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超がつくほどブラックだった1

 はじめまして、拙い小説ですが読んでいただければ幸いです。

 誤字脱字あるかと思いますがよろしくお願いします


 5/2修正しました、1~4話は簡単な状況説明です。


 目の前に見えるのは、積み上げられた天井まで届きそうな大量の書類。


 三メートル四方はある大型の机はいつ山崩れが起きてもおかしくは無い。


 そんな机の書類を、まるでこま鼠のようにちょこまか動き回り処理する一人の少年。



「ふぅ、……ちょっと休憩……あぁ、おなかすいたなぁ―― ツッ」



「こ、こんの役立たずがぁ――何勝手に休んでんだよおぉ――。無能は俺様の為に働け」



 少し立ち止まった瞬間、杖で頭をぶん殴られた少年は額から血を流し倒れこんだ。


 彼は運悪く、ほんの少し休憩しようかな……と考え、立ち止まった瞬間を上司である天使長に見られたのである。


 少年は本当に運が悪かった、実際上司である彼がこの部屋。


『天使長の仕事部屋』に近寄ることはほとんど無い、来るとすれば彼のさらに上司が監査に来るときだけである。



 事実天使長が自室に来たのは百二十年ほど前、この少年をこの場所に連れてきた時であった。


 実際の所、少年は飲まず食わず、さらに言えば、ほぼ睡眠無しで百二十年間働かされていた。


 ブラック企業どころか、黒を数万倍煮詰めた暗黒企業であった。


「チッ、本当に無能は楽することしか考えてないな、少しは上司の役に立とうと考えないのかよ。まったく何で俺様が自ら……おぅ、これだこれだ」


「…………」



「フンッ、ケッまあこれで我慢してやるか。スキルも持たない役立たずの無能にしてはマシか。いいか、無能は無能なりに俺様の役に立てることを誇りに思うことだな。わかったらうずくまって休んでないでさっさと働け!!」


 少年の返事も聞くこともなく、積み上げらた書類の山を乱暴に崩しながら一つの書類束を持って立ち去る天使長。


 静けさを取り戻した空間。


 一人残された少年はゆっくりと立ち上がり、元は白だったであろうボロボロの服の袖で額の血をぬぐい、散らかった書類をかたずけると再度積みあがった書類を整理し始めた。


 


 ここは天界。


 地上を見守り管理する神々や天使が住む世界。


 時には人々を助け導く役割を担う。



 創造神を筆頭に。


 上級神、武神・剣神・魔法神・薬神・農業などなど。


 中級神、上級の眷属神。


 下級神、中級神の眷属神、実際地上に信仰されているのはこのあたりで、中級以上はきまぐれ以外ではほとんど地上に関与しない。


 神候補、下級神の補佐、神見習い。


 最上級天使、十二人で構成される。会社で言う会長・役員。


 上級天使、地上に関与する決定権をもつ。


 中級天使、中間管理職の部長・課長クラス、天使長がここ。

 

 下級天使、会社でいう一般社員。


 天使、一般市民で住民。地上で善行を積んだ中でさらに優秀な人が天使に生まれ変わる。


 一応寿命はないが、上位存在から天使資格を剥奪される場合もある。


 少年、通常天使には一人に1つは何かしら天界で役に立つスキルが与えられるが、転生した時から何も持っていないことが判明し天使長に部下として働かせられている。




「……はぁ、僕は何のために転生したのかな」 


 少年の前世は。簡単に言えば超がつくほどの善人でお人好し。



 たとえば給料前一週間で財布には千円。


 家に食料備蓄はなし……の状況であっても、目の前で募金箱があれば残らず入れるほど。そして水だけで死にそうになること数十回。


 

 一生のうち自身のことで怒ったことは無かった。


 目の前で誰もが目をそらして立ち去る現場。


 数人の酔ったチーマーに絡まれ、暴行を受けていた何もしてないおじさんを助けに割って入り。


 逃がしたところで背後からチーマーに隠し持ったナイフで刺され。


 落ちていた角材で滅多打ちされて死亡。



 ……享年50歳であった。





 ……私は意識を取り戻した。


 手には小さな手鏡が握られているが気にしないことにした。


 鏡を覗き込む確認すると見覚えのある少年の姿。


 うん、間違いなく少年時代の私の顔だ。


 一瞬夢かと思ったが、どうやら現実らしい。


 刺されて殴られ、意識が無くなっていくのは覚えている。


 死んだのだろう。



 そんなことはどうでもいい、私の姿を見る、年齢は十二~十三歳?


 幼い頃の外見だ。


 身長はかなり低い百三十センチくらい。


 細身であるがしっかりと筋肉は付いた身体。


 服は白い布、貫頭衣かな。


 髪は前世とは違う。


 白というか銀に近い肩まで伸びた長髪、目は黄金色。


 肌は同じで色素が足りないのか真っ白。 

 


 自分の姿を確認し少し落ち着いた。


 ここは周囲には何もない真っ白な空間。


 突然のことできずかなかったが、自分以外にも数人の人の姿が見えた。


 自分と同じように、手に持った手鏡で自分達の姿を確認している。


 黒髪のアジア系、いや日本人の二十代前半ほどに見える若い女性。


 金髪の人のよさそうな、とても恰幅の良い外人男性などなど。



 すこし離れた場所に、なんだか偉そうに命令してる翼の生えた人間? の姿が見えた。


 ……いや天使っぽい、天使なのかな。


 その天使の男女数人が一人一人、巨大鏡の前まで人々を誘導してい

る。

 

 ……思考が停止した。


 ……



 ……気づいた時。


 周囲には誰の姿も無く自分一人になっていた。


 数多くいた人や天使は、すでに遥か遠くに歩いていく後姿が見えた。


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