しまなければ。
(おわり)
最後まで読んでいただきありがとうございました。