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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第二章
38/102

第38話 バウンティ・ハンター

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。


本日は日曜日なので2話アップする予定です。


気付くともう西日も落ち着いて、宿に戻る時間が刻々と近づいて来た。二人っきりのデート状態もそろそろ終わりとなる。ステータスを急に上げたせいで、アイラはお店を出る際に壮大にすっ転んだ。初めてハイヒールを履いた人みたいに時折りバランスを崩すがまあご愛嬌だ。


ちょっと前まで仲の良い兄弟にしか見えなかった二人は、道行く王都の人々からは初々しいカップルに見えていた。勿論当の本人達はそれに気付いていない。


「今日は楽しかったですねー、アイラさん」


「うんっ、凄く楽しかった!また明日も出掛けようね」


「はいっ、是非!」


ほどなくしてギルド本部が見えて来た。今日は買い物に夢中だった為、昨日のいざこざの報酬をまだ受け取っていなかった事を思い出す。二人は宿への通り道なので立ち寄る事にした。


「あのー、昨晩お世話になったネグロンの冒険者ユーゴと言いますけど」


ユーゴはそう言って冒険者カードを提示する。


「ああ、お待ちしておりましたユーゴさん。昨晩はお疲れ様でしたね。今回の件は私 《フーダック》が担当させて頂きます。報酬の方もご用意出来てますので、中を改めてもらって宜しいですか?」


職員の男はそう言って革袋を差し出す。見た感じ量は大した事が無さそうだ。ユーゴは軽い気持ちで中を改めると。


「あれ、これ金貨ですよ。それも15枚も!?」


「ええ、例の黒蜥蜴のダリオは今まで結構な被害を出してまして、ギルドとしても手を焼いていたので助かりました。それでは受取書にサインを」


「は、はい。ありがとうございますっ!」


「良かったね、ユーゴ」


賞金首にもランクがある。Aランクの賞金首にもなると、報酬は大金貨100枚、日本円にして1億円を超えると言われており、当然強さもAランク冒険者並みだ。


今回ユーゴが返り討ちにした黒蜥蜴のダリオはDランク相当であったが、なかなか捕える事が出来ずに懸賞金が1.5倍まで膨れ上がっていたのだ。


バーテンダーも格好良いけど〈バウンティ・ハンター〉っていう響きも格好良いな。などと思ってしまう厨二男子ユーゴなのであった。


宿に戻るとハインが既に寛いでいた。ヴィクターは戻りが何時になるか分からないと、受付に言付けをして行ったらしい。


今日の出来事を互いに報告し合うと、わずか半日で金貨を30枚以上使ってしまったアイラにハインは呆れ返っていた。もっともハインが薬師ギルドで何をしていたかまでは二人は知らない。


「逆にユーゴ君は更に金貨を15枚も増やして、一気にお金持ちじゃない。アイラも少しは見習いなさい」


「はーい」


「ヴィクターさんは遅くなりそうだから、三人で食事に行きましょうか。二人とも何か食べたいものはあるかしら?」


「僕は昨日ギルドの酒場で食べ損ねた料理があったので、それが食べたいです」


「ユーゴが選ぶなら間違い無しっ!さんせーい」


「そうね、そうしましょうか。あと、せっかくの王都なんだから冒険者からの情報収集も大切よ」


「なるほど、注意して周りも見てみますね」


ーーーーーーーーーーーーーーー


ギルド本部の酒場は夕食時なのもあって、大いに盛り上がっていた。クエストの話で盛り上がる者、今の王国や政治に関しての討論を交わす者、他の冒険者の噂話をする者など様々だ。


カチャカチャ、カチャーン


「「「カンパーーーイ」」」


「いやあ、仕事の後のエールは最高だねっ」


「あら、何か今日仕事でもしたの?お金を散財しただけじゃ無かったかしら?ウフフ」


「王都見物も見聞を広めるという立派な仕事だいっ」


「そうですね、凄く充実した一日でした」


確かに今日は収穫が沢山あった。今後のヴィクターの働きによっては、ユーゴのBAR開業ミッションも思ったより早く実現出来るかも知れない。そんな事を思いつつ、昨晩頼み損ねた料理を注文する。


ハインは昨日のお肉のパテと生野菜が良いと言うので、ユーゴとアイラはガッツリ系肉料理を一人一皿ずつ頼んだ。


【ロングホーンのステーキフリッツ】

・ロングホーンの背肉のステーキと、牛脂で焼いたポテイト芋を豪快に黒岩塩を振りかけて食べる。


健康のためにちゃんと生野菜も注文する。ユーゴはさりげなく〈ライの実〉を絞って、ドレッシング風の味付けにする事も忘れない。


【採れたて生野菜】

・採れたてのトメイト、レテュ草、香草に、木の実油と塩をかけたシンプルなサラダ。


「うん、串焼きも美味しかったけど、このステーキもジューシーで美味しいねっ!」


「ロングホーンの脂を吸ったポテイト芋がまた良い味出してますよね〜。あっ、アイラさん。この生野菜もちゃんと食べて下さいね。肉の味をさっぱりさせてくれますから」


「あら本当ねっ、さっきこっそりかけてたライの実の酸味が隠し味に効いてて美味しいわ」


サラダのドレッシング仕立ては思いの外ハインに好評であった。


ユーゴはこの店にも原木の生ハムが置いてあるのに気付き、追加注文をする。品質は飛空亭の生ハムにはやや劣るものの、かなり薄くスライスされており、やはり味は美味しい。


(あっそうだ。バーバラさんに何かお土産買ってってあげよう)


ふと、ユーゴがそんな事を考えていると、少しほろ酔いのアイラが一言。


「ユーゴ今、女の事考えてたっ!」


ギクっ!女の勘は鋭い……


「生ハム食べてたら、飛空亭の事を思い出しただけですよ〜」


「アイラはさっきから良いペースで飲んでるけどお酒弱いんじゃ無かった、大丈夫?」


「何か昨日の火酒を飲んで以来、急に飲めるようになっちゃったんだよねー。変なのーアハハ」


気のせいでは無かった。酒酔いは言わば状態異常な為、ある程度酔うと勝手にアイラの〈異常回復〉のスキルが働いてリセットされるのだった。


ユーゴはハインに言われた通り、他のテーブルからの情報収集にも余念がない。バーテンダーに限らず一流のサービスマンのスキルの一つに、無意識の聞き耳と言うのがある。俯瞰で全体を視るイメージの耳版とでも言えば良いだろうか。


意識を集中していると、店内の全てのお客さんの会話がなんとなく頭に入って来るのだ。その為お客さんから咄嗟に話を振られても、即座に会話に参加する事が出来る。


父譲治から教わっても中々出来なかったのだが、今は何となく出来ている様な気がする。もしかしてスキルツリーが伸びたのかも?ユーゴはそんな事を考える余裕すらあった。


ご愛読ありがとうございます。 よければブックマーク、

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