15:引く手あまたね
※加筆修正
ギルドに飛び込んだカークは息を吐く。
冒険者達のみならず僅かな依頼人やギルドの職員達の耳目を集めたが今は気にしている余裕がない。
受付の列の最後尾に滑り込み、順番を待つ間、周囲からは絶えずヒソヒソと小声で話す声が聞こえてきた。
カークが勢いよく飛び込んできたのを見とがめたが故ではなく、新たな泥という噂がすでに回っているのだろうとカークは少し笑う。
なんの取り柄もないカークが一過性とは言え注目を集めるのは嬉しいように思えるが、実力が無いので結局のところそれは恥ずかしいだけだ。
羞恥から顔を伏せて早く列が進むよう念を送っている時に背後から冒険者が声を掛けてくる。
「ねえ、新しい泥なんだって?あたしたちと組まない?」
戦士然とした女性は隙の無い人物で、腰から下げた武器も良く使い込まれていた。
背後には彼女のチームメンバーであろう青年と少女がこちらを見ている。
強そうだ。一緒に組んでもらえればこれほどうれしいことは無い。
しかし、カークは知っている。うまい話には裏がある事を。
彼女は此方の実力を測ろうとも知ろうともしないで“泥”であることだけを気にして誘った。ということは、カークの実力が必要ないような仕事を割り振られる可能性は極めて高い。そう例えば“鉱山のカナリア”とか。
「いいえ、結構です」
丁寧にそう断ると彼女は眉を顰めて顔を歪める。
「は?あたしが誘ってるんだけど、断るっての?」
「断ります」
きっぱり言い切るとみるみるうちに顔を怒りで赤く染めた女とは対照的に向こう側でサッと顔を青くした青年が近づいてきている。
「てめぇ!C級様が誘ってやってんだからチームに入れよ!」
「わ!待て待て待てこっちにこい脳筋!!すまんな青年!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ女の首根っこを掴んで青年は呆れ顔の少女の待つところに向かって行った。
喚く女を真正面から見据えて、さらに大きな声で怒鳴っている。
それを冷たい目で見ながら自問自答する。
金になるなら鉱山のカナリアだっていいじゃないか?
答えはノーだ。
彼女に同じことを聞きたい。
金はやるから死んでくれと。ソレも幾たびも。
果たして彼女たちはイエスと答えるだろうか?
カークは不滅者であり泥であるが、痛覚はきちんと存在する。何より自分の安売りは忌むべきものだ。
勿論彼らが一回の冒険につき金貨数枚をくれるなら鉱山のカナリアごっこも悪くないだろう。だが悲しいかな、調べた限りそんな羽振りの良い冒険者はA級目前のB級以上だ。
ひとり分進んだ列を一歩進む。
突然、左腕に柔らかいものが押し当てられた。
訝しんでそちらを見ると可愛らしい獣人の少女が大きな瞳で此方を上目遣いで見つめており、カークの腕にその豊かな胸を押しあてていた。
誰かと間違えたのかと驚き腕を引こうとするが、少女は意外にも強い力でそれを阻み、自分の胸を熱心にカークの腕に押しあてている。
「あ、あのぉ・・・・・・新しい泥の方って聞いたんですけどぉ」
やけに甘ったるい声で少女が問うので頷きながらも腕を救出しようと踏ん張った。
「ええ、そうですが、離していただけますか」
「あのあの!泥の方ってとっても凄いじゃないですかぁ!わたしぃ憧れちゃいますぅ!!」
何がどう凄いのか一切の具体性が無い言葉を苦々しく感じながら、カークは語気を強めた。
「離してください」
だが少女は構わず大きな瞳をこちらに向けて腕に胸を押し付け、足をカークの足にまとわりつかせ始めた。
「とっても格好いいですぅ。よかったらぁ、わたしとお茶してくれませんかぁ?」
話が通じない相手にぞっとした。こいつはこの状況で何を言っているんだ。
カークは背筋を走る不快感と全身を覆った鳥肌に自分ですら驚いた。
