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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第二章
31/102

第31話 いざトマス商会へ

日曜日なので二話アップしました。


皆様のブックマークにこんなにも一喜一憂する日が来るとは

思っていませんでした。

誰も読んで無いんじゃないかと思う事もしばしば。


誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。


翌朝、早起きしたユーゴらは食堂で全員一緒に朝食をとった。


ポテイト芋とオークの塩漬け肉のスープにパンというシンプルなメニューであったが、トロトロに煮崩れたポテイト芋の甘みととろみが出ていて、パンとも非常に良く合う。


「みんな昨日はぐっすり眠れたかしら?今日の予定は、とりあえず午前中にトマス商会に顔を出してから、午後はそれぞれ自由行動って事でどう?」


「さんせーい!ユーゴも一緒に鍛冶屋さん見に行こうよ〜」


昨日あんなことが合ったのにも関わらず、もういつも通りなのは流石アイラだ、ユーゴもそれにならう。


「良いですねっ!僕は魔導具屋や市場にも行ってみたいです」


「それでしたら鍛冶屋や商店が多く軒を連ねる通りがあるので、後ほどメモしてお渡ししますね」


「ありがとうございます!助かりますっ」


「さっすがヴィクター、頼りになる〜」


「ははは、私も商人の端くれですからね」


「もうアイラは調子良いんだから、ヴィクターさんありがとうございます。それじゃあ食事が終わって準備が出来次第、玄関前に集合しましょうか」


ーーーーーーーーーーーーーーー


トマス商会の本店はギルド本部から五分ほど離れた、同じ通り沿いにあった。石造りの立派な建物で、濃いスカイブルーのオーニングには白の斜め十字が描かれており、いかにも高級感を醸し出している。


「うわー立派な建物だね〜、高そうだし」


「手形も貰ってるから、門前で返される事は無いでしょうけど、庶民は中々入れないわね」


「ええ、私もここに入るのは初めてです。流石に少し緊張してます」


「なんだか僕まで緊張してきましたっ」


ハインとヴィクターは入り口の門番に事情を説明し、手形の金貨を見せる。すると。


「お待ちしておりました。番頭からその旨伺っております、どうぞ中へご案内致します」


流石はトマス商会だ。助けた商人からすでに話は伝わっている様で、すんなりと中に通される。昨日の商人は恐らく番頭なのであろう。


応接室に通されたユーゴらはしばらく待たされる事になった、しかしそこで出された飲み物にユーゴは驚く。


(こ、これはお茶だ!しかも少し発酵してる?中国茶みたいな感じかも知れない)


ユーゴは早速鑑定をしてみる。



【東方のお茶】(黒茶)品質:普通ーー

ー入手難易度Bー

・茶の木の新芽を発酵させた物で、新陳代謝を促進し胃腸を整える。過食や便秘に効き美容に大変良い。



(やっぱり!なんとなく東方の国だし中国茶に近いな)


「ちなみにヴィクターさんは、このお茶を飲んだ事はありますか?」


「いえ、初めて飲みますが適度に渋みがあって不思議な香りがしますね。もしかしてっ!これがユーゴさんの言ってた……」


「少し違いますけど、恐らく同じ物ですね。発酵のさせ方が違うんだと思います」


「やはりっ!流石はトマス商会です。恐らくこのお茶1杯で大銀貨5枚はしますね……」


「えっそんなにー!高っ」


アイラはせっかくなのでグイッと飲み干す。


「確かにこれはうちのハーブティーとも違うわね、美容にも良いみたいだし興味深いわ」


流石はハインである。ユーゴと同じか分からないが素材鑑定のスキルが発動したのだろう。美容という言葉に惹かれたのか、アイラがもう一杯飲みたそうにしていた。


そうこうしているうちに、いかにも執事の様な黒服の老紳士が現れた。


「大変お待たせいたしました、会頭がお会いになるそうです。こちらへどうぞ」


ユーゴらが隣の部屋に案内されると、先日助けた商人の男がテーブルの一番奥に座っていた。男は立ち上がると深々と頭を下げこう挨拶した。


「先日は命を助けて頂き、本当にありがとうございました。まだきちんとご挨拶していませんでしたね、私がトマス商会をやっております会頭の《ジョン・トマス》で御座います」


((((えーーーーーーっ!!))))


全員が顔を見合わせた。口には出さないが恐らくユーゴ以外も番頭だと思っていたのだろう。


「ご丁寧にありがとうございます。お言葉に甘えて厚かましくも参上させて頂きました。トマス商会の会頭様とは気付かずに大変失礼を致しました」


ハインは動揺をおくびにも出さずにそう答えた。


「滅相もありません。あの時あなた方が通りかからなかったら、今私は恐らくここにはいなかったでしょう……まあまあ、立ち話も何ですからどうぞお掛けになってください」


ユーゴらは促されるままに着席する。


それから1時間ほどジョン・トマスからトマス商会の成り立ちやら、現在扱っている商品の説明などを聞かせてもらった。どうやらスリッパーを発明したジエリ・トマスは伝説の創業者だった様である。


「しかしユーゴさん、まだお若いのに〈錬金術師〉と言われた創業者ジエリの名前を知っているとは。私感服致しました」


ジョン・トマスは並みの商人ではない。ヴィクターはあまりユーゴに関心を持たれては、今後の自分の商売に差し支えると思い、急遽予定に無い行動に出る。


「そう言えばトマス会頭、先日お預かりしたこの大金貨をお返ししなくてはと思いまして」


「ジョンで結構ですよヴィクターさん。その大金貨は一度お渡しした物ですから差し上げます。御礼はまた別にご用意しておりますので……」


「いえ、私も商人の端くれです。この大金貨にはただ価値があるというだけではなく、貴方と御商会にとってもの凄く大切な物だという確信があります」


ハインは少しだけ惜しい気もしたが、ヴィクターは誠実さだけで動く男ではない。予定には無かったが彼の勘を信じてそれに倣う事にした。


「そうですわね、恐らくこれはわざわざ特注で作らせた大事な物に違いありません。私もお気持ちだけ頂戴致しますわ」


二人はそう伝え目配せすると、執事の老紳士に大金貨を手渡した。


「お二人には敵いませんな。ご厚意に心から感謝致します」


ジョン・トマスは人目もはばからずその目に涙を浮かべた。


後で執事の方から聞いた話では、あの紋が入った大金貨は亡くなった奥方との思い出の品だったらしい。ジョン・トマス氏の誠実さが伺えたと共に、ハインは欲張らなくて良かったとあまり無い胸をほっと撫で下ろしたのだった。

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