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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第三章
50/102

第50話 驚きの再会

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。

ユーゴ達はシャーリーの後を付いて行く。


そこからすぐ先の角を曲がると、簡素ではあるが比較的新しい住宅地が広がっていた。恐らくここがマフィアのアジトを焼き尽くした後の居住区なのだろう。住人達の身なりは決して裕福そうでは無いものの、その表情はみな一様に笑顔だ。


その区画からすぐ近くの空地で、職人達が何やら忙しく家を建てている。少女の目的地はどうやらそこの様だ。


「おじちゃん達こんにちわ、マリー様はもう見えてますか?」


「おう、シャーリーちゃんか。今日はまだ来てねえな、危ないからその辺に座って待ってな」


「うん、待ってる」


職人たちは手際良く工事をしていく。恩返しという事なので恐らく無償で働いているのだろう。基礎部分はモルタルや煉瓦などを使いしっかりしているのだが、外壁までは予算が回らないのか、魔女の住まいとしてはお世辞にも立派な造りとは言えない。大工の親方もそれが分かっているだけに頭を抱えている様子だった。


ユーゴは黙って見てるのも何なので声をかける。


「こんにちはー、シャーリーちゃんのお父さんから聞いて来たんですけど、何かお手伝い出来る事とかってありますか?」


「何だ、お兄ちゃんらもマリー様に世話になった口か?まあ人手はなんとか足りてるんだけどよ、いかんせん予算の方がギリギリでな。正直外壁をどうすっかなーって困ってんのさ」


勿論誰かがお金を出せば済む話なのだろうが、初対面のユーゴらがすべき事でも無い。ユーゴは彼らの気持ちも考え、無償で貢献出来る方法が何か無いか考えてみる。しばらくしてある名案を思い付いたので提案してみる事にした。


「例えば親方、こういうのはどうでしょうか?」


ユーゴは地面に魔力を込めると、いつもの様に土魔法を唱える。


「クリエイトブロック!」


するとそこにはしっかりと焼成をした風合いの煉瓦が一つ現れた。


「うおっ、コイツは煉瓦か!しかしこんなペラペラじゃあ……硬えっ?しかも滅茶苦茶軽いぞっ!?」


「魔法で造った煉瓦です。薄くて軽くて頑丈なので、もしかしたら外壁に使えるんじゃ無いかと思って」


「おう、全然使えるよ。寧ろこんな立派なのが使えるのは願ってもねえ話だが、肝心の費用の方が心許なくてよ」


「えっ、土さえあれば幾らでもタダで作れますよ?」


「何っホントか!モルタルくらいなら残りの予算でなんとでもなるな。おいっお前ら、そこら辺からここにありったけの土を運んで来いっ!」


そうと決まれば職人たちの行動は早かった。次から次へと運ばれて来る土を、ユーゴが土魔法で煉瓦に変えてゆき、アイラがその場にどんどん積み上げていく。


それを四方に分かれた職人がモルタルで外壁に塗り固めていくのだった。外壁工事が三分の一ほど進んだ頃だろうか、職人に煉瓦を渡すなど、お手伝いをしていたシャーリーが急に足を止めて誰かに手を振った。


「マリー様ー、こんにちはー!」


「おお、マリー様だ!」


「相変わらず素敵だなあ」


「「マリー様ー!!」」


職人達も手を止めて次々に挨拶をする。皆に慕われているというシャーリーの父親の情報はどうやら本当の様だった。黒いローブを頭まで被った魔女は軽く皆に手を振ると、親方の方へと歩いて行く。面識の無いユーゴは煉瓦造りを続けながら取り敢えずその様子をみていた。


「親方、毎日精が出るわねえ。でもこれはちょっと立派過ぎやしない、私はここまでの物は望んじゃいないわよ?」


確かに煉瓦を外壁に貼り出してからという物、雰囲気がガラっと変わってしまい、物凄く高級感が出てしまったような気もする。


「いやあねえ、この外壁の煉瓦はあそこにいる兄ちゃんがタダで提供してくれた物なんで、費用なら十分足りてるんでさあ」


マリーはユーゴの方をチラッと見ると、土魔法で煉瓦造りをしている事に気付き興味を示した様だった。


「やはりマリー様のお知り合いで?」


「いいえ。あんな若い冒険者の知り合いは、私には基本いないんだけど……」


「そうでしたか。いやあ、すっかり兄ちゃんの好意に甘えちゃいましたね、アハハ」


「私の方からもご挨拶をしておいた方が良いわね」


マリーはユーゴらの方へ向かって歩いてくる。と、近くまで来て突然立ち止まると、驚いたように小さな声で呟いた。


「え、もしかして……ユーゴなの?」


魔女は更に近づくと、その黒いローブのフードをおもむろに外した。すると中からはボリューム感のある特徴的な明るいブラウンの巻き髪が現れた。その瞬間、ユーゴはこの世界に初めて来た時以来の衝撃を受けた。


そこには江尻勇悟がよく知っている人物の顔があったのだ。


「か、母さん……!?」


ユーゴの口から自然に溢れた言葉だった。魔法使いの様なローブこそ被ってはいるが、そこにいたのは紛れもなく勇悟の母親の麻里まりだったのである。


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