第60話 ランク詐称
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ジョージのステータスから改めて考察すると、恐らく基本的に能力値は5でカンストする。また、上級剣術の様な技術系のスキルは、当然才能がある者にしか発現しない。ユーゴは試しに既に5まで伸ばした錬金術にSPを振ってみたのだがそれ以上は変化がなかった。錬金術は5でカンストという事だ。
ただし錬金術をカンストした事による効果は確実に出ていた。以前はポーションを複製する際、品質のランクが必ず一つ落ちていたものが、常に同一ランクで複製できる様になっていた。
また、一からポーションなどを調合する際も二回に一回は〈最高品質〉が出る様になっていた。つまり理論上ユーゴは最高品質を幾らでも量産できる事になる。アイラと相談した結果、絶対にハインには知られない様にしようと決めたのだった。
そしてユーゴは先日の恐怖体験から、SPを温存するのをすっぱりやめた。いつ何があっても良い様に、少なくとも現状での最強スペックにしておく必要を感じたのだ。という事でユーゴがSPを振ったステータスは以下の通りだ。
【ユーゴ・エジリ】(16)男 LV5ーーーーーー
錬金術師 SP6→0
-体力
体力4
疲労回復4
-魔力
魔力4
魔力操作4
土魔法3
水魔法3
火魔法0
風魔法0
-筋力
筋力3
-技術
剣術3
錬金術5(カンスト)
料理2
探知0
-防御力
回避1
-知力
読解力2
創造力1
-素早さ
素早さ4
-運
悪運3→4→5(カンスト)
-特殊
成長加速1→2→3→4→5(カンスト)
説明するまでもなく、今後の伸び代と今まで乗り切ってきた悪運の強さに賭ける事にしたのだ。もちろんこれにはアイラも賛成していた。最大のチートである成長加速を使わない手は無かった。
その日の午後ユーゴらはハインの薬屋に来ていた。ネグロンを去るとなると、ハインとのパーティも一旦解消せざるを得なかったからだ。
「あら、それをわざわざ言いに来てくれたの?そんなに気を使わなくても良いのに」
「まあ一応ケジメって奴かなー、元々ハインが冒険者志望じゃないのは知ってたんだけどね」
「ありがとうアイラ、私もちょくちょく王都に行く用事があるからその時は顔出すわ。それでユーゴ君にちょっとお願いなんだけどー、最後にポーション少し作ってって貰えない?バイト代出すから。ねーお願い」
やはりこうなるのだった。ユーゴは全力で手を抜きつつ小一時間ポーション造りに励んだのであった。
翌日は町の南の〈迷いの森〉で少し狩りをしながら、薬草採取をする。チートスキルがあるとはいえ現物がないとコピーも出来ない為、ハイポーションの材料は余分に確保しておきたかったのだ。ユーゴが必要な分以外はハインが買い取ってくれるそうなので、結構多めに採取をした。
その後二人はギルドにも顔を出した。
「あら二人ともいらっしゃい。王都から帰ってたの?」
「ケイトさんご無沙汰してます」
「やっほーケイト久しぶり〜。あれっ、もしかして出世した?」
「ふっふーん、分かっちゃった?実は先日チーフに就任したのよ〜」
ケイトはいつの間にか受付デスクのチーフに昇格していた。素材の鑑定スキルが発現した事により、今まで以上にほかの仕事にまで気が配れる様になったのが大きい。
「へー、それじゃあ早速チーフの腕前を拝見しましょっか〜?」
アイラに促されユーゴはアイテムボックスから、
拳大の魔石を二つ取り出す。
「デ、デカイわね。このサイズは私の予想だと……やっぱりっ!まさか本当に〈アングラーベア〉だなんて、もしかして迷いの森に出たの!?」
「はい、番だったので、可哀想だから二体共倒して来ました」
ケイトはプルプルしていた。
「アンタ達可哀想の使い方間違ってるわよ……アングラーベアは下位とは言えBランク魔物よ!しかも番なんて、この町じゃ緊急招集クエストものよっ!!」
「あ、なんかスイマセン」
アングラーベアは非常に大きな口で何でも丸呑みにしてしまう。更に捨てる所がほとんど無いのも魚のアンコウにそっくりだ。解体部門に持ち込んでみると、アブドールを筆頭に解体スタッフ達は大喜びしていた。アングラーベアクラスの魔物の入荷など年に何回も無いのだ。
ちなみに買取価格は、
魔石一個 金貨2枚
牙二本 金貨1枚
両手の爪 金貨1枚
両手の肉 (熊の手) 金貨1枚
毛皮 金貨5枚
肉 金貨10枚
胆嚢 金貨5枚
これらが俗に言うアングラーベアの〈七つ道具〉だ。もちろん他の内臓も、専門の業者がギルドから引き取ってくれるので、実質骨くらいしか捨てるところが無い。
締めて金貨25枚、これが番なので倍の金貨50枚。更には緊急クエスト相当という事で、特別に報奨金が金貨50枚も出た。
「ゴメンねー、ギルドからの依頼だったら報奨金だけで金貨120枚相当のクエストなんだけど」
「いえ、金貨50枚だけでも十分ですよ」
「合わせて金貨100枚か、何食べようかなあ」
「本当アンタの金銭感覚はどうかしてるわよね。紹介状を書いといてあげるから王都のギルド本部に行ったら、昇格試験を受けてみれば?アングラーベアを一人一匹なんてCランク冒険者のレベルじゃ無いわよっ!」
「ハハ……コリーさんに相談してみます」
ハインに買い取って貰ったハイポーション用の薬草代を入れれば、結局この日は一日で金貨105枚、約1,050万円もの収入であった。
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一方でその頃。ユーゴ達から薬草を受け取ったハインは、昨日ユーゴに頼んでおいたポーションの品質を念のため確認していた。もちろん信用はしているのだが、万が一〈普通〉品質を高品質と偽って売ってしまえばお店の沽券にかかわるからだ。
「えっ、どういう事!?」
作ってもらったハイポーション10本、ポーション50本の品質はハインの予想通り〈高品質〉だった。ただしそのうちの一割がなんと〈最高品質〉だったのだ。
(あの子、また腕を上げたのっ!?最高品質なんて王都のマスタークラスの薬師だって、年に数回しか成功しないのに……ウフフ……グフフっ)
普通に作ると二本に一本は最高品質になってしまう為、ユーゴはそれでも全力で手を抜いていた。ハインと今後も末永く付き合っていく事が、ユーゴの知らない所で勝手に確定した瞬間であった。
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