息を吐き、冷静に言葉を選ぶ。
「離れろ」
それでもまだ無視して話そうとする少女を右手で押し返して冷たくみやる。
「誰かに頼まれたのか?それとも自分で好きでやってることなのか?どちらにせよ見ず知らずの異性にまとわりつかれて浮かれるほど馬鹿に見えるのか?」
前に並んでた冒険者が咽るのと顔を引くつかせる少女を今度はカークが無視をする。
「君も自分を安売りして楽しいのか?こっちの立場で考えてくれ。見ず知らずの男性にまとわりつかれて他所に連れていかれそうになるって考えたらどれだけ恐ろしいか分かるだろ」
「わ、わたし。難しいことはわかんなくてぇ」
「難しいとかそう言う問題じゃないだろ?接触してその後離れろと言われたら、一旦距離を置くのがマナーだ。離れろ」
睨むと少女はようやく諦めてカークの左腕を開放するとどこか憎々し気に顔を歪めた。
「戻って伝えろ。君たちのチームに入る気はないって」
「・・・・・・ちっ」
あれ程可愛らしかった少女の面影はなく、舌打ちひとつ残して怒りに震えた彼女は去って行った。
「はあ」
溜息しか出ない。深く溜息をつくと左腕を軽く掃う。
接触恐怖症の気は無いが、それでもあんな目に合うとなりそうで困る。
“泥”であるという噂だけでこんな目に合うのかと思うと先ほどまでの羞恥は薄れ、億劫になる。
だが、いずれは仲間が必要だ。少なくともカークには大した実力が無いのだから。
溜息をもう一度吐いて一歩進むと今度は背後から声を掛けられた。
「カーク!アンタ、無事だったの!?」
振り返ると心底驚いたという顔のイナンナに出会う。
「イナンナ。ああ、うん?無事だったってどういうことだ?」
驚いた顔の後にすぐさまイナンナは顔を真っ赤にして怒り出す。
まるで何かの重圧から解放されたかのように感情を吐き出すのだ。
「馬鹿!馬鹿ね!アンタ、東側の森の中で登録票を落としたでしょ!」
ほら、と手渡されたのは確かに登録票だ。白い雫型のそれを手にカークは息を呑む。
そこを、カークが殺された場所を通ったのか。その一言が口から出ない。
「あ、ありがとう」
「それが落ちてた所が血まみれで私、てっきり・・・・・・ああ、もう!!ムカつく!さっさと村に帰ったらいいのに!!」
イナンナはそれだけ一方的に告げると憤懣やるかたないと去っていった。
変わらない態度にカークは思わず笑ってしまう。イナンナはカークがエルデン・グライプになったことを知らないだけだろうけど、それでも嬉しかった。
「・・・・・・ありがとう」
カークは列から抜けて、依頼が張り出される掲示板の前に向かった。
街の東門から歩いて30分ほどの所にその異様なものはあった。
僅かに光る大きな魔法陣の上に浮遊する、人が何十人と手をつなぎ合わせてやっとぐるりと回れるような巨大な水晶玉。それに向かって冒険者たちが列を成す。
先頭の冒険者たちが水晶に手を付けてそれから数秒で冒険者たちの姿が掻き消える。
これに動揺の声を漏らすのは、駆け出しの冒険者だけだった。
迷宮の入り口は何処も同様の作りで、歴史の本によれば、大昔悪戯好きの神様が各地に造ってそのままにしているそうだ。また、中で別に入った者と出会うことは無い。
どんな神様だよとひとり呟きながら列を進む。
列自体はかわいいものだ。あと5組くらいで自分の番だが、前に並んでいる冒険者がこちらを見て訝し気にした。
ひとりで迷宮に入るのは相当の実力者が馬鹿だけだ。
悲しいかな、カークは馬鹿の仲間入りなのだがやむを得ない事情がある。
まず、金がない。野盗たちは売れないと知っていたのか武器を持ち去らなかったが、その武器だって名品でもなんでもない見切り品だし、防具も身につけていない。
最低限度のクロスアーマーは勿論、レザーアーマーすらない状態でまともな冒険者が仲間に入れてくれるわけがない。
