表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
94/545

90話 お引越し準備完了


「ふ〜、食べた食べた〜」


 レイが壁に寄りかかりお腹を抑える。


「それじゃあお皿洗いますね」


 アリスがそう言って席を立つ。

 いいお嫁さんすぎる。


「あ、いえ、私がやりますよ」

「その前に荷物片付けないとだから、アリスにお願いしていい?」

「はい、任せてください」

「ありがとう。じゃあマリンは仕分けていってね」

「は、はい、分かりました」


 さっさと終わらせてこの家から出るよ。


「レイもやるよ」

「は〜い」


 まだ本が全然あるからね。

 私は本を回収していく。

 対してレイは本を手に取るとパラパラとページをめくる。

 何か気になる物でもあったのかな。


「アイテムボックスはいつ失くしたの?」

「え、えっと、だいたい1週間前ぐらいです」

「どうして失くしたの?」

「あ、あの、どこかに置いたんですけど、それがどこか忘れちゃって」


 あるあるだね。

 私もたまにイヤホンを10分ぐらい探すことになる。

 でも探せば見つかる物だよね。


「ちゃんと探したの?」

「い、一応、探したつもりなんですけどね…」


 物探しが苦手なのかな。


「素材集めって得意?」

「い、いえ、あんまり」


 錬金魔法をするなら致命的だね。

 今度、暇だったら手伝ってあげよう。


「そういえば、どうして私達に声をかけたの?」

「えっと、空を飛んでましたし、ミ、ミオさん達も魔導士なのかなって」

「挨拶しとこうみたいな?」

「う、うーん、それもそうなんですけど、この辺に私以外の魔導士が住んでるって聞いたことなくて、あの、お、お友達になれるかなって」


 マリンが少し恥ずかしそうに言う。


「魔導士ではなかったけど、友達にはなれたね」

「はい、お友達になれて良かったです」


 マリンが嬉しそうに笑う。

 かわいい。

 私もマリンと友達になれて嬉しいよ。


「マリンちゃんって他にお友達いないの〜?」


 レイの何気ない疑問がマリンに襲い掛かる。


「あ、いや、えっと、1人だけいるんですけど、今は遠くにいて」


 良かった、流石に1人はいるよね。


「どうして遠くにいるの〜?」

「そ、その子は私達の先生のお手伝いになったんです」

「マリンちゃんはお手伝いしなくてよかったの〜?」

「は、はい、自然から学ぶのも1つって先生が言ってたので」


 相変わらずこの世界の人は放任主義というか。

 その教え子は今、勝手に知らない人の家に住んで、高価なアイテムボックスを失くしてますよ。


「お友達と離れるの寂しくなかった〜?」

「寂しかったですし、今も少し寂しいです」


 唯一の友達と離れるんでしょ、それは流石に寂しい。


「どうして友達と一緒に手伝いにならなかったの?」

「えっと、そうですね、色んな物を見てみたかったんです。錬金魔法をするにしても、世界を回って色んな経験を得ることは重要なので」

「そうなんだ〜」


 発想を得るみたいな意味で重要なのかな?

 錬金魔法もイメージは必要だと思うし、そういう意味では世界を見るのは大切だよね。


「世界を回るのに、ここに住む必要あったの?」

「い、いえ、ここには1週間程度だけ住むつもりで、1週前にはここを出るつもりだったんです。だったんですけど、あの、アイテムボックスを失くしたから…」


 この魔女、いつかは旅先とかでアイテムボックスを本当に失くしてたよね。

 今回はたまたま家の中だったけど。


「アイテムボックスを失くしてなかったら、私達とも会えなかったんですね」

「運命的だね〜」

「た、確かにそうですね」

「そこ、美談にしない」

「ミオちゃんきびし〜」

「ま、まあ、本当に失くしただけの話ですからね」

「そうだけど〜」


 やっぱりそうなんじゃん。


「あっ、そんな運命的なアイテムボックスが〜、見つかりました〜!」


 レイが本の山の間に手を伸ばし、すぐに青色のアイテムボックスを引き抜く。


「ほ、本当に?よかった…」


 そう言うとマリンが力が抜けたのか、本の山にもたれかかる。

 すると本の山が崩れていく。


「あ、ご、ごめんなさい」

「いいからいいから」


 崩れた本を回収していく。


「マリンちゃん、ど〜ぞ」

「あ、ありがとうございます」


 レイがマリンに青いアイテムボックスを渡す。

 見た目はマリンが説明した通りで金色の装飾がされており、青いバラの形をした魔石が埋め込まれている。

 うん、高そう。


「マリンは仕分けしてない物をそれに入れていってね」

「あ、はい、分かりました」


 よし、これで片付けも早く終わりそうだね。


「お皿洗い終わりました」

「早いね、ありがとうアリス」

「ありがと〜」

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ」


 アリスは手持ち無沙汰にしてるけど、天使には座っててもらって、私達はさっさと片付けを終わらせる。


「これで全部?」

「は、はい、全部だと思います」

「終わった〜」

「お疲れ様です」


 マリンの荷物をどかした部屋は少し殺風景に感じる。

 ただこれが本来の姿だからね。


「それじゃあユスティアに行くよ」

「行こ〜」

「分かりました」

「は、はい」


 私達は家を出る。

 この山に来ることはあるだろうから、私はステルス発信器を家の近くの木陰に置いておく。


「どうする?一応、私達の家まで転移出来るけど、ユスティアの門は通っておく?」

「あ、そ、そうですね、通った方が良いと思います」

「じゃあ門からギリギリ見えない所まで飛んでいくよ」

「も、門まで飛んで行かないんですか?」

「うん、目立つからね」

「そ、そのお耳があるだけで、その、充分目立つと思います」


 うん、目立つよ。


「獣人族が箒に乗って飛んできたらもっと目立つでしょ。目立つにしても最小限にね」

「な、なるほど、分かりました」


 私達はそれぞれ箒に乗り、ユスティアに向かった。


 これからケモ耳冒険者、金髪碧眼美少女、ケモ耳お姫様、青髪魔女っ娘がユスティアを歩くことになります。

 絶対目立ちますね。

 ユスティアの住民もいつかは慣れてくれるでしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