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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第二章
32/102

第32話 銭ゲバ薬師再び

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。

その後ジョン・トマス氏から約束の謝礼金を貰うことになったのだが、その額はヴィクターとハインの予想を大きく上回った。


手形代わりの大金貨2枚を合わせても合計で金貨70枚くらいを予想していたのだが、実際に貰った額はなんと金貨150枚。現代の価値で約1,500万円だった。


ヴィクターの商人としての勘は間違っていなかった様だ。ヴィクターはハインとガッチリと固い握手を交わした。


ヴィクターにとってはトマス商会の会頭とのパイプが出来ただけでも大収穫らしく、自らの提案で取り分は金貨30枚で充分との事だった。残り120枚をユーゴらで分け合う事になったが、パーティとしてはもちろん何の異存も無かった。


「是非またいつでもお越し下さい。改めて本当にありがとうございました」


ジョン・トマス氏と執事の方にわざわざ玄関先まで見送ってもらい、ユーゴらはトマス商会を後にした。


ちなみに執事の名前は《スバス》だった。ユーゴが『惜しいっ』と心の中で思った事は言うまでも無い。そう言えば近所の居酒屋で働いていたネパール人学生と同じ名前だな、などと思い出し笑いをしてしまう。しっかりとアイラに見られていた……


「ぷっ!ユーゴってば、キモっ」


ヴィクターは大金を持っている為か少しソワソワしている様子だったが、ハインは一向に慌てる様子が無い。気になったヴィクターは尋ねてみた。


「商人の私でさえこんな大きな商いは中々ありません。なのになんでハインさんは、そんなに平然としていられるんですかっ?」


「うーーん、内緒ですよ?実はコレが有るので」


そう言ってハインは小さなポーチから先程のズシリとした大きな革袋を取り出すと、それを一瞬で中にしまう。明らかにサイズ感がおかしい……


「そ、それはまさか……アイテムボックスですか!?」


「しーっ声が大きいわ。ちょっと知り合いに元上級冒険者がいてね、今回の旅用に無理言って借りてきたのよ」


ユーゴは一目見てすぐに気付いた、それは父ジョージのアイテムボックスだったからだ。


(父さんてば何か弱みを握られてるな……)


「ハインさんって本当にサラッととんでも無い事しますね。そのポーチ自体が最低でも金貨1000枚はしますよっ」


「それは知らなかったわー、ちゃんとその人にはお土産買って行かなくちゃいけないわね」


(((絶対知ってたよね)))


三人は心の中でそう思った。


ちなみにハインがわざわざアイテムボックスを借りてきたのには秘密があった。非常に割れやすいポーションを大量に運ぶ為だ。それも数にして50本、ほとんどユーゴが作った物だが全て〈高品質〉ハイポーションだ。


通常は〈普通〉品質の倍の価格で取引される為、末端価格は金貨200枚を超える。恐らく卸値でも金貨120枚は堅いであろう。ちなみにこれはパーティの稼ぎではなく全てハインの懐に入る。恐るべき銭ゲバ薬師ハインであった。


という訳でハインは薬師ギルドに行きたかったので、皆に別行動を持ちかける。


「それじゃあ私は寄るところがあるから、後はヴィクターさんに案内して貰って。終わったら先に宿に戻ってるわね」


ハインはそう言うとアイラとユーゴに小さい革袋をそれぞれ渡した。


「あんまり無駄遣いしちゃ駄目よ二人とも」


「もう〜、子供扱いしないでよーっ」


「はいっ、大切に管理しますね」


「それではお二人のご案内は私が、ハインさんもまた後ほど」


「はい、二人をお願いします」


そうしてユーゴらはお目当の鍛冶屋へと向かうのだった。


ほどなくして賑やかな通りへとやって来た。野菜や果物、加工肉などを売っている市場があると思えば、美味しそうな匂いを発する屋台のような物まである。なんだか小腹が空いてきたなと思ったら、既にもうお昼を回っていた。


「ユーゴ〜、何か買い食いしようよー」


「そうですね、僕もお腹空きました」


ユーゴは何軒かある屋台を物色していくと、すぐに美味しそうなお店を見つける。


「ここが美味しそうですよ」


ユーゴが選んだ店は串焼き肉の店だった。


「旨いよ旨いよーっ!ロングホーンの串焼きだよー。ボリュームたっぷりで1本たったの銀貨2枚だ。さあ買った買ったーっ」



【ロングホーンの串焼き】(イチボ)品質:普通ーー

ー入手難易度Dー

・強固な長い角を持つDランクの魔牛肉、赤身だが刺しも入っており非常にジューシー。〈トメイト〉と〈オニョン〉のスパイシーなタレがよく合う。



「皆さんここは私が。ご主人それじゃあ三本貰おうか」


「よっ!ヴィクター太っ腹」


「なんだか僕まですいません」


「いえ何、大商いでしたからね。私は実質何もしていないのでこれくらいさせて下さい」


「毎度ありっ!お客さんラッキーだね。今ちょうど焼き上がるのが三本あるよーっと、はいお待ちー!」


串焼きを店主から受け取り、銀貨を6枚支払うヴィクター。


「「いただきまーす!」」


ガブっ、ムシャムシャムシャ、モグモグモグ、ゴクンっ。


「何これ、旨っ!」


「ほんとですねっ!凄くジューシーなのに生野菜の酸味と辛みが効いててさっぱりしてますよ、コレむちゃくちゃ美味しいですね」


仮に現代の食材で説明するとすれば、牛のイチボ肉の串焼きと言って良かった。トマト、玉ねぎ、ニンニク、青唐辛子、香草などを細かくみじん切りにしたソースを焼き上がった肉に絡めて食べる。メキシコの〈サルサ・メヒカーナ〉の様なさっぱりとしたタレであった。


(この辺りでは一二を争う人気屋台を一発で引き当てましたか、しかも食レポが完璧だ。やはりユーゴさんは飲食への探究心が普通じゃ無いですね)


「喜んで頂けて何よりです、ロングホーンは王都周辺の草原でしか獲れない魔物ですからねー」


ヴィクターも肉にかぶりつきながら、実に満足そうな笑顔であった。


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