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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第一章 
15/102

第15話 冒険者としての覚悟

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。

宿屋の朝は早いが、午前11時から午後3時くらいまでは割と自由な時間だ。ユーゴは先日ハイン達から持ちかけられた、薬草採取クエストの件を素直にジョージに相談してみた。


「なるほどな。それでコソコソ筋トレなんざ始めたわけか……ま、良いんじゃないか?ただ今のままだと完全に足手まといだよなー」


(流石にこの歳で俺がお守りをしてやるわけにもいかねえし、少しは脅しておくか……)


「よし、今日から1週間。毎日この時間に剣の稽古をつけてやる。筋トレはそのまま続けても構わん」


父ジョージの話が飛躍しすぎてどういう事かさっぱり分からないが、ユーゴは剣の特訓する事になった。


「あ、じゃあクエスト自体には参加して良いんだよね?ありがとう父さん」


「おう、俺に任せとけ。お前に冒険者としての基礎をみっちり叩き込んでやる」


(まあ、アイツら二人なら心配は無いが、こんな機会でも無いと鍛えようがねえからな)


「えーっと、僕はどっちかって言うと薬草採取の方に興味があるんだけど……」


「んっ?あーー悪い悪いそうだったな、つい熱くなっちまった。俺は喰えない素材採取はそれほど得意じゃなくてさ、その辺はまあハインの奴が詳しいだろうから直接教えて貰えよ」


「えっ、父さんハインさんの事知ってるの?」


「ん、まあ……昔ちょっとな」


(そうだよな、実は120歳だから父さんの事知っていても何の不思議もないよね)


(ハインの奴、ユーゴに余計な事言わねえだろうなあ?ま、大丈夫か)


「とにかくだ、お前は早く足を引っ張らない様にならないとな。まさか2人の女にずっと貢いで貰うつもりでもないんだろう?」


(父さんが言うとなんか違う意味に聞こえなくもない……)


あんまり考えて無かったが、確かにそうだ。いつもパーティメンバーに助けてもらってるだけなんて、男としては格好悪い。ここは一つ父の口車に乗っておくことにしよう。


「それもそうだね、もう成人するわけだし。では明日から宜しくお願いします!」


「話を聞いてなかったのか?今日からだ」


「ですよね……」


ジョージはこうと決めたら行動が早い。飛空亭には洗濯物を干したりするので中庭ピロティがある。ジョージは時折り手持ち無沙汰な時に、ここで剣の素振りをしたりアイラに稽古をつけたりしている。


「よし着替えたか。そうだな、お前にはこの剣をやるよ。俺が駆け出しの頃に手に入れた剣で確かそこそこ使い易かった……はずだ」


父はアイテムボックスから無造作に剣を取り出すと、鞘ごとそれを僕の方に放り投げた。


僕はそれをよろけながらなんとか両手で受け止める。


(おっとっと、重っ!筋力を上げてなかったら絶対落としてたな……)


「お前には少し重いだろうがな。だがそれを使いこなせるようにならないと、町の外では死ぬぞ」


「えっ?」


「聞こえなかったか?〈死ぬ〉と言ったんだ」


突然の父の冷めた言葉に僕は考えが甘かったと気付かされた。町の外には普通に魔物が住んでいるのだ。


町の入口は午後7時には閉鎖される為、普段塀の内側にいる分には安全だが、一般人が塀の外に出るのは自殺行為だと言われている。ユーゴはまだ見ぬ魔物達に初めて恐怖心を抱いた。


「怖いのか?」


「はい、正直怖くなって来たかも……」


「それで良い、恐怖心を持たない奴はすぐに死ぬ。冒険者にとって一番大切な事は、富や名声ではなくとにかく死なない事だ。俺にそれを約束できるか……?ユーゴ」


初めて見るジョージの真剣な眼差し。この世界は常に死と隣り合わせなんだと、改めてユーゴが感じた瞬間だった。


「うん、約束するよ」


「……良しっ!それでこそ俺の息子だ。ハハハ」


父は満面の笑みで僕の頭をクシャクシャにした。


15歳にもなってやめて欲しいけど、父との久しぶりのスキンシップ。なんとも言えない安心感が僕を包み込む。


「じゃあまずは剣の握り、そして構え方からだな。用意は良いかー?」


その後、2時間みっちりと稽古をつけて貰った僕は、ヘロヘロになりながらもなんとかその日の業務をこなした。


当然その晩は筋トレなど出来るはずもなくすぐに就寝したのだが、翌朝再び筋肉痛に見舞われたユーゴであった。

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