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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第四章
77/102

第77話 〇〇スレイヤー

誤字、脱字、御指摘、特に感想 等もらえると嬉しいです。

次の日、ドワーフ王国での用事をほぼ済ませた二人は一足先に王都への帰路に着く事にした。リヴェット王からはもっとゆっくりしていけと言われたのだが、王都にやり残して来たことが沢山あるため、丁重にお断りした。


「じゃあヴィクターさん、僕たちは一足先に帰ってますね。チャーリーさん、後はお願いしますっ」


「それではまた後ほど王都でお会いしましょう、道中お気をつけて!」


「うん、じゃあまたねー!」


これ見よがしに左手で手を振るアイラであった。ひと通り皆と挨拶を済ませた二人は、王都へ向けいつもの様に駆け出した。


「「「速っ!!」」」


チャーリー達冒険者が驚くのも無理は無い、二人はあっという間に彼方へと見えなくなったのだった。


二人は行きと同様に森の中を突っ切っていく。行きほど急いで無いとは言え、やはり雑魚い魔物は狩らずに躱していく。ただしトロル級の魔物が出た場合はその限りでは無い。


途中でトロルよりも更にデカい、大型の〈トカゲ〉が行手を阻むので仕方なく退治をした。勿体無いので魔石と素材だけは一応回収しておく事にする。


その他は特に大した問題も起きず、二人はおよそ一日半で王都へと再び帰って来たのであった。


「やっぱり我が家は落ち着きますねー」


「うん、ほんの一週間弱なのになんか新鮮だよ」


樽職人のホグス達に初めての酒樽の納品が無事完了した旨を伝えると、皆は大いに喜んでいた。その後二人は自宅でしばし寛ぐ。ポーションがあれば疲れなど残らないのだが、やはり家で寛ぐのは精神的に心地好いものである。


「あっ、そうだギルドに素材卸しに行こうよ!行きと帰りでちょっと溜まったじゃん」


「そうですね、アブさんにお土産代わりに見せたら喜ぶかも?あっ、そう言えばここ王都でしたね」


アイラの思いつきで二人はギルド本部に素材を卸しに行く事にした。


カウンターにはいつものようにテキパキと働くフーダックの姿が。


「こんにちわー、素材の買取りお願いします!」


「いらっしゃいませユーゴさん、アイラさん。お二人はこちらでの素材買取りは初めてでしたよね。今日は一体何を?」


「はい、先ずは魔石なんですけど」


ゴ、ゴゴンッ


「で、でかいですねっ」


一つは赤ん坊の頭くらいで、あとの二つもそれには劣るものの、大人の握り拳よりも遥かに大きかった。ギルド本部の受付でもエースであるフーダックは、当然ながら素材鑑定のスキル持ちだ。


「えっ?こ、これ《アースドラゴン》の魔石じゃないですか!あとの二つもトロルの上位種 《アークトロル》ですし、一体これらを何処で……?おっと、冒険者にそれを聞くのは野暮でしたね。皆独自の入手ルートを持っていますから、お二人がAランク魔物モンスターの素材を持って来ても何ら不思議ではありません」


実際アースドラゴンはAランク下位、アークトロルはBランク上位の魔物であった。今思えばチャーリーを筆頭とする護衛者達は、かなりの実力者だと言えた。


「あれっ、その大きな魔石〈トカゲ〉の魔物じゃ無かったんですね?」


「うん。そこまで強く無かったし、あんまドラゴンっぽく無かったよねー」


「は、はいっ?まさかお二人だけで倒されたとでも?」


「はいっ、ドワーフの国に行く途中で行きと帰りで邪魔してきたものですから、退治して来ました」


「はぁ……これは私の想像を軽く超えて来ましたね。先日Bランクに上がったばかりだと言うのに。お二人に常識を当てはめた私が馬鹿でした……」


「なんかスイマセン……あ、あと残りの素材はまだ解体してないんで、解体場に運んでも良いですか?」


ネグロン支部の解体場での経験から、オークの倍はあろうかというアークトロルを一体ずつ出していくユーゴ。やはりブッチャー達が蜂の巣を突いた様に騒ぎ出したので、この日はアークトロル二体で止めておいた。


(アースドラゴンの素材はアブさん達に持って行ってあげよう。絶対喜ぶぞっ)


などとケイトの心労を何も考えずに、一人ワクワクするユーゴなのであった。


「本日お持ちした素材は以上で宜しかったですか?」


「はい、以上でお願いします」


「ではこちらが査定ですね、問題が無ければサインをお願いします」


【査定結果】ーーーーーー


アースドラゴンの魔石一個 金貨20枚

アークトロルの魔石二個  金貨20枚

アークトロルの肉二体分  金貨40枚

特別報奨金        金貨50枚



「えっ、報奨金まで頂いて良いんですか?」


「通常ただの持ち込みでは出ませんが、ドラゴンをお二人が倒したのなら、王都にとっては少なからず脅威が減った訳ですからね。こちらからの依頼であれば金貨300枚にはなるところ、たった50枚で心苦しいのですが……」


「いえいえ、滅相も無いです。僕たちはこれで十分ですよ」


「しかし、勿体無い事をしましたね。恐らくアイテムボックスが一杯だったんでしょうけど、アークトロル二体じゃ無くてアースドラゴンの方を運んでいれば、素材買取りがもっと高かったんですけどねえ」


「えっ、そうなんですか?」


「はい、地竜とは言えドラゴンは捨てるところが本当に無いですからね。一応次回の参考までに覚えておかれると良いですよ」


「ありがとうございますっ、次回から気を付けますね」


ますますネグロン支部にアースドラゴンの素材を持っていくのが楽しみになるユーゴであった。


かくして二人は、ただ全力疾走しているついでに倒した魔物で金貨130枚、約1,300万円相当を稼ぎ出したのであった。


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