第41話 青い春
今回で第二章は終わりです、次章からユーゴの才能がどんどん開花していきます。
誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。
「ユーゴは私の事好き?」
突然のアイラのからの真っ直ぐな質問に、ユーゴは少しだけ冷静さを取り戻す。
もちろんアイラの事は大好きだ。この気持ちを何と伝えたら良いのだろうか。ユーゴは冷静にそして真剣に考えた末、シンプルにその思いをぶつけた。
「大好きですっ!ずうっと一緒にいられたら良いなって思います。アイラさんのいない人生なんて、正直今の僕には考えられません」
「ーーーありがとう。私もユーゴのこと大好きだよ」
ほんの少しだけ間を置いてそう答えたアイラは、不意にユーゴの唇にそっと自分の唇を重ねる。
ユーゴは人の唇にこんなにも触覚がある事を初めて知った。さらに女性の唇がこんなにも柔らかくて、温かくて、幸せな気持ちにさせる物だとは全く知らなかった。
名残を惜しむかの様にユーゴからそっと唇を離すアイラ。その笑顔は今までにアイラが見せた、どんな表情よりも綺麗だった。
「多分ユーゴは分かってくれると思うけど、私達はまだ一線を越えたらいけないと思うんだ」
「……はい」
「私もいつかはそうなりたいけど、多分今はまだちょっとだけ早いのかも」
「……はい」
ユーゴは皆まで言わなくても分かっていた。もし男女として一線を越えてしまったら、恐らくアイラは戦士として一流の域に届かないまま終わってしまうだろう。ユーゴもそれは望んでいなかった。若い二人にとってそれほど恋愛と言う物は大きかったのだ。
「僕もまだアイラさんといっぱい冒険したいですから、この気持ちはもう少し大人になるまで仕舞っておきますっ」
「ありがとう、ユーゴ」
アイラの瞳は涙で潤んでいた。ユーゴの気持ちが痛いほど伝わって来て、とても嬉しかったのだ。そして改めてユーゴの事を大好きだと思った。
ーーー少しして、いつも通りのアイラに戻ると、隙ありっ!とばかりにユーゴの唇を再び奪う。そしてアイラはすぐさま踵を返して部屋から出て行った。
(ユーゴ大好きだよっ)
「じゃあまた明日ね〜、おやすみー」
後には嘘みたいなアイラの唇の感触だけが残っていた。
しばらく経って冷静に考えると十六歳のユーゴがそこまで達観しているはずも無く、悶々としたままその晩一睡も出来なかったのは言うまでも無い。
ーーーーーーーーーーーーーーー
次の日の朝。実家での約二週間ぶりの朝食だ。
冒険者のユーゴにとって一晩くらいの徹夜などわけもない。久しぶりの父の手料理にユーゴが舌鼓を打っていると、突然ジョージがすごい質問をブっ込んで来た。
「お前、アイラと付き合ってんのか?」
ブホォッ
思わず噴き出してしまった。
「だって帰ってきた時、完全にカップルにしか見えなかったぜ」
父はなんでもお見通しだ。
「えーっと、付き合ってるとかそう言うのじゃないけど将来は一緒になりたいな、とは真剣に考えてる」
「おお〜、やるじゃねえかっ。でもアイラは今が一番大事な時だ、そこん所は解ってるよな?」
「うん、昨日その事を二人で話してさ、お陰で一睡も出来なかった」
「そっか、お預け状態か……あ、もしアレだったらハインにでもお願いしてみたらどうだ?」
ブホォォッ
再び噴き出してしまった。
「ゴホッ ゴホッ、ちょっと父さんっ!」
「悪い悪い、冗談だよ。でもハインの奴お前だったら案外オッケーっぽいけどなあ」
(いやいやいや、だってハインさん絶対父さんの元カノだよね?でも僕には妙に優しいし、もしかして……)
ほんのちょっとだけ想像してユーゴはすぐに赤くなる。
「僕は父さんと違って一途なんですっ!」
「お、おう。済まんかったな、そんなに怒るなよ〜」
(これだからデリカシーの無いリア充は嫌いだ。それにしても父さんの周りにはやたらと美人ばかりがいるけど、あれ?もしかしてコリーさんとも……!?)
「そう言えばコリーさんって父さんの師匠だったんでしょ、手紙の内容は何だったの?」
「ん、ああ。お前らの事が褒めてあったぞ。後は俺への文句がズラズラと、たまには顔出せとよ。さて、飯食ったら準備を始めるぞー」
「はーい」
二人の間に何があったのかまでは分からなかったけれど、父ジョージも若かりし頃は今のユーゴの様に色んな経験をして、たくさん悩んだんだろう。
そんな事を考えていたら、なんだか不思議と笑みが溢れてきたユーゴなのであった。
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