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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第一章 
8/102

第8話 呪いの本

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。

アイラさんを見送り、部屋に戻った僕は早速本を物色し始める。何故か父さんから明日は休んで良いといわれたので今夜はちょっと夜更かしが出来るのだ。


ランタンを手繰り寄せ本棚を端から順に見ていく。魔法概論や英雄譚などがちらほら、子供向けの本などは当然なく、多くを占めるのはこの国の歴史書や図鑑だ。


「この世界の僕は15歳にしてこんな難しそうな本を読んでたのか、ちょっと引くな……」


転生してから約2週間。自分に余裕がなかったのもあるが、本棚が今日まで完全に部屋のオブジェと化していたのも致し方あるまい。


印刷技術がまだそれほど発達していないこの時代に、これほどの蔵書がある父はいったいどれほど稼いでいたのであろうか。上級冒険者は伊達ではない。


余談だが、現代では本棚の奥に隠された扉を開けると超ゴージャスなBARが現れるという〈スピークイージー〉つまり潜り酒場が世界的なトレンドになっている。禁酒法時代のアメリカに実際存在していた酒場がモチーフだ。現在はあくまでもちゃんと届出を出した上で営まれている。いつかは僕も自分のBARを持ちたいが、厨二心をくすぐるスピークイージー・スタイルにはちょっと憧れてしまう。


本を物色し始めてから何となく気のせいかな?と思っていたのだが、誰かに見られている様な感覚がずっとある。


(まさか呪われた本とかじゃ無いよな?)


さすがの父もそんな危なっかしいものを息子の部屋には絶対に置いていない……事を信じたい。


「めぼしい本は大体チェックしたし、後は毎日寝る前に少しずつ読んでいくかー」


今夜読む本は何にしようかな?指で本を追う。その際ランタンを左手に持ち替えた時に、本棚の左隅に背表紙のない小さな革の装丁の本が隠れているのに気が付いた。手に取って表紙を見た瞬間にユーゴはものすごく後悔をする……と、同時に先程の見られている感覚の正体を突き止めた。


本のタイトルはそう、


   ーーーーー《ジエリ・トマスの書》ーーーーー


ユーゴにはとっては正に〈呪われた本〉である。


「………」


「よし、今すぐ燃やそう」


『ちょっと待てーーーいっ!』


「なんだっ、本が喋ったっ!?ーーーーってこの声は……」


『久しぶりじゃなっ!我こそは深遠の……』


ポイっ


『ってこらーーーーっ、捨てるんじゃないっ!』


「せっかく僕がようやく新しい生活に慣れてきたと思ったら、またあんたかっ!さりげなく本が小さくなってるから間違って手にしちゃったじゃないですかっ!」


『ほっほっほ、元気そうじゃの。お主の転生で全てのエネルギーを使い果たしたと思ったんじゃが、ワシの悪運もまだまだ尽きて無かった様じゃ』


「完全に悪い奴の発言じゃないですか……これ以上僕に何かご用ですか?」


『まあそんなに年寄りに邪険にするもんじゃあないぞ。ワシもな、お主への罪滅ぼしに少しだけ手助けをしてやろうと思ってな』


「別に間に合ってるんで良いです」


『そう言うと思ったわい、まあ聞くだけなら損はしまいて。お主、この前バーテンダーとかいう仕事をしてみたいとか言っとったの?恐らく酒場の主人の様なもんなんじゃろうが、この世界には適性というものがあってじゃな、努力ではどうにもならん事がままあるんじゃよ』


「それは例えばある人は剣の才能はあるのに、魔法の才能は全くないとかそう言う意味ですか?」


『そうじゃ。そして残念なことにこの世にはほとんど何の才能も持たない者も大勢おるのじゃ。何故創造神がその様な差を作ったのかは分からなくも無いが、ワシが触れたこの世の深遠と言うのはまさに〈そこ〉じゃ』


「もしかしてそれは、自分に何の才能があるのか事前に調べられるって事ですか?」


『ほう、察しが良いの。それだけではないぞ、自分だけでなく人の才能を知ることも出来る』


「それって凄い事ですよねっ!えっ、という事は……」


『悪い話では無かったろう?お主に眠ってる才能をワシが教えて進ぜよう』


ご愛読ありがとうございます。

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