第三話
右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても本だらけ
現実にはありえない数の本に正直圧倒される…
って見てる場合じゃなかった、時間が勿体ない
早くNPCに話しかけて俺が今いる『クーデリア大陸』の歴史が書いてある本の場所を聞こう
「すみません、クーデリア大陸の歴史がまとめてある本は何処にありますか?」
「ここから見て右手側の〜あそこ!ほらあの手前にありますよ」
「右?ああ、あれか」
「そうですそうです!では〜ごゆっくりどうぞ〜」
右の手前ね、ん〜と『聖都アルバスの歴史』『ウルティマ帝国の歴史』
『魔法国家リリシアの歴史』これじゃない
『獣王国ガルデリアの歴史』『魔族連邦ウルスダムスの歴史』これも違う
『クーデリア大陸の歴史』お、これだ
さてと何か内容に変化あるかな……
『創造神リトエ』により世界が創造され最初に作られた大陸があった
リトエは様々な生物を生み出し、平等に愛を注いでいたが
それを好ましく思っていない者がいた
破壊神デクスである、デクスはリトエが作った世界
大陸ををありとあらゆる方法で破壊し始めた
これによりリトエは大激怒こうして創造神対破壊神の神話大戦が始まったのである
この大戦には数多くの者達が参戦している創造神側でいえば
『祖の魔法使いリリシア』『原始の龍』
『朧の光アルバス』『星の子クーデリア』『穿つ者』が有名だろう
破壊神側で言えば『最悪の魔王ウルスダムス』『呪われしウルティマ』
『破壊神の娘ガルデリア』『謳われる者イグニス』が有名だ
この大戦は創造神側が勝利した訳だが一番の功労者は誰かと言われれば
それは――だろう――の活躍は凄まじく――
この先はない、焼き跡があるどうやら燃えてしまったようだ
「ここからがクーデリア大陸についてだろぉぉぉ
なんで一番大事な部分がないんだよ!」
てか内容が凄い増えてる、βテストではクーデリアが世界を守り
その功績で最初に作られた大陸の名前がクーデリア大陸になったって話だったのに…
「あ、あのー図書館ではお静かにお願いしますぅ」
「すみません…あの!これ以外でクーデリア大陸についての本ってありますか?」
「う〜ん、ないですねぇそうゆう歴史の本ってないんですよね〜
仮にあったとしてもすごい適当であやふやなんですよね信憑性なしです!」
くそぉ、これはストーリーに絡んできそうだな
「……もしお目当ての本が見つかったらご連絡しましょうか?」
「えっいいんですか!ありがとうございます」
「はい、では本が入荷したらお呼びしますね」
「呼ぶってどうやって……」
「こうやってです」
っ!なにか飛んできた
「ってこれは……鷹?」
「はい、なぜか私のそばにいる鷹さんです、本が入荷したら鷹さんを向かわせますのでご安心を!」
うーん綺麗でかっこいい鷹だ……羨ましい
「ありがとうございます」
「いえいえ」
今日会ったばかりなのにこんなに優しくしてくれるなんて良い人すぎる
感謝しかないな、これでクーデリア大陸の歴史はわかるだろう
《エクストラクエスト恋の歌が発生しました》
「え?」
「どうかしましたか」
「……いや何でもないです本当にありがとうございます」
「そんな気にしないでくださいただの気まぐれですから」
「それじゃ、これで」
「はい、また会いましょう」
なんだ?さっきのクエストなんで発生したんだ謎すぎるぞ…
うーん、しかしエクストラクエストか、ラッキーだな
「まあ…今はどうしようもないから放置安定だなぁ」
この系統は時間制限系ではないと思う、βテストからの経験則だが
「よっし、外に出てモンスター狩りだな」
ん?誰かが飛び出してくる、避けられない!
「うぐっ」
誰かとぶつかった……本日二度目だ
はあったく、いってえな
「おっと悪いなー今急いでるんだ」
赤髪の少女がお金の入った袋を片手に持ちながらそう言った
ぶつかった時は持ってなかったはずわざわざ取り出す意味もないし……
「……まさかそれ俺の?」
「怪我はないみたいだな、じゃあな!」
「おい待て!」
「待てって言われて誰が待つかよっ」
《ストーリクエスト盗人娘を捕まえろが発生しました》
ストーリクエスト!?いやどうでもいい
このクソガキ!逃がすかよ『追跡』発動!
「絶対逃さねえぞゴラァァァ」
追跡がある限り見失わねえ……絶対とっ捕まえてやる
「おーおーこわいこわい、んな顔すんなよ」
くそ足早いなコイツ、追いつけねえ……
っ!裏路地に入ったな!こうなったら先回りして……
「ふう、あーしつこくて面倒くさかったなぁアイツひやひやしたぜ、でもその価値ありだな…」
「しつこくて面倒くさくて悪かったなクソガキ」
にやにやしやがって俺の1000リトエだぞ!
「んな!?」
「これは返してもらう」
「あっ」
よーし帰ってきたァァ良かった……俺の1000リトエ
「……」
びくびくしてる……なにかされるとでも思ってんのか?
騎士団に連れてくとか面倒くさいしやらねえよ
「二度とするんじゃねえぞ」
「それだけ?」
「あん?何かしてほしいのか」
「い、いや」
「んじゃとっとと行け」
「わかった……」
《ストーリクエスト盗人娘を捕まえろを達成しました》
赤髪の少女は静かに消えて行った
「はぁ、疲れたモンスターを狩るのは明日にしよう」
『追跡』LvUP
《称号を得ました【追跡者】》
宿屋でログアウトしよう
称号は……明日確認でいいや
「はあ、なんでゲームで疲れなきゃいけないんだ……」