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錬金術師?いえ、バーテンダーです  作者: 比呂彦
第一章 
14/102

第14話 スキルポイントの効果

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。

「おーいユーゴーー、もう朝だぞーーー!」


朝の微睡まどろみの中でユーゴは、スレンダーかつクールビューティーなエルフと、引き締まったナイスバディのアスリート系美人戦士に囲まれて、楽しくティータイムを過ごしていた。遠くで父の声と階段を登る様な足音が聞こえるが、きっと気のせいだろう。


「おい、もういい加減起きろよ。昨日は何時まで起きてたんだ?」


父さんがやってきた。どうやら父は僕たちのティーパーティーに参加したいようだ。きっと美人に囲まれている僕が羨ましくなったのだろう。


「コイツ……何ニヤニヤしてやがるんだ?朝飯抜きにするぞっ、ほれっ!」


と、ジョージは声を掛けるとガバッと布団を剥ぎ取った。


「きゃっ!?」


「えっ?何っ?アイラさん!?……父さんっっっ!!!」


「……ほれ、起きろよもう。今朝は珍しく爆睡してたな?飯食ったら早く着替えて来いよ、先行ってるからな」


「えっ?もうそんな時間!ゴメンなさい、直ぐ行きます!」


(ぷーーっ、マジかっ!ユーゴの奴?つい2日前に会ったばっかりだってのに、もう女の事で頭がいっぱいとはねー。あっそれって俺の血か……)


「良いよーー、ゆっくりでー」


階段の先から父の返事が聞こえた。


「やべっ、調子に乗って筋トレなんてするんじゃなかったよ、急がなきゃっ」


と、ユーゴがベットから勢い良く起き上がろうとしたその瞬間とき


ビキィィィィィィっっっっっっ!!!!!


「痛あぁぁぁぁっっっっ!!!!!」


思春期の筋トレあるある。そう、筋肉痛である。

特にユーゴは生まれてこの方、まともに筋トレなどした事がなかったので、まったく加減が出来ていなかった。かろうじてベッドから這いずり出たものの……


(ヤバイぞこれはっ!もしかして?この痛みは筋肉痛か!?筋肉の成長の為には必要な痛みだとは聞いているけど、これじゃあ仕事にならないぞ!)


人はピンチになると脳が最大限に活性化すると言われているが、この時ユーゴの脳裏に悪魔的閃きが舞い降りた。


「そうだ!スキルを使おう」


何処かの鉄道会社のCMの様な台詞を吐いたユーゴは、トマスの書を取り出し、早速使えそうなステータスに残りSPを思い切って全部割り振った。


SP2→0

-体力

 疲労回復0 NEW

-筋力

 筋力0 NEW


と、その瞬間。ユーゴの身体から嘘みたいに痛みが消え失せた。疲労回復スキルの影響が直ぐに出たのであろう。筋力には急いで振る必要無かったよなーとかすこし後悔をしつつ、急いで着替えると1階に駆け降りた。


しかしその日、ユーゴはスキルポイント1の凄さを身を持って感じる事になるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


異変に気が付いたのは、客室の掃除をしている時だった。なんとなく身体は軽いし、運ぶリネン類もなんだかいつもより重くない。


(もしかしてコレはスキルポイントの効果なのか?)


試しに思いっきりジャンプをしてみると、初めて部屋の天井に触る事が出来た。身長が急に伸びるわけもなく、明らかに跳躍力が増している証拠だ。


(!!!)


「これは凄いな……気をつけないと今日は色々やらかすかも?」


力加減には気をつけようと思ったユーゴであったが、この日は食器を割りまくってしまうのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「おいユーゴ、お前今日はどうしたんだ?朝は遅刻するし、皿やジョッキは割りまくるわ、やる気あんのかっ?」


「ゴメンなさい……」


久しぶりの父ジョージの叱言である。全ては自分の撒いた種なので何も言えない。


「まあ良いや、今日は悪りぃけどタダ働きな」


「はい、スイマセン……」


実際のところ大した損害ではないが、他のスタッフの手前ユーゴだけを特別扱いは出来ない。


ただ、ジョージには元冒険者としてユーゴの異変には心当たりがあった。


「そうだ、ユーゴ。久しぶりに腕相撲しようぜ。もし俺に買ったら今日のミスはチャラにしてやるよ?」


「えっ、いつもみたいに両手で良いの?」


「ああ、良いぜ」


江尻家の腕相撲と言えばいつもハンデ付きだった。日本での父との思い出がフラッシュバックし、つい〈両手で〉と言ってしまったユーゴだったが、譲治以上に逞ましいジョージには至極当然のハンデであった。


(もしかして父さん、何か僕の身体の変化に気が付いたのかな?でも、パワーアップした今の僕の全力の両手なら、父さんと良い勝負になるかも知れないっ!)


ユーゴは密かに抱いた自信を隠しつつ、ジョージと腕を組み合う。


「じゃあいつも通り、最初の5秒間は好きにさせてやる、行くぞ」


「「レディー、セーット、ゴーーッ!!!!」」


(ぬおりゃああああっっっっ!!!!


 ふんぬううううっっっっ!!!!)


(ほう、やはりな)


(あれっ?こんなはずじゃ。くっそおーーーっっっっ!!!!)


「もう良いのか?行くぞ?」


ーーーパタンっ。


「……」


(明らかにレベルアップによる力の強さだな、制御は出来てないが。俺の知らないところでこっそり筋トレでもしてたのか?)


「少し強くなったな、まあその調子で頑張れ」


完敗であった。〈筋力〉ツリーが出現したところで相手はレベルすらまだ見ることの出来ないリアルモンスター。上には上がいる事をわずか数時間で身をもって知ることになったユーゴであった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


風呂掃除を終えたユーゴは部屋に戻りひとり反省会を開く。スキルポイントの重要性とその振り方、そして一気にポイントを上げる事のリスクを知ることが出来ただけでも今日はラッキーだった。


「今日も色々あったなあ〜、やっぱ父さんは化けもんだし。あれ、でも思ったより身体は疲れてないな?」


明らかに疲労回復スキルの効果である。腕相撲による筋肉疲労は少し残っているものの、普段通りの仕事で疲れる事は今後もないであろう。


「って事は今日も筋トレはした方が良いか……」


ユーゴは読みかけの本をサイドテーブルに置くと、昨日と同様全ての筋トレを100回ずつこなした。ただし昨日の反省を踏まえ、ストレッチを入念にしてからその日は布団に入るのだった。


ご愛読ありがとうございます。

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