せめて剣の腕があれば短所を帳消しにできたかもしれないが、カークにはそこまでの実力は無い。
じゃあ安全な薬草採取の依頼を受け続けるかと問われればカークは唸りながらも否と答える。
それでは向こう十数年薬草採取を行う事になる。不老になったとはいえカークにそれは辛いし、何より冒険といえるような事をしたかった。自分を優先するのは生きる者の権利だ。
森でゴブリン退治でも問題なかったかもしれないが、カークは無理にでも迷宮を選んだ。
迷宮には勿論危険が付きまとうが、神の思し召しか道具や武器、防具が落ちていることがあるのだ。そしてそれらは結構いい値で売れることをカークは本で読んで知っていた。
知識をくれたアンジェラと迷宮を造ってくれた悪戯好きの神様ありがとうと心の中で祈りと感謝をささげてカークは迷宮に潜った。
ゴブリンを斬り倒して、次のゴブリンに襲いかかる。
倒れたゴブリンはもんどりうっているのでそれを踏みつけながらも次のゴブリンを斬りつけた。
付けた傷は浅く、そのゴブリンは棍棒を手に襲いかかってきた。軽い動作でそれを避けるとゴブリンの首を目がけて剣を振り下ろす。
中ほどまで断ち切れた首でゴブリンは汚い悲鳴を上げて倒れた。
一連の中でカークは疲れて息を吐くとまだもんどりうっているゴブリンの首を裂いた。
血で汚れた服を疎ましく思いながら、剣を鞘に戻して剥ぐためのナイフを取り出し、ゴブリンたちを解体し始める。
周囲を警戒する人物がいないのは非常に心もとないが、ない者をねだっても仕方がない。
腑分けをして売れる臓腑を革袋に突っ込んで、耳を切り落とす。
そうして準備が整ったら先に進む。これを1時間以上繰り返して流石に疲れた。
この迷宮は石壁に石畳と何処かの地下のような作りでたまに部屋がある。
部屋を覗くと大抵は何もないが、出入り口がひとつしかないというのは今のカークにはありがたかった。
部屋の安全を確認し、再度部屋の外の安全を確認して中に入ると部屋の隅に腰を落とす。
――とても疲れた
ここまで休憩なしでゴブリンを狩りながら地下に向かって歩いてきて、いまは地下二階だが既に疲労が色濃い。
この迷宮は地下30階まであり、各階の最初の部屋にワープポイントとでも言う様に魔法陣が敷かれている。その魔法陣から外に出たり別の行った事のある階層に飛ぶ事が出来る。
本で学んだことを反芻しながら頭を抱えた。
ゴブリンを一日で10体近く倒していれば当然剣の斬れ味だって悪くなるが生憎、手入れ用の道具を持って来ていない。
初心者用の迷宮だと聞いていて、正直舐めていたのだ。
確かに一斉に襲い掛かってくる数は最大でも2匹と少ないし、ゴブリンより強い魔物にはまだ出会っていない。
出会ったのはウサギの魔獣と弱い狼にコボルト2匹。あとは全部ゴブリンだ。
奥まで行けばもっと魔物は強くなるが基本的にはこの迷宮はゴブリンが主軸で出てくると本に書いてあった。
しかしそれにしても、自分の準備の甘さに嫌気がさす。水はまだあるし食料もあるが、その他の消耗品の事を考えていなかった。
カークは今更後悔しながらも後には引けないとばかりに気合を入れて立ち上がり扉を少し開け、左右を確認して安全を確保するとゆっくり外に出る。
とは言え先に進みながら、カークは3階に行ったら一旦帰ろうと決意した。
思ったよりも迷宮には物が落ちていないと肩を落とす。確かに言われてみれば、そんな頻繁に物が落ちていれば冒険者たちはもっと潤っていていいはずだ。
迷宮産の道具はどれも高品質でそれなりの値段で売れる。よほど金遣いの荒い者でない限りはまともな生活ができる。
どれだけ悔いようとも先を憂いても仕方がない。カークは先に進む。
道に迷うことは無い一本道だ。本当に神様が初心者向けに造ったんだろうか?
