ヒロインの謎の行動の結果
王子と側近がまともな感性をしている場合の悪役令嬢の対応の側近から見た話です。
ヒロインへの罰を軽くしたら悪役令嬢?の出演は全くなくなりました。
私の名前はリチャード・クレイマーソン、クレイマーソン侯爵家の三男だ。
父は宰相でありクレイマーソン家で一番優秀で殿下と同い年の私を我が家の持つ伯爵位を継がせて将来の宰相にと考えて居るそうだ。
そして私が側近筆頭として仕えて居るのはグレイ・ウオーリス、ウオーリス王家の王太子であるグレイ殿下だ。
我々は3年生になりグレイ様は生徒会長になり側近達で生徒会を運営する事にした。
明日は入学式で新入生が入学するので新入生が迷ったりしない様に徹底的に案内の看板を設置させた。
そして入学式が無事終了し話し合いの為、生徒会室に集まるとグレイ王太子が話し出す。
「入学式まで念の為見回りをしていたら看板の前で道に迷ったので会場まで案内して貰えませんかと新入生に言われたよ」
「徹底的に看板を立てておいた上に看板の前で案内して欲しいとは怪しいですね」
「その上突然自己紹介をしてくるので笑いそうになったがこの看板の通りに行けば会場に着くと教えてあげると礼を言って会場に行ったよ」
「念の為調べるので名前を教えて下さい」
「エミリー・アルス男爵令嬢だそうだ」
念の為影の者に調べておく様に命令しておく。
3日後新入生に関係した問題の処理のため生徒会役員が全員集まる。
問題の処理が終わりお茶を飲んで居るとグレイ王太子が話し出す。
「エミリー嬢だが次の日現れると案内のお礼だと手作りクッキーを渡して来たよ」
「エミリー嬢と言えば私の前に現れたと思ったら突然挨拶をしたと思ったら自己紹介までして帰ると次の日には手作りですがどうか食べて下さいと私にもクッキーを渡して来ましたよ」
そう言うと他の側近や会計係の国で最大の商会であるクラウス商会の跡取り息子も同じ事をされたと話す。
私は怪しすぎて捨てられなかったクッキーを出し、グレイ王太子と他の生徒会メンバーからもクッキーを集め魔法省に調べて貰う事にした。
1週間後生徒会活動の為集まるとエミリー嬢は生徒会メンバーが行く先々に現れ挨拶をするとクッキーを渡して来るのだと話し合う。
特にグレイ王太子は普通の生徒なら知らない筈の秘密の場所にまで現れるとこぼす。
その為影の報告を全員で確認すると部屋には通信機などは無いが見たことの無い文字で書かれたノートを発見し一部を書き写したと報告があり現物を確認したが誰にもほとんど読めず読める言葉も意味がわからず専門部署に解読を依頼した。
2週間後中途半端な時期だが隣国から皇子が留学して来る事が決まり、忙しくなる前に魔法省からクッキーの鑑定結果が報告された。
「クッキーから魅了薬の反応が出たか」
「影からはそんな物を買っていたとの報告は無いですね」
「なら実家から持ち込んだ可能性が高いからアルス男爵領に調査隊を派遣しましょう」
そうしてエドワード皇子の留学の為の準備を始める。
そして留学受け入れの準備が終わったので調査隊の報告を確認する。
するとアルス男爵からある花に魅了薬の成分が含まれて居るのは極一部の人間しか知らず栽培や持ち出しには極秘に監視しているがエミリー嬢は監視の対象には含まれて居ないと報告書に書かれていた。
その為エドワード皇子の受け入れが安定するまで影の監視を厳重にする事が決まった。
そして皇子が留学して来た日からエミリー嬢の行動が始まる。
昼休みになると走って移動するが到着地点にはかならずエドワード皇子がいた。
試しに生徒が気づかない様な場所をグレイ王太子がエドワード皇子に教えてもエミリー嬢が現れクッキーを渡してくる。
影が確認した所エミリー嬢は他国の人間に接触や指示の手紙を受け取った事実は無いがエドワード皇子が嫌がっているので対策を話し合う。
王宮で調べたノートの写しは誰にも読めず他国の間者の可能性はないがエドワード皇子は恐怖心を抱いた様なのでアルス男爵に連絡すると、エミリー嬢は自主退学させて実家に連れ戻し領地では最大の商会の会頭で年上だが独身の男性と、関係強化の為結婚させるそうだ。
これで安心して生徒会の仕事に打ち込める。
そう思いながら生徒会役員が全員婚約者と個別にお茶会をするのだった。