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悠久とエテル  作者: aqri
本編
26/107

ロジクス4 教会の人間

「普通に考えればおかしいに決まってるだろそんなの。うまい話なわけない。向こうの協会はお家騒動中、学校の生徒を利用しようとするならそれなりに大舞台が揃っているはずだ。そっちはそっちでなかなか面白そうだけど、魔術はどう関係するんだよ?」

「レミー先生な、あっちの協会側の人間なんだわ」


 酒に酔わせて一夜を共にした時、酔った勢いでペラペラとしゃべったらしい。そしてここからが本題だ、と楽しそうに言った


「あっちの協会は長年魔術を探し尽くしてきた。その手がかりが見つかったんだそうだ。間違いなく地下に封印されてる」

「また地下?」

「また?」


 ロジクスは適当に事情を説明した。影魔法を使ったとはいえないので、一年が地下空間を見つけたという内容を脚色して話す。


「まさか、学校の地下と教会本部の地下が繋がってるとか?」

「その可能性はあるがわからん。ただあっちの協会は自分たちの敷地内に入り口を作ろうとしてるんだそうだ。うまくいかなかったら優等生さん達の責任にするつもりなんだろう」

「つまり魔術が封印されているところに行くにはかなり優秀な魔法使いが必要ってわけで。教師だと角が立つから便利そうな学生を使うってわけか。優等生さんは教師たちに利用されてるってことだな。今までの野外活動や奉仕活動は全部それが目的か」


 優秀な生徒は一般人へのアピールの為、そして国への宣伝のためにやたらと外の活動が推奨されている。三年生の優秀な特定の生徒たちはそれにやたらと参加しているなと思っていたが。

 それが目的だったとするとご愁傷様としか言いようがない。三年の担任なら行き先を自由に決めていただろう、レミーの行きたいところばかりだったということだ。


「そういうのを何回も参加してうまくやってきてるんだから、優等生殿は本当に優秀なんだってことだろ。とりあえずあの先生が酒に弱くてちょっと頭が悪いっていうのはわかった。色々と面白そうだ」

「探るのはいいがあまり調子に乗るなよ。その女がパッパラパーだっていうのは向こうの協会だって気づいてるはずだ。俺たちみたいなのを誘き寄せるための罠かもしれないからな」

「そんなの百も承知だよ。ただあの先生は野心が強いみたいで、教会を出し抜こうとしている節があるから。そこがうまく使えるかなって思ったんだよ。婚約者が協会の権力者の息子みたいで、やってやるわって気になっちゃったっぽいんだよね」


 そういうと私物である香水と髪を整える油を使って身なりを整え始める。


「また逢うのかよ」

「課外授業やりましょうって言ってきたのは向こうだぜ? 先生のご自宅で」

「あっそ」


 お盛んなこった、と皮肉を言えば「それは先生だろ」と笑いながらトータは部屋を出た。いろいろきな臭いと思っていたが、そういうつながりがあるんだなと思っていると。


【なるほど、魔法教会にも地下があるの】


 自分の影からエテルの声がした。


「!?」


 自分の魔法をそっくり使ってみせたのだ。まさか自分の影が乗っ取られているなんて思わなかった。

 これが、真の天才の実力。


【さすがに教会本部にお友達はいないから、そっちはそっちでやってもらうしかないわ。がんばってね】


 気配さえ感じなかった。おそらくトータの影に乗り移ったのだろう。最悪だ、自分の一族が守ってきた魔法が簡単に盗まれてしまった。怒りを通り越して笑いがこみ上げてくる。


「上等だよ、クソ女」


 捻り潰したくなった。

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