大昔の事に胸をはせても仕方が無いが、何故ここまで“親切”な設計にしたのか気になる。
本の内容を信用するのであればこの迷宮は500年以上ここに存在し、その間に何百何千と冒険者たちに攻略され、情報は十分に出回り、迷宮の空気を掴むためだけにあるかのような構造は冒険者であれば誰もが知っている。
そんなことをして神様や作った人物にいったい何のメリットがあるのだろうか。
いや、確か造ったのは悪戯好きの神様だったか。愉快犯という可能性もある。
今それを考えても仕方がないと目の前の大扉を見上げながらひとりごちる。
ここまで一本道でたまに部屋があったり、直ぐ行き止まりの脇道があっただけで大扉があったのは初めてだった。
押しても引いても開かなそうな重厚な扉を少し叩いてみると、すぅっと大扉は開いていくのでカークは焦って開いていない方の扉の影に隠れた。
中は大部屋かと思いきや、ちょっとした庭園のようだった。
様だったというのは、その庭園らしき場所は手入れがされておらず、草や木が伸び放題で辛うじて道を示す苔むした石畳と花壇だったものがみえる。
中央には大きな樹が植わっており、上を見上げればガラスから青い空が見えた。
恐る恐る庭園に足を踏み入れる。中央の樹に向かって行きその後で進路を探すつもりでゆっくりと進む。
出来るだけ足音を立てないようにけれどもどこから敵が飛び出してきてもいい様に剣は抜き身で手に持って。
酷く静かな空間。音を立てる自分が異物である感覚に眩暈を覚えながら大樹にたどり着くと周囲を見渡した。
本当に何の音もしない不思議な空間だ。これほど草木が繁茂しているのに風は無く虫の声も動物の気配もしない。自分の緊張した心音が煩い程だった。
上を見上げて青空を確認する。
木の葉の隙間からちらちらと濃い青色が見え、また、その青の隙間から明かりが射しこむ。
思わず目を凝らした。何か、空を飛ぶ大きなものがあった気がしたからだ。
剣を鞘に戻し、樹から少し離れて注意深く空を見上げて目を凝らす。濃い青の隙間、その明り、飛ぶもの。
ふと、その飛ぶものに魚のような尾びれがあることに気づく。いやあれは、あれは、くじらだ!
