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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第四章
72/102

第72話 ウィル◯ンソン

誤字、脱字、御指摘、特に感想 等もらえると嬉しいです。

それから数日して、ヴィクターのキャラバン隊は王都の北門をドワーフ王国へ向けて出発した。


「それじゃあヴィクターさん、四日後には僕らも王都を出ますので。恐らく二日もしないで追い付けると思いますけど、例のコインはちゃんと持ってて下さいねっ」


例のコインとは、BARのメンバーだけに配られたユーゴの魔力を宿したコインだ。ドワーフの里はひたすら街道沿いに北へ行くだけなのだが、最後は自分の魔力の跡を追って合流する予定だ。


「もちろんです、これを無くしたら〈アヴィエイション〉に入れなくなってしまいますからね」


「それでは道中お気をつけて」


「はい、行って来ます!また後ほどっ」


ーーーーーーーーーーーーーーー


ユーゴらはヴィクターを見送ると、ひとまずスター・ケイプへと赴いた。今日はウィルと一緒にトマス商会に行く約束があるのだ。


「おはようハンズさん!お爺ちゃんはもう起きてる?」


「はい、今日は朝から大変張り切っておいでです。ささっ、お二人共中へどうぞ」

 

ユーゴらはウィルの部屋へと直接赴いた。


トントン。


ノックをして中に入ると、既にウィルとマリーが紅茶を飲んで待ちかまえていた。


「あら、おはよう二人とも。父さんなんかもう待ちくたびれてるわよ」


「ごめんごめん、ちょっとヴィクターさんの見送りでね」


「ようやく来たか、私はもう今すぐにでも出れるぞっ!」


「ちょっとお爺ちゃんアイラさんにお茶くらい出してあげてよ、それに約束の時間までまだ一時間近くあるよ」


「おお、すまんすまん。もうアイラちゃんは身内みたいなもんだからな、つい」


「私は全然気遣い無用ですよー、でもここのお茶菓子は超美味しいんだよねっ」


「まあ、お世辞でも嬉しいわ」


最近は魔導オーブンの試験も兼ねて、マリーがマドレーヌを焼いたりしている。焼き立てはふんわりしていて紅茶とまた良く合うのだ。もちろん紅茶はトマス商会から仕入れた物だ。


ヴィクターズのコーヒーにやや遅れはしたものの、トマス商会の紅茶も無事製品化に成功していた。この短期間でそれを可能にしてしまう、トマスの手腕と財力には感心するばかりだ。


ユーゴらはゆっくりと紅茶と焼き菓子をいただいた後、皆連れ立ってトマス商会へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


玄関では護衛の他に、すでに執事のスバスが皆の到着を待っていた。アポイントを取っていた為、直接トマスの執務室へとすんなり一行は通された。


「旦那様、皆様ご到着です」


「ようこそいらっしゃいました!さあ、中へどうぞ」


どうやらトマスの方も今か今かと待ちわびていた様だ。トマスの執務室は相変わらず豪華だが、以前には無かった紅茶用のカップなどがキャビネットに並んでいた。コーヒーや紅茶が普及すれば、食器類にも価値が出ると踏んで恐らく先行投資してるのだろう。流石はトマスである、この辺りはまだまだヴィクターも遠く及ばない。


今、ユーゴ達が飲んでいる紅茶が注がれた純白のカップも、この世界ではまだ新しいデザインの物ばかりだ。マリーはその可憐なデザインのカップを早くも気に入った様だ。


「ユーゴさん、先日は物凄く貴重な体験をさせて頂きまして、ありがとうございました。今日お越し頂いたのはその時にチラッとお話の出た炭酸飲料の件でして」


「はい、勿論覚えてますよ。スター・ケイプの魔導冷蔵庫が普及していけば、今後は炭酸飲料の需要が爆発的に伸びるだろうってお話しですよね。正直僕一人の手には余るので、皆さんに協力して頂けて心強いです」


「またまたご謙遜を。炭酸泉の近くに製造工場を作るにも、やはり専用の魔導具が色々必要になって来ますからね、そこでウィリアムさんにもお越し頂いたという訳です」


「いえいえ、私共もこの事業に関わらせて頂いて、大変光栄に思っておりますよ」


「一応炭酸飲料のレシピを書き起こしたのでこちらは差し上げるとして、実際に試作で作った炭酸飲料も幾つかお持ちしたので早速試飲してみますか?」


ユーゴはこうなる事を予想して、冷蔵庫でよく冷やした炭酸飲料のサンプルをアイテムボックスに忍ばせていたのだ。


「なんと、もうそこまで!」


そんな感じで話はとんとん拍子で進んで行く。最終的にはプレーンの炭酸、トニックウォーター、スパークリングレモネードの三種類をまず先行発売する事で話がまとまった。


「ユーゴさん、私が徹夜で考えたブランド名なんですが、ウィリアムさんの〈ウィル〉と私の〈ジョン〉を取って、〈ウィルジョン〉って言うのは如何でしょうか?」


(うーん、徹夜で考えてもらって何だけど、いまいち語呂が悪いんだよなあ……あっ)


ユーゴの脳裏に日本のBARで恐らくもっとも使われているであろう、ある炭酸飲料のブランドが浮かんだ。


「なかなか良いんですが……因みにこういうのはどうでしょう?このブランドは二人にとって息子みたいな物ですよね、ですからウィルとジョンの息子で《ウィルジョンソン》って言うのは?」


厳密には息子は〈サン〉なのだがそこはご愛嬌。


「おおーっ、途端に語呂が良くなりましたな!ウィルジョンソン、このトマス気に入りましたぞっ」


「私も良いと思います、ユーゴに名付けのセンスまであったとは驚きです。我々の息子となる事業ウィルジョンソンですか、これから忙しくなりますね!」


ウィリアムとトマスはがっちりと硬い握手を交わした。かくして◯ィルキンソンのぱっちもんみたいなネーミングのウィルジョンソン・ブランドがこの世界に誕生したのであった。


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