5 思いもよらない事実
「成功か……?いや、いつもここまではいけるんだ、油断は禁物……」
そう言い、目の前にいるトカゲを持ち上げる。このトカゲは、実は本物ではなく、紙に変身魔法をかけたものだ。
トカゲの全身を撫でまわし、見て、どこにも穴がない事を確認する。
第一段階クリア。
トカゲを机に置き、変身魔法を解除し、研究室の隅にあるネズミが居るゲージへと向かい、ネズミに変身魔法をかける。……ウサギにしよう。
変身魔法をかけると、ネズミは光輝き、あっという間にウサギの姿に変化した。
鼻をひくひくさせてこちらを見る様子からするに、今のところ副作用は出ていないようだ。
時魔法をかけ、ウサギの時間を早くする。
すると、ウサギは特に目立った副作用が現れることなく寿命を迎えた。
「よっし……」
小さくガッツポーズする。
第二段階クリア。
あらかじめ用意しておいたもう一匹のネズミにも、変身魔法をかける。
こんどは、ネズミより小さいもの……バッタとか?
ネズミに変身魔法をかけ、バッタにする。
そして、また時魔法をかける。
……結果、バッタは副作用なく、寿命を迎えた。
「よっしゃあああ!!」
「殿下~静かにしてください。」
外から呆れたようなメイドの声が聞こえる。メイドへ軽く謝り、自身にも変身魔法をかけ、数回姿を変化させ、本当に不備が無いかを確かめる。そして、意気揚々と机へと向かい、マリーに向けての手紙を書き始めた。
私は、マリーと文通することができた日から、本格的に変身魔法の研究に取り組んだ。
マリーの言うように、マリーの論文の翌日に城を抜け出すのに使えるし、それ以外にもたくさん使い道がある。
まぁ、どうせ完成させるつもりだったけれども。
マリーの助言を参考にしながら生物について造形も深め、やっと今、成功したのだ。
この感動のまま、マリーに手紙をしたためる。
ちなみに、このモールスは以前マリーが書いたものと同じものだ。
もう、作戦は立てる必要が無いからな。
最終的に決まった作戦の概要は、こうだ。
マリーが以前と同じ日にモールス鳥についての論文を発表し、その次の日に二人で黒ローブを待ち伏せし、黒ローブを捕まえ、目的を吐かす。
衛兵?護衛?そんなものを雇えば、相手が警戒して接触してこないに決まっている。
保険として時魔術も覚えたし。これで万全だろう。……時魔術の使用には多少の代償がいるけれども。
ここまでやったんだ。捕まえられなくては、王族として情けないよな?
そして私はその時に備え、自身の魔術を強化するための研究へと打ち込んでいった。
感想下さい!待ってます!