驚愕のあまり目の前が明滅し、眩暈を堪えるのに必死だった。
「ここは、海の中か!」
「驚いた。此処に来れるものがいるとは」
思わず出した大声に反応するものがあってカークは文字通り飛び上がって驚いた。
声のした方を見ると大樹の傍らに丁度上に見える美しい海の濃い青色の髪の黄金の目をした2m近い身長の大男が立っていた。
大きな口が特徴的な純朴そうな男の身なりは非常にいい。だがこの庭園とのミスマッチが異様に似合っているのが怖く感じる。
「お前、弱いけど彼の泥のシンセイを持っているね。外から来たのかい?」
「え?あ、はい外からです」
シンセイってなんだとか外からか、という問いは何か不思議な感じだが、疑問を挟める空気ではない。正直に答える。嘘などついても仕方がないだろう。
男は笑顔を向けながらもこちらを観察している様子だった。
「此処へ、何をしに来たんだい?」
「此処へ・・・・・・?通りがかっただけです」
此処へとは迷宮へという意味なのか部屋へという意味なのか測りかねて、カークは後者のつもりで答えたがカークの返答に男は表情を崩す。驚くほど眩しい笑顔でカークを見たのだ。
何かおかしなことを言ったかとひやひやしながら男の言葉を待つ。
言葉が無いなら、先に進もうと考えながら。
「・・・・・・じゃあ、このまま通り過ぎるという事だね?」
「はい」
にっこりと笑顔を浮かべた男の顔を不安を抱えながら見つめ返して頷く。
そりゃ、そうだろ。此処は最下層ではないし、道の途中なんだから。
そんな笑顔で聞かれるようなことではないはずだ。ただ、とても、男を見ていると何だか言い知れない恐怖と不安が絶えず襲ってくる。
致命的な毒を飲み込んだのを知らされた後のような気持ちが吐き気と共に襲いかかってくる。
男はそんなカークの気持ちなど露知らず数度頷くと大樹の方から誰かを手招いた。
「お前、この仔を連れて行け」
有無を言わせない男の声と共に現れたのはカークと同い年ぐらいの獣人の女だ。
チンチラの様な丸みを帯びたブルーグレーの愛らしい耳の飛び出す上品な瑠璃色の長髪は光の悪戯でところどころ金色に見え、その髪を細い金のリボンでポニーテールにしてまとめている。少し鋭い藍の瞳が僅かな戸惑いも見せないことからこれが彼女の同意がある事を伝える。
背筋を伸ばして立ち、シンプルなブリオーとパンツという男装をした上品なたたずまいの女を連れて行けと言われてカークはただ、男を見返した。
それを同意と取ったのかは知らないが男は笑みを一層深めると、女の背を押す。
「どのみちそろそろ時期だったんだ。この仔をお前にあげる。好きに使ってくれて構わない」
「え?え?いや、見ず知らずの男に・・・・・・」
「そうそう、この仔は僕のシンセイを持つ。慎重に」
戸惑うカークを他所に女は一歩前に出て頭を下げる。
「よろしくお願いいたします」
「よ、よろしく?」
「進路はあっちだ」
男に指さされた方向へ唯々諾々と進みながら、ぐるぐると考え始める。
彼女はいったい誰で、なんで自分についてくる事になったのかさっぱり理解できない。
そもそもあの男は何者だ?迷宮では誰とも会わないのではなかったのか?
気付くと大扉の前に立っていた。少し空いた隙間から先に進めそうだ。
一旦カークは振り返る。本当にこのまま見ず知らずの彼女を連れて行ってもいいのか分からなかったからだ。
彼、男は此方を見ていた。笑顔を張り付け、大きく手を振っている。
「それじゃ、おやすみ」
その、その!その!!その!!!男の体躯に見合わない波打つような巨大な影にカークは目を奪われた。
歪み淀み腐った何かがごぼりと音を立てる様に蠢き、タコの足のような触手を伸ばす。その触手も別の所から生えている触手が貪り食っていく。
深海の果て、朽ちた神殿の奥、忘れられた誰かの巨大な骸とそれを貪る本人。
タコの様な頭、人間に似た体。腐臭が鼻を突くその目の前で繰り広げられる冒涜的で悍ましいなにか。
貪られた骸から闇が広がり腐り落ち、触手が主の口へと運び続ける。
眠った彼は、それでも口を動かし続ける。続け続け続けてまた、ごぼりごぼりと音を立て蠢き。背後から誰かが背を叩く。
驚いて振り返るとそこには何処か心配そうな顔の少女がいた。そうだ、自分は名前も知らない男の影を見ていた。
だがもう、扉は閉じられている。震える手で強く押しても扉はびくともしない。
吐き気がこみ上げる。
今、自分は何を見たのだろうか?
否何も見ていなかったのだろうか。
生唾をひとつのみ込んで、カークは先に進んだ。
此処にいるとあの悍ましい冒涜的な触手がカークたちを食い殺そうと狙ってくるように思えた。




