第9話 能力値
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貧富の差こそあれ、神から職業を与えられる訳でもなく、この世界にもある程度職業選択の自由というものはある。
とはいえ、やりたい事が仮に見つかってもし、その職業への適性が全く無いと事前に分かった場合、人はそれでも運命に抗うことが出来るのだろうか?
そう考えると自分の適性を知るというのは、現実を突きつけられる訳でワクワクするがちょっと怖くもある。
『まあ、そんなに緊張しなさんな。お主が思っているよりも悪いことにはならんて』
「じゃあ最悪、思ってるくらいには悪いことなるって事!?なんだか嫌な予感しかしないんですけど……」
こう見えても前の世界の生涯において、何かで活躍した事など一度もなく、はっきり言って僕は村人Aでしか無かった。
『心配性じゃのう〜。まあ、大丈夫じゃろ』
「あのー、楽しんでません?」
『まずはワシのページを好きに開いてみい、中は完全に白紙じゃから何処でも良いぞ』
ユーゴは先程自分で床に投げ捨てたジエリ・トマスの書を拾い上げ、手で埃をはたく。パラパラとめくってみると確かに中は白紙のようだ。
『もうちょい古い本は大事に扱わんかいっ』
「あ、すいません。完全に人扱いしてました」
『逆に問題じゃっ!ったく。まあええ、なんでも良いんじゃが何か書くもんはあるかの?』
「インクでも大丈夫ですかね?」
『構わんよ。何処でも良い、お主の名前をフルネームで書いてみい』
頭の中で勝手にこちらの言語に変換されるのは不思議な感覚だが、非常に助かる。ページの中程に〈ユーゴ・エジリ〉と名前を書き込んだ。
すると突然、僕の名前が金色に輝いた!
次の瞬間、名前の下にズラズラと以下の文字が表記された。
「もしかしてこれは……!」
【ユーゴ・エジリ】(15)男 LV1 ーーーーーー
SP3
-体力
-魔力
-筋力
-技術
-防御力
-知力
読解力0
-素早さ
-運
「ステータス!?」
『ほう、面白い呼び方じゃのう。そうじゃそれがお主の能力じゃ』
「くっそ弱っ!」
『当たり前じゃ!ずっと部屋に引きこもって本しか読んでおらんかったお主の能力なんて、そんなもんじゃろう!』
「はい、返す言葉もございません……」
『まあええ、ここからが本題じゃ。この能力、ステータスと言った方が分かり易いかの?は、一定ではない。お主の成長と共に数値は増える事もあるのじゃ』
「努力でどうにでもなるって事ですか!?」
『一概にそうではない。先程説明した適性というのが厄介でな、虚弱体質の者はどれだけ鍛えても体力と筋力は0のままじゃ』
(終わった……こんな事ならステータスなんて見るんじゃなかった)
「全然使えないじゃないですかっ!」
『早合点するではない、まだ話の続きがあるのじゃ。名前の下にSPというのがあるじゃろ?まあ経験値みたいなもんじゃ。ワシが触れた〈深遠〉というのはな、なんとこの数字をステータスに割り振れるんじゃっ!』
「な、なんですとっ!」
(SPだからスキルポイントだろうか?)
「でもたった3ですよ〜?割り振ったところでたかが知れてますよね……」
『全く分かっておらんのーその凄さが。例えレベルが30でSPが100あろうと、己のステータスに経験値を好きに割り振れる者などこの世には存在せんのじゃぞっ!』
(確かに……言われてみればめちゃくちゃチートだ。しかも能力値が努力で増えなくても経験値は少しずつ増えていく訳だし)
「よくよく考えると確かに凄いかも!?でもよくこんな事が出来るって気が付きましたね」
『そうじゃろそうじゃろ、さすがワシじゃろ。まあお陰で好き勝手にやりたい放題してたら、いつの間にか本にされしまった訳じゃがな……』
「あ、なんかスイマセン……」
『いや何、若気の至りってやつかの。あの頃は最高じゃったなあ、気に入ったおなごは全てワシの思いのままじゃったし、金なんて幾らでも沸いて来たからのう〜』
「あ、やっぱ前言撤回します……」
『お主、本当に分かりやすい性格じゃのう』
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