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MILATE-少年と竜の魔物語-  作者: ほかほかアマゾネス
第二章 少年期-一学期編
24/25

第23話 武術大会、開幕

【創世歴674年 林檎りんごの月(5月) 10日】


放課後、屋内武道場には武術大会に出場する生徒達が集まっていた。


「改めて、ルールを確認します。


試合は一対一。制限時間は十分。魔道具マギズモ及び魔石ジェムの使用は一個まで。支給品の防具は手足と頭に必ず着用すること。


勝利条件は、相手が五秒以上地面に倒れるか降参するか。なお、上記に当てはまらなくても審判が危険だと判断した場合は試合を即中断させてもらいます。

時間が過ぎても決着がつかない場合は、先に相手に一撃を食らわせた方が勝利となる延長戦を行います。延長戦の時間は一分。ここでも決着がつかなかった場合は両選手ともトーナメント脱落とさせてもらいますのでご了承ください。


それではただいまより、第32回学園武術大会を開始します!」


ジミー教頭の号令に、屋内武道場の生徒たちから歓声が上がる。


「では早速、五分後にAブロックの第一試合を始めます。出場選手は控室にて準備をし、観戦する者は白線の外側まで下がってください」




武道場の控室内。

出場選手が武器を手入れしたりする中、レイン、アルベルト、レベッカの三人はオルフェンに向かって手を振った。

「オルフェン、コンディションはどう?」

「まあまあってとこかな」

支給された防具を手足に着けつつ、オルフェンはアルベルトに返答する。

その横でレベッカが腕組しつつ言った。

「ま、あんたなら余裕でしょうけど。油断して負けたら承知しないわよ!」

「おう。信頼してくれてありがとな、レベッカ」

「っ!」

オルフェンがそう言って微笑むと、レベッカは顔を真っ赤にしてぷいっとそっぽを向く。

「べ、別にそんなんじゃ…!」

「オルフェン、ヴァレリーに会った?」

そんなレベッカの後ろからひょいと顔を出し、レインは尋ねる。

その問いにオルフェンは神妙な顔をして頷き返した。

「ああ。…でも、やっぱりすぐ避けられた」

「本番だし、きっと余計に気が立ってるんだよ」

宥めるようにアルベルトがそう言い、「ところで」と話題を切り替える。

「マヤを見なかった?」

「マヤ?見てないな。レベッカ、一緒じゃないのか?」

オルフェンが尋ねるがレベッカは首を横に振る。

「六限目が終わって、武道場に向かうまでは一緒にいたんだけど…。今日は料理クラブの活動もなかったはずだし、寮に帰っちゃったのかしら?」

「…もしかしたら、ヴァレリーと、一緒にいるのかも」

レインの言葉にアルベルトも納得したように声を上げた。

「その可能性もあるね。あの二人、なんだか気が合うみたいだし」

「そうなの?マヤがねぇ…ふぅん…」

「ヴァレリーはBブロックに出るんだったよな。なら控室にはいないか…」



「あ!お前!傷跡剣士!」

聞き覚えのある声にオルフェン達がそちらの方を見ると、防具を付けたジョニー一行がこちらに走り寄ってきていた。

「ふん!俺との勝負から逃げなかったんだな!褒めてやるぜ!」

「何様よ」

ジョニーの態度にレベッカは呆れたようにため息を吐き、レインは首をこてん、とかしげながら「四人とも、大会に出るの?」と聞く。

「もちろん!俺ら四人のうちだれか一人でもお前に勝てたら、俺ら四人が最強ってことになるからな!!」

「その理屈はよくわかんねえけど、そっか」

サンチョの言葉をオルフェンは適当に受け流す。

ベッツは「ところで、あいつは一緒じゃねえのか?」とオルフェン達に尋ねた。

「あいつって?」

「あの目つきの悪い、でっけえ剣持った男だよ。俺らが無人島で倒した」

「あ、ヴァレリーのことか。…まあ、色々あって」

「そうなのかい?あいつの彼女が男子達に連れてかれてたからさ、ちょいと気になって」

「彼女?」

アルベルトが聞き返すと、アリアは頷いた。

「あのおどおどした紫のおかっぱの娘よ。ここに来る途中に見かけたんだけど、校舎裏に手引かれて連れていかれてたわ」

「マヤが…!?」

レベッカは口元を抑えて叫ぶ。

「開会式が始まりそうだったから俺らはそれ以上追えなかったんだけど、あの子嫌がってたし、なーんかただならねぇ雰囲気だったぜ」

ベッツの言葉に、オルフェン達四人は顔を見合わせる。


その時、アナウンスが響いた。


「これより、Aブロックの第一試合を始めます。出場予定の選手は準備を整えて武道場に…」

「おっ、始まるな!じゃあな傷跡剣士!」

そう言い残すとジョニー達は去っていく。

不安そうなオルフェンの肩にアルベルトは手を添える。

「オルフェン、君は試合に集中して。僕たちは校舎裏にマヤを探しに行ってくる」

「応援してる。オルフェン、頑張って」

レインもオルフェンの手をぎゅっと握りそう告げる。

「…ああ。頼んだ」

オルフェンも深く頷き返し、試合に出るために立ち上がった。



その一連のやり取りを物陰から聞いていたヴァレリーは冷や汗を流す。

「…嘘だろ?あいつが…?」

「よお、ヴァレリー・マードック」

唐突に響いた声に顔を上げると、目の前にはライフルを持った男子生徒の姿。

「何だ、お前…?」

「まあそんな顔すんなって。…取引をしようぜ」

男子生徒はニヤリと意地悪く笑った。

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