第37話 禁断の果実
お陰様で総合評価が初めて100Pを達成しました!\(^o^)/
誰も読んでないところから毎日地道に
更新し続けた甲斐がありました。
後半の方が面白くなると思いますので今後とも
宜しくお願い致します。
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商売のアイデアが急に舞い降りてきたヴィクターは、居ても立っても居られなくなり、ユーゴとアイラには断って早速別行動をとっていた。
その頃、薬師ギルドがそんな大変なことになっているとは知らないユーゴとアイラは、引き続き買い物を楽しんでいた。
通りを二人並んで歩いていると、アイラが隣から声をかける。
「ユーゴっ」
アイラはそう言うとユーゴの左腕に手を回してきた。防具越しとは言え女性の胸に触れているというシチュエーションは、思春期のユーゴには刺激が強い。
「やっと二人っきりになれたね……」
アイラの口調はいつもより少しおしとやかだ。
「えっ、ちょ、アイラさん突然どうしたんですかっ?」
この瞬間もはやユーゴの全神経はアイラに抱きつかれた左肘だけに存在していた。防具一枚隔てても感じ取れる、たわわに実った禁断の果実。アイラは以外と着痩せするタイプなのだ。
「実はちょっとユーゴにお願いがあるんだー、ひとまずその辺のお店で休憩しよっか」
その発言は合コンの後の男の子の様であった。男女の立場が完全に逆のような気もするが、年下のユーゴは逆らう理由も無いし、なされるがままだ。
二人は近くにあったカジュアルな酒場に入る。
「お兄さん!エール2つね〜」
アイラはとりあえず二人分のエールを頼むと、ユーゴの正面ではなく、真隣に密着して座った。いわゆるカップル座りである。
「はいお待たせしましたー。お客さんラブラブですね〜、ではごゆっくりどうぞー」
店員も完全にカップルだと疑わない様子だ。
「お願いって言うのはー」
アイラはユーゴの膝の上に手を置くと、甘い声で顔を近づけて話しかける。ユーゴの心臓はもう既にバクバクしていた。
「この間私を助けてくれた時の、〈本〉ってやつを私にも見せてほしいかなーって思ってさ。実際何も覚えてないんだよね〜」
アイラは恥ずかしそうに言った。
「えっ?あーーーーーなるほど、そっちでしたか。例の〈ジエリ・トマスの書〉ですね。勝手にステータスをいじってしまった以上お見せしないのも変ですもんね、アハハ」
ユーゴは盛大に勘違いしていた。
「えっ、そっちって何か違う事だと思ってた?もしかして、エッチな事とか考えてたりして……」
「いえっ!そんな事はっ」
「ユーゴって本当分かりやすいよね〜、そっちはまた今度ね」
「えっ?また今度って言いましたっ!?」
「そ、また今度。ってか早く本見せてよ〜」
「は、はいっ!分かりました。えーっとこのページですね」
ユーゴは他の人のページが絶対にバレない様に、最新の注意を払ってアイラのページを開く。ジョージはまだしも、ハインのページなど見せた日にはもはや軽蔑しかされない。
【アイラ・バーレイ】(18)女 LV4ーーーーーー
戦士 SP8
-体力
体力3
疲労回復4
異常回復0
-魔力
-筋力
筋力3
-技術
剣術3
探知0
-防御力
防御1
回避2
-知力
-素早さ
素早さ1
瞬発力1
-運
直感0
改めて見ると中々のステータスだ。着実にアタッカーとしてのスキルツリーが伸びてきている。ユーゴは簡単にスキルポイントとスキルツリーの関係を説明をしていく。
「なるほどねー、私のSPは元々12Pあったんだ。そこから3P使って〈体力〉を1と〈疲労回復〉を2、更に1P使って〈異常回復〉を発現させて助けてくれたんだね。改めてありがとうユーゴ」
「いえ、僕のせいでアイラさんを危険な目に合わせてしまった訳ですから当然です。こんな事になってかえってすいませんでした」
「ううん、良いんだ。助けてくれたのがユーゴだったから。でもさー、残りのSPが8ポイントもあるなら全部使っちゃえば良かったのに?」
ユーゴはSP1の重さを自分の体験を交えながら説明したのだが、お金に執着のないアイラは余ったスキルポイントにも同様に執着がなかった。という事で押しの強いアイラに言われるがままSPを割り振った結果……
こうなったのであった。
【アイラ・バーレイ】(18)女 LV4ーーーーーー
戦士 SP8→0
-体力
体力3→4
疲労回復4
異常回復0
-魔力
-筋力
筋力3→4
-技術
剣術3→4
探知0→1→2
-防御力
防御1
回避2
-知力
-素早さ
素早さ1→2
瞬発力1→2
-運
直感0→1
「何これ!凄いっ、なんだか身体中から力が漲ってくる感じがするっ!」
「実際本当に漲ってますから気をつけて下さいよ、特に〈筋力〉と〈素早さ〉と〈瞬発力〉を全て上げてますから。力加減を間違えると本当に大惨事になりますからねっ!」
「うん分かった、気を付けるね。あ、そうだ。私のも勝手に見たんだからさー、勿論ユーゴのも見せてくれるんだよね〜?」
勿論ステータスの事であるが、女性に言われると思わずドキドキしてしまう。しかし〈錬金術〉の事もある。ユーゴはまだ上手く説明できる自信が無かった。
「勿論!と言いたい所ですが、今は少しだけ待ってもらって良いですか?この事は二人だけの秘密です、絶対に後で必ずお見せしますから。お願いしますアイラさん」
アイラはユーゴの真剣な眼差しに思わずドキッとしてしまう。
「う、うん。ユーゴの事信用してるから後でも全然良いよ。でも、ユーゴが期待してた奴もまだお預けだからねー」
アイラは茶目っ気たっぷりにウィンクをした。
ユーゴがこれまでに手を付けたスキルポイントは自分のものと合わせて15ポイント。
ジエリ・トマスがこの世界の〈深遠〉であると表現した禁断の果実〈SP操作〉。それが10ポイントを超えた時、二人の全く知らない場所で小さな変化が起き始めていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
そこは深淵の闇だった、辺りは見渡す限り全てが闇でどこまで続くのか誰にも分からない。そんな闇の中にポツンと取り残された片方の青いスリッパー。そう、ユーゴが初めてジエリ・トマスと邂逅したあの空間だ。
何も存在しない筈のその空間で、不意に誰かがそのスリッパーを拾い上げひとりごちる。
「ほう、これは……」
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