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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第二章
36/102

第36話 金字塔〈ハイン目線〉

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。

ユーゴらと別れたハインは薬師ギルドに来ていた。冒険者と違い全ての薬師は王都のギルドにて研修を受けた上で、試験にパスしなければ薬屋を開業する事は出来ない。


薬屋の免許さえ持っていれば、ポーションは自分で作らずとも仕入れて来て売っても良いのだ。紛い物のポーションが流通するのを防ぐのにも一役買ってはいるが、薬師ギルドは正にこの世界における既得権であった。


今回ハインはポーションの買取をしてもらう為、わざわざ王都のギルドまで出向いた。自分で作ったものは自分で売った方が実際は儲かるのだが、田舎の町ではそうそうハイポーションなど売れるものでは無い。


薬師ギルドのマスターはハインの薬師としての師匠でもあるのだが高齢の故か、たまたま今日は留守にしているらしい。ちなみにお爺ちゃんだがハインよりも年下だ。


「ハインさんこんにちは、お久しぶりですね」


受付の男性とは何度か面識があった。エルフの薬師はそれほど多くない為、どうやら覚えてくれていた様だ。


「あらこんにちは、お会いするのは二年ぶりくらいですかね。今日はポーションを買い取って欲しいんですけど宜しいかしら?」


「お見知りおき頂いて光栄です!ハインさんのポーションはいつも品質が高い事で有名ですから大歓迎です。もし〈高品質〉なら私の裁量で相場の2.1倍で買い取りしちゃいますよ。それではこちらに並べていって貰えますか?」


(はい言質いただきましたー、私気に入られてるのかしら?)


そこに置かれたのは、6個×2列の親指より少し太い穴が空いた木の箱である。薬師ギルドでは12本を1ダースとして扱う為、この様な木箱が使われる。


通常の〈高品質〉は〈普通〉品質の2倍買取なので、2.1倍はそれなりの裁量権と言える。やはり美人は得だ。


ハインはそこにハイポーションを並べ始めた。


「ハインさん?ポーションってまさかハイポーションもあるんですか?」


職員の男が予想していた薄い緑色では無く、薄い青のポーションが出てきたのだから無理もない。


「えっ、今回はハイポーションしか無いわよ?」


「そ、そうなんですね大変失礼致しました、心して鑑定させていただきます」


構わずハイポーションを並べて行くハイン、遂に1ダース目の木箱がいっぱいになった。


「驚きました……まさか1ダース全てハイポーションとは。しかも今のところ9本目まで全て〈高品質〉ですよ!」


「ええ知ってるわ。しかもまだまだあるのよ。先に言っておくけど全て〈高品質〉のハイポーションだから、取り扱いには気をつけてね」


「は、はいっ!?」


「とにかく新しい木箱を下さらない?次を並べられないから」


職員は慌てて新しい木箱を取り出す。


ハインはかまわずそこにハイポーションを並べ続けていく。職員の顔がなんとなく青ざめている様な気もするが、気のせいだろう。


2ダース目のポーションで木箱がいっぱいになった。


「さ、流石にもう無いですよねー?」


職員の男は唾を呑んだ。


「だからー、まだまだあるって言ったじゃ無いの。早く次の箱をくださる?」


職員の男はもはやほぼフリーズしていた。


見かねた上司が助け舟を出す。部下の代わりに鑑定を続けて行くのだが、ハインのハイポーション祭りは止まらない。


3ダース目が終了。


4ダース目も終了。


ポーション箱が5ダース目に差し掛かった所で、その箱に2本だけハイポーションを置くとハインは手を止めた。


「はいっ、これでお終い。全部で50本あると思うので確認して」


ハイポーションはここで打ち止めになった。そして職員にとって地獄の様な買取査定が終わったのだった。


全てのポーションを箱に並べ終わった時、辺りにはギルド職員により黒山の人だかりが出来ていた。


「あは、あはは、何回やっても全て高品質ですっ!!」


「私も職員歴二十年になるが、こんなのは初めてだよ……」


途中から助けに来たはずの上司でさえ、若干涙目である。


しかしまだここで終わりでは無かった。この後ハインから更に追い討ちをかけるかの様な言葉が発せられる。


「えーっと確か〈高品質〉の場合、買取価格は〈普通〉品質の2倍が相場だけど、先程そちらの方から今回は2.1倍で良いと言われたんですけど、本当によろしかったかしら?」


「お、お前そんな事を約束したのかっ!?」


「は、はい。ギルドマスターからも2.1倍までは私の裁量で決めて良いと言われてた物ですから……ま、まさかこんなことになるなんて。うわぁぁぁぁーーーーーん」


「あら?私の何か悪い事しちゃったかしら?」


「い、いえ、先にこちらが言い出した事ですので口約束とはいえ、お、お支払い致します……」


上司の男は顔面蒼白でそう答えるのが精一杯であった。相手に駆け引きのチャンスを全く与え無いまま、ハインの一方的なターンが終わった。最終的に金貨60枚の2.1倍である金貨126枚が支払われることになった。


かくしてハインは薬師ギルドに二度と破られる事のない金字塔を打ち立てたのである。


「なんだか金貨6枚も得しちゃって申し訳ないわ〜、ジョージにも本当に何かお土産買って行こうかしら」


この日以降、エルフの薬師がギルドを訪れる度に、職員が一斉に振り返るという奇妙な現象が一ヶ月ほど続いたそうである。

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